『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

「ゆれる」 浜田省吾「MONEY」

2007年02月08日 | 映画
内館牧子のTVドラマで、女姉妹のドロドロした関係を見ては、「姉妹ってのはヤダね~。嫉妬深いね~。えげつないね~。」などと他人事のように楽しんでましたが、それは気づかないフリをしてるだけでした。
男兄弟も、同じなのに・・・。
法事で親戚の子を膝の上に乗せて見事にあやすシーン(弟:オダジョーの方は、7年してもすぐ子供に馴染まれないキャラ)や、洗濯物をおっちんしてたたむ後姿に、兄:香川照之シンクロ率が高くなってきたところで、ひそかにエエなぁ~と思ってたパートの真木よう子に気持ち悪がられるシーンがきたところは応えました。
やっぱり、いい人系より、危うい香りのする方がええねんね~。
やっぱり、男も顔や、顔!
やっぱり、金や、金!
すぐ謝ったり(土下座の安いこと!)、女に気持ち悪がられてるのに気づかず余計キモイことする、モテナイ男のえげつないセンチメンタリズムまで描ききったこの脚本は、なんと女性監督の手によるものである。
西川美和。
広島県出身。
映画の端々で、同県出身の浜田省吾の歌「MONEY」を思い出しました。

「この町のメイン・ストリート 僅か数百メートル
 さびれた映画館と バーが5,6軒
 ハイスクール出た奴らは 次の朝
 バッグを 抱えて出てゆく」
ま、詩が書かれた時代が違うからあれだけど、晩飯食う所に困ってたし、なんとなく雰囲気は同じっぽい。
東京(都会)へ出たいというのは若者の共通意識としていまだにありそう。

「兄貴は消えちまった 親父のかわりに
 油にまみれて 俺を育てた
 奴は自分の夢 俺に背負わせて
 心ごまかしているのさ」
親父の伊武雅刀は、セミリタイア状態で兄が学費をってわけじゃなかったけど、まさにガススタで働く油にまみれた仕事をしてて、好きな仕事してるる弟に複雑な気持ちをもってるとこは一緒や~。

「MONEY MONEY MAKES HIM CRAZY
 MONEY MONEY CHANGES EVERYTHING
 いつか奴らの足元にBIG MONEY
 叩きつけてやる」
弟オダジョーは弁護士のおじ蟹江(伊武の弟)に、BIG MONEY、
伊武父は、被害者の家族に、BIG MONEY叩きつけてました。

以上が1番の歌詞で、2番は真木よう子とオダジョーの学生時代編みたいな詩になってて、最後の方には、こんな歌詞まである。
「俺はなにも信じない
 俺は誰も許さない
 俺はなにも夢みない」
兄と弟が面会室で対峙するとこがこんな感じでした。
このあと続く歌詞は「なにもかもみんな爆破したい」で、溜まりに溜まってから爆発する
兄みたい。

と、まぁしょうむないことを書いてますが、そんなん抜きにして漫画原作の氾濫する邦画界に、原作なし、こういう話を一から作り上げた才能は、素晴らしいにつきますね~。
自然体の演技が素晴らしかったオダジョー、死んだ鯛の目みたいになっていく香川照之、
典型的な田舎の家長伊武雅刀、ヒゲがカッコイイ蟹江敬三、法事によくいる親戚河原さぶと、役者陣もいい演技でした。
真木よう子が、ガソリンスタンドの制服姿でオダジョーの車の窓を拭くシーンがエロかったけど、ホントに西川美和さんって、男じゃないの?


★★★1/2