作雨作晴


日々の記憶..... 哲学研究者、赤尾秀一の日記。

 

国際会議場と公園

2013年04月07日 | 日記・紀行

 

2013年平成25年4月7日(日)曇・霧雨*

天気予報の告知通り一昨日の美しい晴れの日の後に、一転して昨日は春の嵐どころか台風まがいの強風と雨が吹き荒れた。この風と雨では、満開の花には耐えられないかも知れない。

きのうの土曜日にほとんど一日吹き荒れたが、さすがに日曜日の今日になって収まった。まだ寒そうで淋しげな曇り空模様だったけれど、雨は上がったようだ。合間を縫って自転車で散策に出掛ける。

宝ヶ池トンネルの入口まで来た。自転車のために行き場を失った感じになって左側に進路を変えると、公園らしいところに入った。どうやらここが宝ヶ池公園らしかった。昔から公園の名前も知っていたし、この近くに勤めていたこともあったのに、まともに訪れるのは初めてだった。

長らく暮していながら一度も来たことがなかった。縁がなかったのだろう。いや、あるいは来たことがあるのかも知れない。ただ記憶に残らないほど定かでない昔のことだったろう。

たまたま今日の曇り空の下を自転車で散歩がてらに出掛けて、迷い込むようにこの公園にさまよい出た。まず目に付いた枝垂れ桜は、昨日の嵐で花を落としたらしく、年老いた女の髪のように薄く見えた。

春嵐し  幾たび耐えし

うば桜  誰に見せむと

匂ひとゞめん

 

 

 

 

一昨日の青空の下に眺めた賀茂川縁の艶やかな桜に比べれば、昨日の嵐のために薄くすっかり色も褪めたように見えた。それに代わるように山ツツジが彩りを添えていた。日曜日だったけれども昨日来の嵐と曇り空のせいか、人影も少なく静かだった。

ヤマ躑躅などの光景を久しぶりに持参したカメラのペンタックスで写真に記録しながら少し穏やかな坂を下ってゆくと池が見えた。池辺近くの休憩所の脇の壁に自転車をつい立て置いて、池の周縁を歩くことにした。格好の散歩コースにもなっている。歩き始めてすぐ、池とは反対方角の山に、というか丘の方向に一本の細い道が反れていた。このあたりに人気は全くない。



小柴がまだらに生えた細い道を、所々に色鮮やかな躑躅がトンネルで覆うように飾っている。その間を抜けるように歩いた。あたりには人気もなければ小動物の面影すら見あたりそうにも無かった。夕刻も過ぎていたので山手の方向には進む気持ちもなく、分かれ道で左手の方に、つまり、池に降りて行く方角に進路を選んだ。すぐに再び池縁の遊歩道が細い木立の間に見えた。

まっすぐに降りる。一本の倒木が小道を塞ぐように倒れている。きのうの嵐にやられたのか。その下をかい潜って遊歩道に出る。散歩やランニングをしている外人の姿が目に付いた。犬を散歩に連れ出している婦人たちもいる。池は思ったより大きい。向こう岸には、国際会議場のコンクリート造りの建物が見える。建設当時は建築家の丹下健三氏の名前でよく知られた。残念ながら私の好みの建築物ではない。1997年12月にここで環境問題をめぐって国際会議が開かれ、「京都議定書」としてその成果は知られている。


ゆっくり池縁をめぐる遊歩道を歩いてゆく。カメラを首に掛けて気に掛かった光景はすぐにカメラに撮れるようにした。趣味用に手に入れたはずが普段はデジカメで、ほとんど使うこともない。腕も上がらない筈だ。

ボートやアヒルを象った子供用の遊覧ボートが舫がれていた。今は人影もなく切符売り場も閉じられたままだ。暑い夏に再び来てボート遊びを楽しむのもよいかも知れない。



池の周囲を半分ほど回った頃になって霧雨が降り出した。休憩所の中に掲示板があって、この公園に棲息している小鳥や魚の種類などを説明している。後日に内容を確認し参考にするつもりでカメラに収めた。池を半周ほどして国際会議場を眼の当たりに間近に眺められるところに来て雨が少し強くなった。

 

それでも霧雨が小雨になったくらいで困ることもない。あたりを見回すと自転車に乗った若い男の姿の外に人影はなかった。垣根の中に、黒い石に和歌が草書体で刻まれてあった。この小さな歌碑の近くに植えられた桜の花は青白かった。小雨はまだ収まりそうにない。どこか近くに店でもあれば、入ってそこで雨をやり過ごそうと思って公園を出た。



 

 

 

 

 

 

おとといに花見途中に訪れた BOOKOFF の手前に、濃くなりつつある夕闇の向こうに、一軒の店の窓辺に客の後ろ姿と明かりが洩れ見える。

 

 


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