Nの祝祭日

映画、読書などのメモ

犯人に告ぐ

2017-11-18 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★犯人に告ぐ
原作:雫井脩介
監督:瀧本智行
キャスト:豊川悦司、石橋凌、小澤征悦、笹野高史、片岡礼子、他
2007/日本

一向に捜査の進まない連続児童誘拐殺人事件を解決するため、
警察はテレビから犯人に呼びかけるという前代未聞の捜査を仕掛ける。
かつて捜査に失敗した1人の刑事がテレビを使って犯人を追い詰めていく
「劇場型捜査」を描いた雫井脩介のサスペンス小説の映画化.

男たちの執念が美しい。
原作の物語展開力生かしながら、
刑事群像に焦点を絞ることに集中し、
原作の甘い部分を見事に補完した。
登場人物の背景を少し変えて、より感情移入しやすいストレートな構成にしている。
俳優さんたちも個性的に役柄を演じ存在感溢れる人物が描かれた。
いろんな表情をもつ人物が登場し映画全体のアクセントがしっかり効いている。
物語の終わり方をどうするか楽しみにしていたが、期待以上。
映像もナチュラルでいい感じ。
抑制が効いている。
僕は十分愉しんだ。


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時をかける少女

2017-11-17 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★時をかける少女
Time Traveller,
The Girl Who Leapt Through Time
原作:筒井康隆
監督:谷口正晃
主題歌:いきものがかり「ノスタルジア」
キャスト:仲里依紗、中尾明慶、安田成美、勝村政信、石丸幹二、他
2010/日本

「時をかける少女」は通称「時かけ」。
原作は筒井康隆による短編小説。
あっけないほどの短編小説である。
ところが1983年、主演:原田知世、監督:大林宣彦 の「時かけ」として大ヒット。
この作品は何回観たことやら。
原田知世さん、いまもCMで活躍中。

その後、角川春樹自ら監督となって「時かけ」を作っている。
ほとんど話題にはならなかったと思うが、原田知世さんがナレーションをしている《幻の作品》である。
テレビドラマでも当然放映。1985年の南野陽子、1994年の内田有紀。どちらも観た記憶があります。
セーラー服が可愛く話題性はありましたが、原田知世のカリスマ性には程遠く。

そして、ほとんど忘れてしまって2006年突如として、アニメ「時かけ」の登場。
主人公は紺野真琴、芳山和子とは果たして同一人物か?
細田守の爽快なアニメキャラはほとんど吹っ飛び状態だった。
そのアニメキャラの声を担当したのが、仲里依紗。
吹っ飛び状態のまんま、2010「時かけ」に突入。
足太の曲線美をギラギラ魅せつけて、一気に時空を掛け捲りました。
エイッ!

長々と「時かけ」について語ったが、それだけブランド作品であるということ。


新しい「時をかける少女」。
筒井康隆さんもびっくり、大林宣彦もこれなら絶賛でしょう。
1970年代の表情には郷愁感を誘われます。
仲里依紗さんのハイスクール姿は躍動感があり、
「時かけブランド」はさらに急上昇。

昭和47年の百円玉貯金。これが意外にも物語のキーワードになります。
ひょっとしてボクの財布にも、、、。小銭入れには百円玉が22枚もあり、意外にも昭和のものは14枚ありました。
一番古いので昭和42年ものが3枚あり。
「芳山あかり」が間違えてタイム・リープした49年ものは2枚もありました。

実際に飛び込んだのは昭和49年、1974年です。ボクは学生時代を思い出します。
南こうせつ、吉田拓郎の懐かしい歌声が、トランジスターラジオから流れていました。
当時は、なんでこんな軟弱な歌が流行るんや! とある種の嫌悪感さえ持っていましたが、
避けられない「同時代性」も感じていました。

