人と会う仕事もなくなって、名刺を使わなくなった。
「名刺配り」という仕事があるという。
名刺は、私はこういうものですと面談の前に差し出すものかと思っていたら、配るものという使い途もあったのだ。
配ってどうするのか。訪問の証拠、足あとのようなものにするらしい。
顔はともかく、名前だけでも覚えてもらえればよい。
少し譲って、名前さえどうでもよい、会社名が書いてあって私の会社の者がお伺いしましたということがわかってもらえればよい。
訪問したことを認めてもらえるのかどうか、わざわざ聞くわけにはいかないから、効果があると思い込まなければ、やっていられない。
自分で足を運ぶのが無駄のような気になってくる。
そういうときには、効率というありがたい言葉を思い出す。
置いてくるだけなら、自分が行かなくてもよいではないか。
自分がしないですませるには、人に頼めばよい。
人と言っても、自社の社員では、時間の無駄は同じことだ。
そう、外部委託という方法がある。
そこで「名刺配り」という仕事の誕生ということになる。
業務名称は、まさか「名刺配り」ではないだろうが。
委託契約書の標題は、当事者にしかわからない。
配られない名刺もある。
それは、作って楽しむ名刺だ。
作るだけなら、ペット用でもよいではないか。
名刺には、あまりゴテゴテとしたイラストは向かない。
着色を嫌う人さえある。
入れるなら、すっきりしたロゴマークぐらいか。
ワンちゃん用、ニャンちゃん用なら、いろいろありそうだ。