「○○に出演してくれる人を募集していま~す!」
スカウトと呼ばれる募集人は突然現れたかと思うと、ものすごいスピードで通り過ぎていった。ほんとに募集してるの?っていうくらいの勢いで消えていってしまった。
キャリアカウンセラーなる人から、あの辺りに行ったらスカウトがいますからと言われたところには誰もおらず、マジックショー出演の夢もその場でなくなった。仕方なく建設作業の仕事を得るために長い時間並び、やっとの思いで職に就くとそのスカウトが現れた。もう身動きは取れない...。
自分はすごく運がよく、そういう機会や縁をものにして生きているんだなんておぼろげにでも思い上がっていたが、まったくそんなことはないのかも知れない。こうして、幸運の女神が気がつきもしないところで目の前を通り過ぎているのを、見えていないだけなのかも知れない。
一方で、今を幸せと思うなら、今まで巡り会えた幸運、縁や機会に感謝しなさければならない。Sさん、Tさん、Sさんのみならず、出会ったすべての人たちに。その出会いがなければ今の自分はない。
初めて出掛けた話題のキッザニア。足早に通り過ぎていったスカウトのおねーさんの後姿と、それに気付きもしないで建設作業に勤しむ子供を見ながら、人生の縮図を見たような気がして、いろいろなことが頭をめぐった。