尻尾の切り方で本体の重要部位が解る事も。

　最近、大相撲における野球賭博問題とやらが報道されているようです。神事でもあり国技でもある崇高無類な大相撲の担い手たる力士達が、事もあろうに賭博に手を染めるなど以ての外、という風潮のようですけれど……何ともまぁ御目出度い、砂糖菓子のように甘ったるい思考であるように私には感じられます。

　そもそも賭博というのはサシの勝負でない限り、胴元が儲かるように出来ている代物です。賭博で儲けようと思うなら、胴元になるのが一番。そんな事は子供にでも解る道理ですが、にも関わらずそれを選択しないという事は要するに、勝敗に関わりなく賭け事そのものが好きであるという嗜好の持ち主であるか、或いは単純な計算も出来ない白痴であるかのどちらかでしょう。
　そして今回の件に関しては、その双方共に該当するのではないでしょうか。つまり、力士という連中はヤクザが取り仕切る賭博で自分は勝てる儲けられると夢想する程度の知能であると同時に、損得を度外視して賭け事そのものも好きという、非常に困った方々である、という事です。
　ところで一応念の為に申し上げておきますが、私は基本的に遵法精神を持ち合わせていない野蛮な非国民ですので、賭博に関わった力士達が悪いとは微塵も思っていません。自分で稼いだお金をどう使おうと勝手ですし、仮にも闘技を生業とする人間であるならば、自他問わず勝ち負けに興味を持つ事は自然な成り行きです。野球に限らず友人知人と勝負事を観戦していて、どちらが勝つか賭けるという行為自体は珍しくもないでしょう。まぁそこにヤクザを関与させるあたり、掛け金の取りっぱぐれを防止する為とはいえ賢い行為だとは思えませんけれど。
　そもそも神事だ国技だと飾り立ててみたところで、相撲も所詮は相手を倒すか自分が倒されるかという生臭い代物である事に違いはありません。力士には品位だ人徳だと色々要求されるようではありますが、品位と人徳だけあれば横綱になれるのかと言えば決してそうではなく、絶対条件として勝ち星の数が必要であるからには、七面倒くさい精神論は後回しにされて当然でもありましょう。力士にそんなモノを本気で求める事がそもそも認識の甘い行為であって、闘争の本質を見誤っている事甚だしいと考えます。

　と、此処までは単なる前置きでして。私は一連の報道を眺めていて、何とかして今回の一件を野球賭博だけで終わらせたいという相撲協会の願望のようなモノ、その匂いを感じてしまうのですね。
　これは別に難しく考えるまでもないお話で、後先も考えずヤクザを胴元として、損得の勘定も満足に出来ないまま野球で賭博をする輩が、自分達の執り行う相撲で賭博をやらない筈があるだろうか、という事。そして自分達が勝敗に関与可能な相撲において、賭博を理由にイカサマを……有り体に申し上げるならば八百長試合を行わない筈があるだろうか、という事です。
　まぁ、ひねくれた邪推であれば良いのですけれど。