有田芳生の『酔醒漫録』

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「機動戦」から「陣地戦」へ

2009-01-05 06:04:57 | 東京・板橋

 1月4日(日)090104_15510001 新年の路上での出会い。出版社時代の同僚だったHさんはもちろんのこと、テレサ・テンについて書いた『私の家は山の向こう』を読み終えたという女性、さらに藤田省三さんと私との対話「オウムを生んだ日本社会」(『藤田省三対話集成3』、みすず書房)を再読したという若い男性などに出会っただけではない。少し立ち話をしただけの女性からは、1時間後にメールをいただいた。ある重要事件を解決した元刑事にもばったり。客観的根拠を持って「私的」重点地区にした板橋区のある地域をボランティアスタッフと歩く。自民党の熱烈支持者だった男性は「少し離れたところに貼っていいよ」とご自宅の壁にポスターをはってくださった。こんな出会いの多くがうれしい。組織を持たない予定候補者としては、グラムシのいう「陣地戦」ではなく「機動戦」しか方法はないと思い込んでいた。それを抜本的に改めたのは「田中康夫方式」を取るようになってからだ。「組織なき陣地戦」は可能だと認識。そのための条件はある。それでも私のなかにあった「機動戦」と「陣地戦」の二項対立思考は崩れた。今朝のテレビでベテラン政治記者が「世間に選挙という声はありませんよ」と語っていた。ところが「現場」を歩き、対話をしていれば「いまの政治を何とかしなければ」「早く選挙をすべき」との意見にしばしば遭遇する。魂ある多くの商店主たちの言葉は本音だ。少なくとも私のなかでは評論と現場との乖離を実感するばかり。日が暮れて地元の書店へ。2009年の最初に買ったのは米原万理を特集した『ユリイカ』(青土社)1月号。万理さんの写真アルバムがとても素敵だ。表情の変遷を辿っていると「どこか」で質的な変化があったように思えてならない。