シネマ食堂 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2009-09-04 |
でも、すごく欲しいと思っているのです!
読んでみて、よけいにそう思いました。
著者の飯島奈美さんは、CMを中心に、映画の料理制作も手掛けるフードスタイリスト。
私も飯島さんを知ったのは、『かもめ食堂』という映画でした。
この本は、『AERA』に連載した、映画のシーンに出てきた料理を再現した企画をピックアップしたものですが、最初の1章は飯島さんの携わった映画の料理になっています。
(表紙も、『かもめ食堂』に出てきたシナモンロールです)
2章以降は、洋画、邦画、アジア映画と、さまざまなジャンルの映画の料理が再現されています。(映画じゃないのもありました『きょうの猫村さん』とか)
どの料理も美味しそうだし、飯島さんが携わった映画のページも、懐かしの映画の思い当たる料理も、観たことのない映画のシーンも、想像をかきたてて面白い。
でも、私が一番印象に残ったのは、撮影裏話などを語る“しごと日記”と、あとがきでした。
“料理が登場する映画を探して、年間140本くらいは観ているでしょうか”
“ときには2倍速、10倍速で観て、料理のシーンが出てきたら、改めてはじめから観たり”
なんて言葉に驚いたり、シフォンケーキを17個も試作したとか、ネコムライスのレシピを試行錯誤するうち、おなかいっぱいになったりしたエピソードなどにため息ついたり。
でも、大変なことが山ほどあっても、超ハードスケジュールでも、つくるのも、食べるのも大好き、という言葉の通り、本当に楽しんで仕事をしているんだ、ということに感動します。
それに、映画の料理を手掛けるときは、“シーンの意味を想像しながら食卓の献立を考えます”“どうしてそのシーンでその料理なのか、自分なりに理由が欲しいし、監督にも納得してもらいたいからです”という言葉には、当然といえば当然なのかもしれませんが、ああ、これがプロの仕事なんだ、と思いました。
料理への愛と、プロの心意気があふれた1冊。欲を言えば映画の情報がもう少し欲しかったですが、気になった映画を観てから読み返せば、また別の味わいがありそうです。