靖国神社の落書き、日本が怒っているだけでなく中国も頭を痛める―仏メディア
東京都千代田区の靖国神社の石柱に中国人の男が落書きした問題をめぐり、仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は「日本が怒っているだけでなく、中国も頭を痛めている」とする記事を掲載した。
先日、男が靖国神社の石柱に向かって放尿するようなしぐさをした後、スプレーで「Toilet(トイレ)」と落書きする様子を撮影した動画が中国のSNSに投稿され物議を醸した。本件について警視庁麴町署が器物損壊の疑いで捜査を開始したものの、ほどなく男がすでに中国に帰国したことが判明した。
「鉄頭(アイアンヘッド)」と名乗るこの男の名は董光明(ドン・グアンミン)といい、抖音(ドウイン。中国版TikTok)で518万のフォロワーを持つインフルエンサーだったが、過去に不適切な動画で世間を騒がせたことで、中国のSNSアカウントは封鎖されている。
中国のSNS上ではこの「アイアンヘッド」を称賛する声がある一方で、「こんなのは愛国ではない」「トラフィックを集めるために愛国心を利用しているだけ」など、批判の声も少なくなかった。
記事は、「この男の行為はもはや表現の自由の範ちゅうを超え、犯罪行為である」と指摘した上で、「どんな動機で落書きを行ったのか。靖国神社という施設への怒りから来ているわけでもなさそうだ」と言及。帰国したアイアンヘッドが「日本政府が海に汚染水(処理水)を放出していることに対抗するためだ。自首するつもりはない」と語ったことを紹介した。
その上で、「男の落書きは、中国にも数々の外交上の迷惑をかけている」と指摘。日本政府が本件について外交ルートを通じて中国側に懸念を伝えたこと、高須クリニックの高須克弥院長が男を捕まえた人に1000万円の報奨金を出すと宣言するなど波紋を広げたことを挙げ、騒動が拡大したことで中国政府を巻き込む形になったと述べた。
そして、同国外交部の毛寧(マオ・ニン)報道官が「靖国神社は日本軍国主義が対外的に発動した侵略戦争の精神的象徴であり、日本側は侵略の歴史を直視し反省すべき」との立場を示す一方、「外国にいる中国人には現地の法律・法規を順守し、理性的に訴えを示すよう注意を促したい」と相反する内容を述べたことから、中国政府も自国民の行き過ぎた愛国心に頭を悩ませている様子が見て取れると評した。(翻訳・編集/北田)
★ 中国が日本政府に「裏のルート」で詫びを入れている、というコメントもあったが真偽のほどはわからない。フランスで「無名兵士を悼む凱旋門」に同じようなことが起これば、国をあげて大変なことになったであろう。