AOBATO'S PHOTO

花や鳥たちの美しさや可愛らしい仕草などを写真に修めようと奮闘中です。

猫の心意気

2013-07-04 18:19:04 | 

 

17.おばんとの出合い

 あたいの生い立ちは、前にも言ったけど、おじんが仕事している大きな牛小屋の二階があたい達4匹の生まれた場所だけれど、生まれて20日ぐらい経ってあたいらの目が見え始めたら、おかんに一匹づつ首根っこをくわえられて、見知らぬ家の縁側にあった段ボール箱の中に連れてこられたのよ。その次の日の朝、おかんがどこからか帰ってきたので、おっぱいがほしくてみんなでにゃーにゃーと一斉に鳴いてしまったのよ。そしたらあたい達の泣き声に気づいたおばんに見付かってしまったの。おばんに見付かった時は、それは恐かった。捕って食べられるのではと、直感的に「ぷーぷー」と威嚇して抵抗したもんよ。それなのにおかんは以外と知らん顔で、平気でおばんと仲良くしていたのよ。「赤ちゃん生んでいたのか」とおばんは、皿に牛のミルクを一杯入れて、段ボール箱の横に置いたの。始めはおっかなくってお皿さえも恐い感じがしたれど、そのうちおかんがそのミルクをぺろぺろしながら全部舐めてしまったの。おばんは「ミルクをいっぱい飲んで、子猫らのおっぱいをたくさん出してあげてよ」と言っていたの。この時があたいらとおばんとの出会いだったのよ。それから毎日ミルクを置いてくれるので、おかんは美味しそうにぺろぺろとなめるのよ。そんな時、旨そうな匂いがするものだから、おかんが舐めている時ミルクのお皿を興味深く覗く日が続いたの。おかんの舐めっぷりを見ているうちに、あたいらも舐めるきになったのよ。そして一匹ずつ小さなベロ出して、ぺろぺろと舐め始めると、それがとびっきりの美味しいお乳であることに気がついたのよ。美味しさの余り、つい怖さを忘れて、みんなで舐め始めたんよ。つまりおかんは自分でミルクを舐めるのをあたいらに何回も何回も見せて、あたいらに学習させていたんよ。舐めることを学習したあたいたちは、次第におばんが置いてくれるのを待つようになったんよ。ミルクを運んでくれるおばんのことを、こわいと感じなくなったのよ。そのうちおばんは時折あたい達をそーっと手にとって抱いてくれるようになり、おばんが恐い猫いじめする人ではないことが段々にわかってきたのよ。おじんともその頃からのつき合いになったのよ。