jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

半世紀経っても、未だに新鮮な響きが ・・・・・ CHARLES LLOYD / IN EUROPE & IN THE SOVIET UNION

2016-07-10 | ジャズ・ts

7月になると、デパートの夏物セールが始まりカミさんの買物に付き合わされる。一段落して、JR高島屋の上層階にある本屋へ。「キースを聴け!」を見つけパラパラと。

本作が「忘れられた名盤のトップ・ランク」(だったような気が?)とコメントされ、UPされていた。

 

 

1966年11月29日、ノルウェーのオスロでのライブもの。確かに、あの‘FOREST FLIOWER’があまりにも有名なので、つい聴き逃し勝ちになりますが、メンバーも同じで、しかもほんの二ヶ月半後なのでなかなかいいですね。

当時の「フラワー・ムーブメント」という社会現象と結びつき「サイケデリック・ジャズ」と安っぽい表現をされたが、ロイド・グループの演奏コンセプトは実はフリー・ジャズ・イディオムをベースにロック・ビートやその他の音楽のリズムを巧みに取り入れ、融合させた全く新しいジャズ・スタイルだった。

ジャズという既成概念、規範に囚われることなく、ひたすら自分のスタイルを追及し、見事にジャズ・ファンの感性を捉えたのです。

ロイドの凄まじい人気に「機を見るに敏な商売人」などとチクる方々がいましたが、ロイドの感性に追いついていけなかっただけのこと。

 

ロイドのtsは初め、コルトレーンのエピゴーネンと見做されていたが、この頃になると、むしろアイラーに近いサウンドとなっている。

B-2の‘European Fantasy’なんか、実にスピリチュアルな演奏でアイラーのラスト・レコーディングを聴いているような錯覚に陥る。4年も前という所がなんとも興味深いですね。

また、TOPの‘Tagore’でのデジョネットの革新的なドラミングは、このグループのポテンシャルの高さを暗示している。

録音が凄く良く、‘Manhattan Carousel’におけるC・マクビーのbソロは鳥肌ものですよ。

なお、聴衆の拍手が意図的にブースト?され、不自然に聴こえますが、内容とは無関係と割り切っている。まさかスタジオ録音に被せたとは思えませんが・・・・・・・

 

ページを捲ると‘IN THE SOVIET UNION’が。 

 

 

翌1967年5月14日、旧ソビエト連邦エストニア共和国のタリン市のジャズ・フェスティバルでライヴ録音されたもので、‘IN EUROPE’が「忘れられた名盤」と言うなら、本作は「知られざる大傑作」か?、と思ったら意外にもあっさりと、「熱い演奏」で終わっている。

誰が聴いてもこちらの方が圧倒的に優れているのになぁ。30分以上もスタンディング・オベーションが止まなかったという伝説のステージです。なにか別の思惑が有ったのかもしれない。

特にA-2、‘Sweet Georgia Bright’はもうぶち切れフリー・ジャズだが、、これ以上突き進むとOBというギリギリのラインで留まっている所が真にスリリング!これぞロイド・ジャズの真骨頂ですね。

インスピレーションに富んだキースのpは底知れぬ才能をまざまざと見せ付けるし、ロイドもデジョネットも、マクビーと替わったR・マックルーアも、もうキレまくっているよ。

興奮が渦巻くラスト・ナンバー‘Tribal Dance’も凄い!としか言い様がありません。コルトレーンをリズミカルにしたロイドの踊るようなtsに煽られる。

それにしてもこの日のキース、とても人間業と思えない。

 

ただ、残念な事に本作がリリースされたのは、1970年になってから。その時、既にこのグループは解散していて、しかも、潮目がエレクトリック・ジャズに移り変わろうとした時期に重なったのが痛く、米国DB誌では‘Make no mistake, this is an excellent album'と評され★★★★1/2と高得点を得たものの、我が国ではこの頃のロイドを色眼鏡で見る人が少なくなくほとんど話題に登らなかった。

個人的に「不滅の名演」と思っているのですが・・・・・・・

未聴の方は、勇気を出して(笑)是非、聴いてみてください。期待は決して裏切られません。

「太く短く」、鮮やかに散った象徴的なグループでした。



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