この「時かけ」は、限りなく美しい「70年代へのオマージュ」となっています。
中尾くんの姿は70年代の若者そのもの。びっくりするくらいのあの時代の表情。

その二人が、まさか、、、。
仲良くやっているようです。


筒井さんいわく
「私にとって『時をかける少女』は《金を稼ぐ少女》。
映画になるたびに本が爆発的に売れる。
でも今回で4度目で、
川端康成の『伊豆の踊子』は6回作られているから、まだまだ」

次はどんな《時かけ》ができるか、楽しみではある。


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森崎書店の日々

2017-11-15 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★森崎書店の日々
原作:八木沢里志
監督・脚本:日向朝子
キャスト:菊池亜希子、内藤剛志、田中麗奈、他
2010/日本

タイトルでもわかるように、これは古本屋さんを舞台にした物語。
ほんとに何ともないまったりとした内容だった。
若い女の子の失恋話、自分探し、中年男の懐かしい自分探しの旅、そしてcoffeeの香り。
ちょっとつっこみたくなるような類型的物語ではあるが、でもなかなか落ち着くんですね。
ちょっと和風のちょっといい感じのお店でゆっくりくつろぎいただいたお料理のような味わい。
ほんのり薄味で。
ごてごてけばけばした忙しない時代にあって、
時間の流れをゆっくり捕らえ、
街とそこに生きる人の日常を柔らかく包んでくれたのは心地良いもの。
ご馳走様でした。

勘と運だけを頼りに本を選び読むシーンが印象深い。
この作品の一番美しい映像だった。
「読書の真髄」ともいえるような。
東京神田神保町の古本屋街が愛情込めて描かれるている。
なかなか良い景色である。
京都の古本屋さんもずいぶんと数が少なくなったなと感慨深く振り返る。

あの謎の本の値段はどんな基準でいくらの値をつけたんでしょうか。
謎を深めてちょっとお上品。


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サイドカーに犬

2017-11-14 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★サイドカーに犬
原作:長嶋有
監督:根岸吉太郎
キャスト:竹内結子、古田新太、松本花奈、鈴木砂羽、他
2007/日本

物語はヨーコと薫がともに過ごした夏休みは1980年代はじめの設定。「コーラ」の缶も今では懐かしい細い250mlタイプ。よく飲んだよなぁ。「パックマン」も登場。1980年にナムコが発表したコンピュータ・ゲーム。80年に芸能界を引退した山口百恵の大ヒット曲「プレイバックpart2」。キヨシローの名曲「いい事ばかりは ありゃしない」。江川卓投手も登場。「野球」がまだ身近な時代。マージャンも懐かしい雰囲気。80年代初頭のレトロ・ワールド。

「サイドカーに犬」というのは、まさにバブルに向かう時代のささやかな象徴。
時々見かけたけど、どこか馬鹿馬鹿しくカッコよかった。
未来を信じていた時代?
で、今は?


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江ノ島プリズム

2017-11-13 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★江ノ島プリズム
監督:吉田康弘
出演:福士蒼汰、野村周平、本田翼、他
2013/日本

タイムトラベル好きにはたまらない作品だった。
青春ミラクル・トラベルファンタジー映画とラベルをを張ってもいい。
めちゃくちゃベターで、ちょっぴり幼い感じの作品ではあるが、
居心地が良く、見心地が良く、思いで写真のようで。
この感覚は記憶の奥に沁みます。

タイムトラベラーとしては、
絶対やってはいけないこと、いやできないこと。
それは
《過去の事実を覆すこと》
今回は、この難題に、俳優さんたちの若いエネルギーがぶつかります。
アレレと思うとこもあるが、
《野郎の若さと熱い想い》がそれを乗り越える。
自分と仲間との思い出を消す代わりに、友人の命を取り返す。

人間の存在とは何かを考えてみた。
《我思う、ゆえに我あり》
自分中心に考えればそうではある。
しかし、悠久の時間の中では、
《人の記憶の中に我が存在するが故に、我は存在する》 
人が存在することとは、案外そんなところかもしれない。

