基本的に涙もろいので、泣ける映画やドラマからはなるべく見ないようにしている。しかし、泣けるとわかっていながらどうしても見てみたい映画が出てきてしまいDVDを借りてきた。とはいえ、そうわかっているとなかなか見れない。30日に借りてきて、結局DVDドライブに入れたのは2日も午後11時を過ぎてからだった。
観るまでに時間がかかってしまったが、いざ観てみるときれいな澄んだ映像に最初の5分で引き込まれてしまった。伊藤歩が身近な誰かと重なるのも手伝って、最後まで一気に観入ってしまった。
後から考えると何のことはない、大事なところはすべて客任せ、すなわちそこから先は見ている人の想像にお任せしますという感じに、すべてを描ききらない中途半端な作りになっている。後から見たWeb上のReviewを見ても賛否が分かれていて、結末がはっきりしない、主題が明確ではないという批判も少なくなかった。
僕としてはこういう問題を扱うのであれば、敢えて画にしてしまって作り手のイメージを観る者に押し付けるよりも、こうして曖昧にするのはある意味うまい演出だと思った。
出演している本人から直接話を聴く機会があり、その人の人柄に惹かれどうしても見たくなったという行きがかり上、もはや客観的な評価などできないが、いい映画だと思った。何かもっと見つけられるものがあるのではないかと、もう一度観たいという気持ちにさせられた。
『カーテンコール』2004年、公開は2005年。佐々部清監督の作品。あの短い出演時間で男優賞が取れるというのはすごい。