新鹿山荘控帳

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三代目三遊亭金馬の『佃祭』を聴いて

2009-07-12 18:02:22 | 芸術鑑賞
昨日の1時間ほどのダムまでのドライブで、三遊亭金馬の『佃祭』を聴きました。良い噺だったので、紹介いたします。
解説書によりますと、『佃祭』は起伏に富んだ面白い噺であるが、場面転換が多く、噺家にとっては難物とされるとあります。戦後の落語界でも金馬のほか数名が演じた程度とあります。

長らくいろいろ聴いていましたが、聴いた記憶のないのは間違っていないようです。

物語
 身投げをしようとした娘を助けた小間物屋の次郎兵衛は、三年後佃祭りの日に神田へ帰ろうとして乗りかけた渡し舟から、その助けた娘に呼び止められて船を下りてしまう。そしてその乗ろうとした渡し舟はその後転覆、全員が死んでしまう。昔助けた娘に三年後、助けられた。情けは人のためならず。

感激した噺。
①助けられた女の家出ご馳走になっていると、船頭の亭主が帰宅、舟の転覆という大事件を話し始めます。その後、女房と二人で名前も知らない命の恩人に対して、どう感謝の日々を送ってきたか語ります。また今後どう恩返しをしたいかも語ります。
この語り口が、いなせな船頭のべらんめい口調と下町の女房の口調で語られます。
命の恩人に三年ぶりに会ったときには、私もこんな風にお礼が言いたいと思わせる情景です。心のこもったお礼の言い方です。

②神田の次郎兵衛の自宅の場面。町内の主だったものが弔問に駆けつけます。大勢の人が死んだ事故のとき、死骸を引き取るための相談が住人達の間で進みます。江戸時代の町内の助け合いとはこんなものかと、楽しくなります。一方自分がそんな世話役になったとき、どう行動したらいいか考えさせられます。

③そこへ次郎兵衛が帰宅します。幽霊が出たかと大騒ぎです。

④人を助けるといい事があると感心した与太郎がまねをして、身投げをする娘がいないかと探しに出ます。

この『佃祭』には、侍以外の人物が殆んど出てきます。私は落語に出てくる、苦労はしているがしっかり者の下町の女房が好きです。そして勇み肌の職人達も好きです。
この『佃祭』には、悪人が一人も出てきません。それでいて楽しい噺です。そんなところが好きです。
帰路、『佃祭』を何度も聴きなおしたのでした。

まだ聴いたことない方は、ぜひ一度お聞きになりことをお勧めいたします。


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