この作品、電車好きにもたまらない要素がつまっている。
江の電の姿、車内、ぽっかり浮かぶ江ノ島、カーブする線路、そしてトンネル。
時空がワープする条件が揃っている。

というわけで、《時かけ作品》として、質感のいい物語でした。

 


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K-20 怪人二十面相・伝

2017-11-13 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★K-20 怪人二十面相・伝
原作:北村想
監督:佐藤嗣麻子
キャスト:金城武、松たか子、仲村トオル、他
2008/日本

怪人二十面相は乱歩が生んだ、日本のダークヒーロー。子どもの頃は「少年探偵団」をよく読んだ。当時のテレビや読み物、漫画にはイイもんワルもん問わず、仮面をつけた、マントをつけた、とにかくようわからんモンがよく出てたなと思う。今から思えば不思議なスタイルであるし、笑えるスタイルでもある。時代を象徴するものかもしれない。

乱歩のシリーズでは、二十面相は何回でも捕まるし、死んだ事にもなる。でもいつも不死鳥のように生き返り、新たに明智小五郎とスリリングな対決を繰り返す。何回も何回も新しい物語として作られ、再生され、二十面相イメージが増殖されてきた。

映画の原作者となった北村想さんも、「伝」というスタイルで人間二十面相を描き、新しい物語を作り出している。そして今回、この映画はその北村さんの物語をさらに引き継ぎ、新たな怪人を生み出している。すばらしいヒーローという者は多くの人にいろんなイマージネーションを与えてくれるものだなと思い、ウットリ見つめ、納得した。

戦後の混乱と近未来の解け合ったような街の風景は、VFX技術とロケ地北九州の街が合体して非常にレトロな世界観が出ている。アニメを実写化したような世界。その街で生きる人物や空飛ぶ乗り物は、宮崎駿、押井学アニメのような雰囲気さえ感じた。

監督、脚本は佐藤嗣麻子さん。彼女はカプコーンの「鬼武者」のオープニングムービーを作っている。金城武さんはそのCGキャラであり、声優ばかりかモーションアクアーを担当している。2人は「鬼武者」繋がりであり、コンビの息はぴったり合っているように思えた。仕事運がついている。 金城武二十面相は、澄んだ瞳に笑顔が可愛く、どこかおとぼけで人に優しく、闇のダークヒーローではなく、庶民的正義派の正真正銘のヒーローである。乱歩や、原作北村二十面相とは全く違う。金城武さんの姿、顔は二十面相としてボクら目に焼き付いてしまった。


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アフタースクール

2017-11-12 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★アフタースクール
監督:内田けんじ
キャスト:大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、常盤貴子、田畑智子、他
2008/日本

スタートから画面に釘付けにされる。まさにびっくり仰天玉手箱。騙すことの楽しさ、騙されること馬鹿馬鹿しさの両方を愉しむ。映画の体感スピードはものすごく速いのに、醸し出す空気はゆっくりのどか。

登場人物みないい!
かっこよくてオシャレ。
みなそれぞれに役回りができている。
おもしろかったー。
騙されたー。

TBSが絡んでいるけど、テレビ感はなく映画感だった。
まちがいなく映画を見たという感じ。
観客はエンディングロールをしっかりみて、明かりがつき、ゆっくり立ち上がり、出口を出た途端に、一斉にしゃべりだした。
ざっくり騙される。
そして、すっきりする。
良くできているよ。

この映画のネタを少しでも知れば、面白さは間違いなく減るでしょう。
たぶん。


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キツツキと雨

2017-11-11 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★キツツキと雨
監督:沖田修一
音楽:omu-tone
キャスト:役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美、古舘寛治、黒田大輔、嶋田久作、森下能幸、高橋努、平田満、伊武雅刀、山崎努、他
2011/日本

