風のささやき 俳句のblog

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冬の夜に 【詩】

2019年12月26日 | 
「冬の夜に」

冬の夜の胸の内は深く冷たいがらんどう
助けを求めている僕のうつろな言葉が
寂しい木枯らしのようにか細く高く鳴っている

冬の夜の胸の内には冷たい粉雪も舞い込んで
真っ白に視界が閉ざされてしまう
僕の思いはその中に埋もれた小さな石礫
誰も拾い上げるものはいなくて

冬の夜の胸の内は細かく震える
白い溜息以外には
許されているものはない僕は
当て所も無い視線を暗闇に泳がせるだけ

冬の夜の胸の中から染み出す冷たさは
手の先も足の先も凍えさせる
例えばこの部屋で一人
僕が明日の朝冷たくなっていたとしても
それはきっと不思議ではないこと

だから僕はきつい蒸留酒を呷って
内側から胸を焼こうとしている
その酒の匂いに咽ている
冬の夜の僕の赤い顔

冬の夜の部屋に一人
飽きられて捨てられた玩具のように
救われることのない僕の

冬の夜の胸の内はしんしんとしんしんと冷え
涙もつららのように伸びる
誰かの傍らに眠ることの
温もりを心から求めている