92歳の父は、外出は出来なくなったが、家の中での歩行も自分の身の回りの事も、
時間はかかるが、まだ一人で出来ているが、心臓に持病が有り、
介護の要支援2で、ヘルパーさんに週2回、昼食と掃除に来ていただいている。
ヘルパーさんが朝10時から1時間来てくれていても、
帰った後や来てくれない日など、いくら元気でも92歳の高齢の父を一人にしておくのは心配だった。
特に夜は10回ほどトイレに行く。
もしトイレで倒れたら、誰が助けてくれるのだろう。
私たち兄弟は、随分悩んだ。
家族の事、自分の事・・・・・。
それでも生きている内にしかできない親孝行を選択した。
会社を退社して、妹と協力して交替で父の元に帰っている。
「親孝行、なかなか真似できないよ」
「偉いね」
ヘルパーさんには「理想的な家族だ」と、褒め称えられた。
それが、こんな大きな落とし穴が有るとは・・・・・
家族が世話に帰っているのなら、ヘルパーさんの支援は受けられないので、
今のプランを見直したいと、
市の地域包括支援センターの担当者に言われた。
92歳の父は、今も介護保険料を払っている。市民としての住民税も、国民としての義務も果たしている。
それなのに公平に受けられるはずの権利は、受けられないのか?
私たちの親孝行が、仇になっている。
介護制度は、家族に押し付けて来た今までの介護が、高齢化や少子化で家族では支えきれなくなり、
皆で支えようと言う制度だと思っていたが、話は違う。
「親孝行だね」と持ち上げて置いて、結局、親の世話を家族に押し付けようとしているのだと、
私の不満は爆発しそうだ。
その裏には、増え続ける介護費用を抑えるために、
介護保険から、要支援1・2を切り離し市町村に任せるとの、国の方針が有るようだ。
そうすれば市町村の財政によって、全国一律の支援は受けられなくなるだろう。
ましてや高齢者の多い、過疎の町では、介護認定も一層厳しくなるだろう。
家族や自分を犠牲にして、結構高額な交通費を負担して、2~3時間かけて毎月父の元に帰ってくるのも、
私たちには、体力的にも精神的にも大変なのだが、
(私も65歳、高齢者なのだ)
四角四面の国の制度。
「これが国の決まりなのです」と、担当者はそう言う。
父が要支援2から要介護になれば、今の私たちの問題は解決するのだとも・・・・。
だからと言って、父に認知症や寝たきりになってほしいとは思ってもいない。
いずれ私も介護される身になるが、淋しい話だ。