タイトル《キツツキと雨》、よくわからんタイトルです。
《こんな意味深なタイトルをつける監督の感覚はどんなん?》

内容は、良い人ばっかりが集まって、
《のらりくらり》、
所々《ホロリ》、
雨振って地固まる式のラストに
《それぞれが生きる道》を見つけるというよくあるパターンでした。
でも予想通りちょっぴり《非凡なもの》を感じました。

役所さんと小栗さんのツーショットです。
《絵》としてはとても面白く、
二人の人物の距離感というか《人と人との間》を上手く表現していると思います。
この映画監督沖田修一さんの見せ所なんでしょう。
《日本人らしい感覚》だなぁと気持ちよく観ていました。
でも何処かわざとらしくありません?
普通、人はこんなわざとらしく《間》をとりませんよ。
そう思ってしまうとこの映画そのものが見れなくなります。
そう思わせないためにギリギリのところで勝負しようとする、
そして一層《簡略化して様式美》を追いかけて行く。
その結果、《絵》はとても美しいものになりますが、
一方少し狙いが透けて見えるようなわざとらしい《絵》になります。
この映画では、そんな《絵》が幾つも出てきます。
ですからこの手の作品は《いいなぁ》と思う反面
あざといなぁとも感じます。
難しいなぁ。(製作者はたいへんです)

小栗さん演じる監督の撮っていた映画は《ゾンビもの》でした。
子どもの学芸会みたいな《ゾンビもの》で面白くも何ともないんですが、
いつの間にか、
映画と映画の中の映画が混濁しはじめたところからこの物語は急に深化しはじめ、
引きこまれます。
《制作の苦労話》を織り込み、
《山村の素朴感》が漂い、
いわゆる《映画の味わい》が出てくる。
スピルバーグの《スーパー8》を思い出しました。

《キツツキと雨》、
結局このタイトルの意味するところはわかりませんでした。


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世界で一番美しい夜

2017-11-05 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★世界で一番美しい夜
原作・監督・脚本:天願大介
出演:田口トモロヲ、月船さらら、市川春樹、他
2008/日本(R-18)

世界で一番美しい夜
何かとんでもない映画を観た感じ。
奥が深そうな世界観。
物語は女子中学生の語りから始まる。(卵から生まれたので、へそがない)

滑稽であり、どこか切なくて哀しくもあり、愛の物語とみれば美しくもあり、皮肉っているようでありマジであり、不思議なファンタジーであるとも言えるし、男の願望を隠し味に使いながらも真の狙いでもあるようだし、縄文パワーや現代のテロをちらつかせながらも単なる笑いのネタでもあるようで、まぁとにかく、摩訶不思議な世界だった。
役者さんたちもいわゆるくせ者ぞろいで、それぞれのオーラを発する。

見せ場は草っ原での50人25組という集団セックスシーン。
遠い昔の太古のおおらかさを演出。
神々の時代と現代の時間を自在に行き来する「R−18ファンタジー」と呼ぶもの。
縄文パワー炸裂で、敢えてRー18表現にこだわっているところがいくつかあり、そこが可笑しくも面白くもある。

ボクの発見はスズキコージさんの絵本風アニメである。
色鮮やかで生き生きとした描写は、ファインアートのように原始的であり現代的でもあり、この映画のカオス状態にぴったりのイラストだった。
興味ある作家に出会った。
絵本をたくさん出しているようなので、見たくなった。


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愛のむきだし

2017-10-17 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★愛のむきだし
原題:Love Exposure
監督:園子温
音楽:原田智英
主題曲/主題歌:ゆらゆら帝国
キャスト:西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ、尾上寛之、清水優、渡部篤郎、他
2008/日本

手の動きが美しいのです。
この絵を観た時、ローラスケートでもやるんかと思ったんですが、
な、なんと、盗撮ポーズでした。
まさにカブキモノです。
やられるほうはまったく気にかけない凄い早業と芸術的ポーズに変態を通り越して、
アートを感じます。
この作品の本気度はこのポーズで早わかり。
たぶんこの盗撮ネタだけでも作品になったんでしょうけど、
これじゃサブカルチャーの領域範囲内です。
でも、園子温のもっともらしい哲学で、面白いモノができたかも。

