2017年10月29日スイス国営放送『スイス・インフォ』
「スイスのヨガの学位は、ヒーリング能力を示すことができますか？」
Can a Swiss diploma help yoga showcase its healing potential?
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スイス政府は、2015年に「ヨガのディプロマ(大学卒業証書)」を認めました。他にも、アーユルヴェーダや指圧のディプロマを認可しています。
スイスはアメリカと同じく、公的保険がなく、民間保険会社です。
民間保険会社は、ヨガのディプロマ証書をもった指導者によるヨガ・セラピーに関しては、保険を一部支払っているようです。
There is incentive for professionals to acquire the diploma. Currently, some health insurers reimburse a part of the yoga therapy fees for clients who have opted for supplementary coverage as part of their health insurance. A therapist with a diploma is more likely to reassure health insurers, according to Ottilia Scherer, president of the Swiss Yoga Association.
「スイスの代替医療は2種類のディプロマがあり、「ナチュロパス」は、診断権と処方権があり、ハーブを処方できるし、ナチュロパスのディプロマは、アーユルヴェーダと中医学とヨーロッパ伝統医学(ハーブ医学)を含みます。」
Complementary medicine diplomas Switzerland offers two types of complementary medicine diplomas. The advanced one is that of a naturopath where diploma holders can diagnose ailments and prescribe treatments such as herbal preparations. Naturopath diplomas recognised by the government include Ayurveda, homeopathy, traditional Chinese medicine and traditional European medicine.
「もう一つのディプロマは補完医療セラピスト(Therapist)です。補完医療セラピストは、オイルマッサージを健康なヒトできるが、診断権はありません。補完医療セラピストのディプロマにはヨガ、指圧、頭蓋仙骨療法、オイトニーが含まれ、試験は、1年に2回、スイスの言語であるイタリア語、ドイツ語、フランス語で行われます」
The second diploma is that of a complementary therapist. They provide specialised treatments like oil massages to healthy people or those with small complaints but are not allowed to diagnose a disease. Complementary therapist diplomas recognised by the government include yoga, shiatsu, craniosacral therapy and eutony.
Exams for both diplomas are held twice a year at an educational campus in Sursee in canton Lucerne and conducted in three Swiss national languages: French, Italian and German.
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わたしがずーっと調べているスイスの代替医療の保険制度、教育制度(学位)、職業制度は、あいかわらず、ムチャクチャです(笑)。
【スイスの補完代替医療の制度】
スイスの代替医療・補完医療をめぐる歴史は複雑です。
スイス政府の官僚たちは2005年に代替医療の受けいれを拒否しました。
それに対して、直接民主制のスイスでは、2009年の国民投票で、中医学鍼を含む代替医療に対して保険支払いを行うように国民投票で憲法改正をすることを3分の2の投票で決定しました。
しかし、2011年にスイス内務省は、2017年までの6年間で、試用期間をおき、科学的根拠を、スイス国外の中立的な国際的科学機関が認めたら、受け入れるという政策を発表しました。
2015年4月に、スイス連邦政府、『スイス教育研究とイノベーションのための国家事務局（SERI=英語ではSecretariat for Education, Research and Innovation、フランス語ではSefri）』は、「ナチュロパシーのプロフェッション（La profession de naturopathe）」を認めました。
この「ナチュロパシーのプロフェッション（La profession de naturopathe）」は次の4分野に分かれます。
１．アーユルヴェーダ医学（médecine ayurvédique）
２．ホメオパシー（homéopathie）
３．中医学（MTC:médecine traditionnelle chinoise）
４．ヨーロッパ自然伝統医学（MTE:médecine naturelle traditionnelle européenne）
2015年9月にスイス連邦政府『スイス教育研究とイノベーションのための国家事務局（SERI）』が認めるディプロマ証書は、次の５つです。
１．ヨガ（yoga）
２．アーユルヴェーダ（ayurveda）
３．指圧（shiatsu）
４．頭蓋仙骨療法（craniosacral therapy）
５．オイトミー（eutony）
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『４．クラニオセイクラル・セラピー（頭蓋仙骨療法：Craniosacral therapy）』はオステオパシーの手技であり、オステオパシーの創始者アンドリュー・テイラー・スティルの直弟子ウイリアム・ガーナー・サザーランド（William Garner Sutherland:1873–1954) が1930年代に始めました。それを1970年代にオステオパシー医師のジョン・アプレジャー（John Upledger：1932ー2012）がまとめたものです。
『５．オイトニー（Eutonie,Eutony）』は、デンマーク在住のドイツ人ゲルタ・アレクサンダー（Gerda Alexander：1908-1994）がアレクサンダー・テクニーク（Technique Alexander）とフェルデンクライスメソッド（Méthode Feldenkrais）から自己流で開発したボディワークです。
2016年からスイス政府から保険支払いが行われている代替医療は、次の５つでした。
１．ホメオパシー（Homöopathie）。
２．薬草治療（Phytomedizin）。
３．中国伝統医療（TCM：Traditionelle Chinesische Medizin）の鍼。
４．アントロポゾフィー人智学医学（Anthroposophische Medizin）。
５．ニューラルセラピー（Neuraltherapie）。
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『５．ニューラルセラピー（Neuraltherapie）』は、ドイツの医師フェルディナンド・フンケ（Ferdinand Huneke:1891-1966）が開発した代替医療で、ヨーロッパと南アメリカで行われています。スイスのベルン大学（University of Bern）の補完医療研究所（Institute of Complementary Medicine）や、ドイツのハイデルベルク大学総合病院（UniversitätsKlinikum Heidelberg）が研究の中心になっています。麻酔科の医師が、神経ブロック注射、トリガーポイント注射と併用して、デルマトームへの麻酔薬注射を行います。西洋医学の麻酔科の先生が麻酔薬で鍼をしているような感じの治療法なので、西洋医学的鍼をしているヒトには参考になると思います。
そして、2017年8月1日からスイス政府が公式に保険支払いを認めた補完医療は以下になります。
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１．「人智学医学」Anthroposophischen Medizin,
２．「中医学」traditionellen chinesischen Medizin
３．「ホメオパシー」Homöopathie
４．「フィトセラピー（植物療法）」Phytotherapie
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『人智学医学（アンソロポゾフィッシェ・メディツィン：Anthroposophische Medizin）』とは、ドイツのルドルフ・シュタイナー（Rudolf Steiner：1861-1925）によって創られた医学です。1900年代に「神智学（テオゾフィー：Theosophy）」に傾倒していたルドルフ･シュタイナーは、1912年に神智学協会を脱退し、「人智学協会（アンソロポゾフィッシェ・ゲーゼルシャフト：Anthroposophische Gesellschaft）」を創設します。そして、「人智学医学」を医師イタ・ヴェーグマン（Ita Wegman：1876-1943）と共に開発します。
スイスは、結果として、ヨーロッパで最も補完医療・代替医療を認める医療制度を持つに至りました。