安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

マイルス・デイビス SEVEN STEPS TO HEAVEN

2013-09-15 12:39:30 | トランペット・トロンボーン

今月(2013年9月)号のジャズ批評誌の特集が、マイルス・デイヴィスだったので、買って読んでみました。いまなぜマイルスを取り上げるのか、よくわかりませんが、年代順にアルバムを並べ、最新のデータを整理してあるので資料としても便利そうです。マイルスの音楽は、ジャズの古典といっていいものですが、とりわけハードバップからモード時代にかけては、どれも気にかかる演奏ばかりです。その中から親しみを感じているものを。

MILES DAVIS (マイルス・デイビス)
SEVEN STEPS TO HEAVEN (COLUMBIA 1963年録音)

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掲げたジャケットは、国内盤LPのものですが、いま部屋で聴いているのは、コロンビア・レーベルのアルバム20枚を集めたボックス・セット「THE PERFECT MILES DAVIS COLLECTION」の中の一枚です。輸入盤ですが、このセットが5000円台で買えるのですから、ありがたいことです。ブラック・ホークのライブなど入っていないものもありますが、ハードバップ、モード、エレクトリックとマイルスの音楽の変遷をたどることができます。

これは、2つのセッションを収録してあり、ロサンゼルスとニューヨークで録音されています。前者のメンバーが、マイルス(tp)、ヴィクター・フェルドマン(p)、ロン・カーター(b)、フランク・バトラー(ds)。後者は、マイルス(tp)、ジョージ・コールマン(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。バンドの再編成期における録音ですが、後者の新メンバーのリズム陣は、これ以降大きな成果を挙げていきます。

ロサンゼルス録音の曲目はスタンダードで、「Basin Street Blues」、「I Fall in Love Too Easily」、「Baby, Won't You Please Come Home?」、「Summer Night」。ニューヨーク録音は、「Seven Steps To Heaven」、「So Near, So Far」、「Joshua」です。ヴィクター・フェルドマンの書いた2曲、「Seven Steps To Heaven」と「Joshua」は、スタッカートを生かしたメロディで、マイルス・グループで頻繁に演奏されることになります。フェルドマンの名前は、この2曲でジャズ史上に永遠に残るのではないでしょうか。

ロサンゼルスの方は、マイルス・デイビス(tp)のミュートによるバラード演奏で、音色が変化するところも聴きものなので、いいオーディオ装置がほしくなります。「Seven Steps To Heaven」と「Joshua」は、フェルドマンが、まるで新メンバーを想定して作ったかのような曲です。前者のテーマ部におけるトニー・ウィリアムス(ds)のドラミングが決まっています。ジョージ・コールマン(ts)のプレイも、ハンク・モブレイの後継のようで、好みです。過渡期といわれることもありますが、やはり素晴らしいアルバム。

【ジャズ批評2013年9月号、マイルス・ボックスセット、ビル・コール著「MILES」】

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 ジャズ批評2013年9月号 

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THE PERFECT MILES DAVIS COLLECTION (CD20枚組です。)            

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マイルス・デイビスについては、多くの書籍が出されていますが、ビル・コール著「MILES」(晶文社刊)を久しぶりにパラパラと読んでみました。