さくら貝の歌 鮫島有美子 1995'-15 UPI-0118
★ 戦後、復員してきた若き作曲家が秘かに心に思う女性が亡くなっていることを知り、
知人の詩人にわけを話して作詞してもらい、この歌曲を作曲。(ほかに私の好きな「あざみの歌」もある。)
わが父が「桜貝の歌」とよく言っていた・・・。
この曲は懐メロの域を超えて、もはや純粋な日本歌曲としてもっと歌われることがあってもよいと思う。
さくら貝の歌
作詞:土屋花情
作曲:八洲秀章
美(うるわ)しき 桜貝一つ
去り行ける 君にささげん
この貝は 去年(こぞ)の浜辺に
われ一人 ひろいし貝よ
ほのぼのと うす紅染むるは
わが燃ゆる さみし血潮よ
はろばろと かよう香りは
君恋うる 胸のさざなみ
ああなれど 我が想いははかなく
うつし世の なぎさに果てぬ
あざみの歌
あざみは、敵の来襲を花が踏まれる音で知らせたという。
山には山の 愁(うれ)いあり
海には海の 悲しみや
ましてこころの 花ぞのに
咲しあざみの 花ならば
高嶺(たかね)の百合の それよりも
秘めたる夢を ひとすじに
くれない燃ゆる その姿
あざみに深き わが想い
いとしき花よ 汝(な)はあざみ
こころの花よ 汝はあざみ
さだめの径(みち)は はてなくも
香れよせめて わが胸に
初恋
歌:石川啄木
曲:越谷達之助
編:南安雄
piano:ヘルムート・ドイチュ
砂山の砂に腹這ひ
初恋の
いたみを遠くおもひ出づる日 (歌集 一握の砂より)