スピード感あふれる魅力を見せつけたのは、西島隆弘くん。
彼は北海道出身のミュージシャンだそうな。

このパンチラ画像にこの作品のエッセンスがつまっています。
(怪しい画像を拾ったかな)
がんばってくれたのは、満島ひかりさん。
ものすごくパワー溢れる子で、その後もずっと注目、がんばっていますね。
彼女も沖縄出身のミュージシャンだそうな。

安藤サクラさん、この人の演技力はさすが。親からしっかりDNAを受け継いでいる。
助演屋さんです。
私生活も輝いていますね。

どーでもいいシーンだったけど、海辺という設定がいい。
ラストはちょっとありきたりのメロドラマになったが、
これだけ長時間作品でしたので、すかっと終わってすっきり爽快。
「無敵の純愛物」です。

園子温監督。いかにも怪しい雰囲気。
しかし、このカリスマ的表情がいいですね。


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しゃべれども しゃべれども

2017-10-15 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★しゃべれども しゃべれども
原作 : 佐藤多佳子
監督 : 平山秀幸
主題歌:ゆず「明日天気になぁれ」
キャスト: 国分太一、香里奈、 松重豊、八千草薫、伊東四朗、他
2007/日本

国分太一さんがものすごくいい味をだして好演。口跡のよさ、着こなし、歩き方などは落語家の立ち振る舞いそのものであり、まさに東京に生きる現代の噺家の姿のようであった。寄席の雰囲気、東京下町の風土、落語「火焔太鼓」の世界など、スタッフの表現力もすごく熱っぽく巧みである。落語家のいわゆる「化ける」瞬間がいい。

関西弁のイジメラレっこの少年、ネクラの謎のような若い女、不器用な野球選手といった人間のからみが面白い。またベテランの八千草さん、伊東さんがどっしりとした存在感を示し、東京下町の風土感を淡々と漂わせている。

ラストの場面がすこし淡白であり、もう少し観客をゆさぶる仕掛けがあってもいいかなと思ったが、ゆずの「明日天気になぁれ」がエンディング曲として流れ、爽やかで鮮やかな印象を残した。
落語は「間」が全てである。人生も「間」、そして人の出会いもまた「間」である。

 


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ソラニン

2017-10-14 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★ソラニン
原作:浅野いにお
監督:三木孝浩
キャスト:宮崎あおい、高良健吾、桐谷健太、近藤洋一、伊藤歩 、他
2010/日本

ボクは40年以上もモラトリアム人間をやっている。
ある意味、確信犯的にのらりくらりと。

何時その一歩踏み出すかは人それぞれだけど、非常に身につまされた映画だった。
ただ、無意味に赤信号に突っ込むのは、どうかな?
絵空事の物語であり、もう少し、人の輪郭をしっかり描いてほしかった。

宮崎あおいの絶叫ぶりには涙ぐましいものがある。
音楽をモチーフにしている作品にしてはこんなにヘタクソだとは思わなかったけど、、、、、。
でも、あおいちゃんですから許すよ。




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半分の月がのぼる空

2017-10-14 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★半分の月がのぼる空
原作:橋本紡
監督:深川栄洋
キャスト:池松壮亮、忽那汐里、大泉洋、濱田マリ、他
2010/日本

過去と現在を同時進行させながらも、観客には悟られないように物語は慎重に展開する。
そしてラスト、その時間が重なった時、それまでに張り巡らされた伏線の小道具が輝きを増し、そして空しくも切ない感動がふわーと沸き起こる。
高校生の青い純愛物語が、突然に大きな世界へと変化するその瞬間、「ああ、、、やられた!」と思わず頷く。
こういう心地よいお話は好きだ。

 


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百万円と苦虫女

2017-09-06 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★百万円と苦虫女
監督:タナダユキ
出演:蒼井優、森山未來、ピエール瀧。佐々木すみ江、齋藤隆成、他

