2番目の猫くっちが交通事故で逝ったのは、たしか冬のはじめでした。
息子のチゴりんは、5歳くらいだったかと思います。
彼はすごーく淡白で、抱かれるのも膝に乗るのも苦手でした。(それは母猫も同じでしたが)
それに何しろ雄猫なので、始終外にばかり出ています。
(ただし恋にも淡白だったらしく、かならず食事のために夕方には帰り、朝帰りなどはしませんでした)
私と母は物足りなく思っていたところへ、現れたのがあやでした。
チゴりんは、きっとショックだったと思います。見知らぬ子猫が家に入り込んで、愛情の大半も持っていってしまったことが。
けれど、彼はいつでも新顔の押しかけ子猫に親切でした。
悪戯盛りのあやにあちこち噛まれても、黙って耐えていました。
それに、あやは完全室内猫として飼いましたが時々は脱走したのですが、チゴりんは“この子は外に出てはいけない猫”とちゃんとわかっていた風でした。
あるときあやが勝手口から脱走し、ハッと思って前を見ると、ちょうどあやが走っていく先に、のんきにチゴが歩いていました。
私は思わず、「チゴちゃん、捕まえて!」と叫びました。
すると振り向きざま、ちゃんと「ニャン!」と返事をして、彼はラグビーのタックルのように横抱きにあやを捕まえようとしたのです。
結果として逃げられましたが、私はちょっとびっくりして、『この猫、言葉わかるんじゃないの?』と思ったものです。
チゴの方はあやを困った子、と思っていたようですが、あやはチゴが大好きでした。
あやのお墓に、「チゴ兄ちゃんが助けてくれるから、大丈夫だからね」と時々話しかけます。