先日、仕事の打ち合わせのために信州大学農学部(長野県上伊那郡南箕輪村)に行ってきました。中央道伊那インターの近くにあるキャンパスは、実習農場や演習林があって広々としていて、清々しい気分になりました。農場で獲れた農産物やそれらを使った農産加工品の販売コーナーがあったので、山ぶどうワインとイチゴジャムを買ってきました。ホロ酔いになりながら聴いたアルバム。
WAYNE SHORTER (ウェイン・ショーター)
SPEAK NO EVIL (BLUE NOTE 1964年録音)
30年近く前、出向して東京で生活しているときに、レコード店巡りをよくしていました。新宿西口のトガワに寄った際、輸入盤中古LPの「SPEAK NO EVIL」があったので、購入しようと手が出たのですが、印刷されたキスマークを誰かがつけた汚れだと勘違いして、取りやめにして、「ADAM'S APPLE」の方を買いました。笑い話ですが、そんな誤解をしてしまうようなユニークなデザインです。僕が知らなかっただけですが、キスマークが入っているジャケットはこれくらいではないでしょうか。
メンバーは、ウェイン・ショーター(ts)、フレディ・ハバード(tp)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。エルヴィンは前作からの引き続きですが、ハンコックとカーターというマイルス・デイヴィス・バンドの同僚を初めて起用しています。エルヴィンは、重みのあるビート感を出し、あとの二人はフレッシュなプレイで、ショーターの楽曲に相応しいリズム陣になっています。
曲は全てウェイン・ショーターのオリジナルです。「Witch Hunt」、「Fee-Fi-Fo-Fum」、「Dance Cadaverous」、「Speak No Evil」、「Infant Eyes」、「Wild Flower」の6曲ですが、CDには、「Dance Cadaverous」の別テイクが収録されています。曲名だけ見ても、当時彼が関心を持っていた、黒魔術や西洋伝説からインスパイアされていることがわかります。宇宙的、神秘的といったムードがショーターの曲、演奏には現れますが、既にここでもそんなところが出ています。
それぞれの曲のラインが長く、モーダルな響きが聴かれ、ショーター(ts)のソロは大きくとらえていてメロディアスです。「Speak No Evil」では、2管による長い音を使ったテーマの背後でハンコック(p)が刺激的なピアノを弾いています。スローな「Infant Eyes」では、テナー・サックスでなければ表現できないような意表をつくテーマやソロフレーズが現れます。「Dance Cadaverous」や「Wild Flower」は抒情的でもあり、ショーターの書く曲には、不思議な魅力があります。
【信州大学農学部】