作雨作晴


日々の記憶..... 哲学研究者、赤尾秀一の日記。

 

ヘーゲル『哲学入門』第二章 国家社会 第二十四節 [国家]

2021年02月15日 | 哲学一般

 

§24

Der  Staat  ist die Gesellschaft von Menschen unter rechtlichen Verhältnissen, worin sie nicht wegen eines besonderen Natur­verhältnisses nach natürlichen Neigungen und Gefühlen, son­dern als Personen für einander gelten und diese Persönlichkeit eines Jeden mittelbar (※1)behauptet wird. Wenn eine Familie sich zur Nation erweitert hat und der Staat mit der Nation  in   Eins zusammenfällt, so ist dies ein großes Glück. 

第二十四節[国家]

国家 とは法的な関係の下にある人間の社会である。国家のうちにおいては、自然の性向や感情による一つの特殊な自然の関係としてではなくて、お互いが人格として認められ、そして、そこでは各人のこの人格性は間接的に主張されることになる。家族が自らを国民にまで拡大して、そして、国家と国民が一つになるそのとき、このことは大きな幸福である。


Erläuterung.

説明。

Ein Volk hängt durch Sprache, Sitten und Ge­wohnheit und Bildung zusammen. Dieser Zusammenhang aber formiert noch keinen Staat. Ferner sind Moralität, Religion, Wohlstand und Reichtum aller seiner Bürger zwar sehr wich­tig für den Staat. Er muss auch Sorge tragen zur Beförderung dieser Umstände, aber sie machen für ihn nicht den unmittel­baren Zweck aus, sondern das  Recht.

ひとつの民族は、言語、慣習そして風俗や教養などを通して結びついている。しかし、この結びつきはまだ国家を形成するものではない。さらに、そのすべての市民の道徳や宗教、福祉そして富などは確かに国家にとってとても重要である。また、国家はこれらの環境の改善に配慮しなければならないが、しかし、国家にとってはそれらは直接の目的ではなく、そうではなく 法 (正義)こそが直接の目的である。

 

(※1)
 diese Persönlichkeit eines Jeden mittelbar  behauptet  wird
「そこでは各人のこの人格性は間接的に主張されることになる。」

というのであれば、mittelbar(間接的な)にではなく、 その対義語である「unmittel­bar(直接的)に、人格性を主張する」とはどういうことかを考えるとわかりやすい。

それは親子や兄弟といった家族関係においてのように人格性を直接に互いに主張しあうのではなくて、国家においては各個人の人格性は法的関係を通して間接的に主張されるということである。

 

ヘーゲル『哲学入門』第二章 国家社会 第二十四節 [国家] - 夕暮れのフクロウ https://is.gd/XABEDE

 

 

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