有田芳生の『酔醒漫録』

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春近し「花月」に咲いた梅一輪

2009-01-24 10:38:57 | 随感

 1月23日(金)090123_16090001 板橋を離れざるをえなかったのは、事務所を維持するためであり、同時に新しいテーマを調査、取材するきっかけになると判断したからであった。しかも吉村昭さんが取材で200回通った長崎でもある。朝、ホテルを出て大浦天主堂へ。さらにオランダ坂にある知人の喫茶店に行ったところ、すでに長崎市に買収され、改装中だった。フランス領事館だったところで営業をしていたから、所有の経緯が不思議だった。それもわからずじまい。ホテルに戻って講演準備。自治労長崎県本部春闘討論集会での講演テーマは「新しい日本は可能だ メディアと政治の現場から見えるもの」。終わってから最終便まで4時間ほどある。丸山町の史跡料亭「花月」で女将の加藤公子さんに館内を案内していただく。いちばん驚いたのは坂本龍馬の直筆手紙(下書き)が展示されていたこと。孫文や頼山陽の額もあった。半藤一利さんの『幕末史』(新潮社)では、坂本龍馬に創造性はなかったと厳しい。たしかに薩長同盟を見出したのは、中岡慎太郎と土方久元であり、龍馬はのちに賛同してきた。とはいえ日本人にとっての龍馬像が揺るぐことはないだろう。頼山陽が3か月滞在した部屋を案内していただけば、そこで吉村昭さんが食事をしたとのこと。おいとましようと玄関先を出たとき「あっ」と声を出してしまった。梅が一輪咲いていたからだ。春近し。まだ時間があるので太田誠彦さんお勧めの「安楽子」へ。何とここにも吉村さんは通っていた。お勘定を済ませて電車通りに向かうと雪が舞ってきた。