晴耕雨読で住まいを造ろう

都会を離れ農的暮らしをしながら、日々住まいについて考え、家造りを家族と共にDIYで実現させた日記・・その後

一人静かに読書したい

2007年04月10日 |  台所・洗面・浴室・便所
 昨日紹介した本”「生活リハビリ」住宅”に、洋式便器で体を安定させるには横にあるハンドルや背中(腰付近)をサポートするものより、前にハンドルがあるのが望ましいという話がありました。
排便を促すために腹圧をかけるにしても、きちんと背筋を伸ばした勉強机スタイルでは力が入りません。そもそも健常者の姿勢を取れないから介護が必要なわけで、筆者は膝が悪くなければ和式のしゃがむ便器を勧めるとありました。
詳しくはその本を読んでいただくとしてして。

その話で思い出したことがあります。

 ずいぶん昔に設計した住宅で、施主から
「私は痔情(?)があって用便に時間がかかる。そのあいだ時間がもったいないし、本を読めるようにトイレに本箱と読書用の机が欲しい」
という風変わりな注文がありました。
今までは新聞や本を持ってトイレに行っていたそうで、家族からは「本が黄色くなる」と、大ブーイングを受けていたそうです。

今時はトイレも二ヶ所くらいは設けますし、事情が痔情ですから二つ無いと困るという家族の意見。また施主の仕事場(事務所)を併設した住宅ですから、家族が使うメインのトイレではなく、サブのトイレがご主人様専用、読書室兼用(?)のトイレになります。

洋式便器と小型手洗器があれば事足りるので巾85cm、奥行き170cmくらいのスペースを確保。つまり畳一枚より少し小さ目のスペースです。
間口の狭い方から出入りするので大の時は狭い中で180度向きをターン変える必要があります。ここらあたりは誉められた平面計画ではありませんが、よくあるパターンですから大きな支障にはならないでしょう。

さて、本棚と読書机ですが、読みたい本は基本的に文庫本だというので本箱の奥行きはあまり必要ありません。脇の壁の厚みを利用して、縦長の本箱をそっくり壁の中に埋め込んでしまいます。その本箱に扉を設けます。縦長のパネルは下がヒンジで上に取っ手を設け、上から下へ開くようにすると・・これが机になる。もちろん反対側にはパネルの当たりがあり、体重をかけても大丈夫なようにしておきます。ただし決して広いスペースではありませんので出っ張りには極力気をつけて金物を選びました。
扉兼用のテーブルの高さは床から70cm。普通の机の高さです。

本箱と対面する側には同じように縦長の小窓(ガラスルーバー)を設け、昼間は照明を点ける必要はありません。本箱の上には読書灯兼用で小さな照明器具を壁付けしました。小の用事の時は逆光になりますが、狭い部屋ですから壁の色を白っぽくしておけば反射光で影は問題になりません。

読書用個室(?)SketchUpで作ってみました。

SketchUpで描いてみました。だいたいこんなイメージです。

 お施主さんには気に入ってもらえたのですが、昨日「生活リハビリ」住宅の本を読んでフッと考えました。
「机の高さを、もう少し低くしたほうが良かったのではないかなぁ?」って。

少し前かがみになるくらいのほうが、読書の姿勢としては良くないにしても、けっこう机に肘付いて前かがみで読んでいる時ってありますよね。もともとトイレタイムですから何時間もその姿勢でいるわけではありませんし、排便し易い姿勢をその時は想像すらしなかったことを・・今になって反省しています。

そのお施主さんは10年ほど前に亡くなりました。
今はどなたが本を読んでいるのでしょうね。
イエローブック。



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