BGM

ラッシュには、まだ少し間がある時間。
早い夕暮れに
自然に急ぎ足になる時間。

乗り込んだ電車は
空席がところどころにあって
遠くのドアの前には高校生の女の子たち。

時々あがる笑い声や
聴きたくなくても聴こえる
隣の会話が
少し凹んだ気持ちの負担になって
イヤホンをつけた。

シャッフルで流れてきたのは
ケイコ・リーが歌う「イマジン」

耳障りだった笑い声や話し声が遠のいて
ハスキーで深い声が
電車の乗客の動作をゆっくりと包んでいく。

そしたら
景色が優しくなった。

電車の乗客が過ごしてきた
たぶんいろんなことがあった１日が
親しみのあるものに思える。

１日の終わりに
隣に友達がいたら
笑いたくもなるし
愚痴だって言いたくなる。

私は今、ひとりで電車に乗って
ひとりで凹んだ気持ちを抱えてるけど
もし、隣に誰かがいたら
今日あったあれこれの
ほんの端っこを話しただけで
かなりスッキリしているはずなんだ。

いない「誰か」のかわりに
「イマジン」を聴きながら

おつかれさま。

また、明日、元気にやれるよね。

そんな気持ちに変わってゆく。