この映画は、蒼井優一人のために、蒼井優ファンだけのために創られた映画のようだ。映画では彼女の存在感はとびっきり大きい。いろんな映画に顔を出していたが、なかなか表情まで読みとりにくかった。今回初めて、蒼井優の粘り越し、図太さ、芯の強さを発見し、アイドルだけではないなと期待感をいだかせるような映画に仕上がっている。

不器用な生き方、困った表情ばかりの生き方で、苦虫女。自分探しというより、見知らぬ人ばかりの世界でひっそり生きたいと願う後ろ向き考え。若い時は誰でもそんな思いに陥る時はあると思う。世の中ヒーローばかりじゃないからね。

映画の終わり方をいつも気にしながら観ている。ラストシーンに俳優さんの全ての魅力が表現される。ラストシーンに、監督やスタッフの考え方や力量の全てが表れると思っているから。

この映画の終わり方は断然良い!
蒼井優の表情は苦虫女ではなく、前向きに歩もうとニコッと笑った。脚本、監督のタナダユキはこの表情を引き出した瞬間、カメラを止めた。これで終わり。この選択はいい。

 


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俺たちに明日はないッス

2017-09-05 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★俺たちに明日はないッス
監督:タナダユキ
出演:柄本時生、遠藤雄弥、草野イニ、安藤サクラ、他
2008/日本

映画館には、おっちゃんも若い兄ちゃんもお姉ちゃんもそして、じいちゃんもいた。へぇ、と正直思った。監督タナダユキさん。監督ファンがいっぱいかな?ボクは、「百万円と苦虫女」で、完全にタナダユキちゃんのファンになってしまった。ググってみると、何とあの「タカダワタル的」も撮っているではないかい。あの酔っぱらいの吟遊詩人を追いかけるとは、これってただ者ではない。

HPより、タナダユキさんの言葉を拾った。
やるせなくて、行き場の無いモヤモヤを、へらへらと笑いながらやり過ごすしかなかった17才という時間。痛い目ばっか見て、明日なんかちっとも見えない苛立ちを、小さな心にいっぱい抱えて思い切り持て余して。楽しいことなんかひとつもなかったはずなのに、けれどやっぱりあれはかけがえのない時間だったと、そう思えるような、そんな時間を切り取った原作に心奪われました。(タナダユキ監督)

この感覚は彼女のものかなと思う。たぶん自分自身を語っているのでしょう。

主題歌がいい。ボクらには、ほんとに懐かしい「17才」。この映画のやさぐれかたにはピッタリの「17才」だった。またHPより、彼女の言葉を拾う。

銀杏BOYZ以外、考えられませんでした。初めて聴いた時、主人公の比留間の感情のうねりがあまりに胸に迫り来て、感激のあまり言葉を失い、その日は食事も取れなくなりました(笑)。歴史に残る名曲が生まれた瞬間に立ち会ったような感覚で、「大変なものを聴いてしまった!」と怖くなるほどでした。鳥肌が立ちました。(タナダユキ監督)

南沙織の爽やかさと対極にあるような鬱屈した「17才」
これもいいねぇ。

この映画の見所はやはり、わざわざ海辺に出かけて「やろう」というシーン。バスに乗ってでかけるところからが別世界になる。三島由紀夫の「潮騒」を思い出したくらいである。この海辺のシーンがなかったら、ただの性春物語で終わってた。タナダユキの乙女の美意識が撮らせた美しいシーンだったと記憶しておきたい。

やっぱり最後まで、主人公の男の子を見捨てられなかった。
卒業式を終えて、やっと
「明日の事を考えよう」か

でもちょっと注文。
すぱすぱ煙草すわせんなよ。
教師をぽかぽかなぐんなよ
PG−15に過剰表現するより、PG−12ぐらいにしておけば、
もう少しリアル性を追求できたのに。


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