赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

①緑の日本列島の隠された日本の財産が新たな文明を開く

2023-12-06 00:00:00 | 政治見解



①緑の日本列島の隠された日本の財産が新たな文明を開く
:231206情報


「石油を超える資源」としていま注目を集めているのが「木材」だと言われています。実際、中国では毎年、これの輸入のために石油の輸入額よりも多くの資金を投入し、100か国以上の国から、針葉樹においては32,931,710m3、非針葉樹においては. 11,995,835m3の原木を輸入しているようです。

そのため、もう一つの木材輸入大国である. 日本に対して大きな影響を及ぼしています。なお、日本と中国の森林資源を比較すると、中国の国土面積は 9 億 3,274 万 ha で,日本の約 25 倍。森林面積は 1 億 9,729 万 haで,日本の約 8 倍もありますが、中国の輸入量の拡大は、木材に何らかの価値を見出だしているのかもしれません。

一方、日本では、長年森林面積は変わっておらず、むしろ森林環境の整備のために森林伐採が必要とされています。豊富な森林資源はあるものの、木材供給は安価な輸入に傾いており、増えすぎた森林蓄積は土砂崩れなどの環境問題を引き起こしています。 国内森林の適度な間伐と、国内産業への有効活用が求められています。

要は、日本の木材は、宝の持ち腐れ状態にあると言えます。これをどう解決したらいいのか、当ブログ再三登場していただいている伊勢雅臣氏の『「緑の日本列島の隠された日本の財産が、新たな文明を開く」を、許可を得て引用し、日本のお宝を有効に活用する方法を考えてみたいと思います、



■1.国産材のボトルネックは乾燥

現代日本の林業が「三方悪し」に陥っている。要約すると:

1)国土に悪し: 先進国トップクラスの豊かな森林に恵まれているのに、樹木の年間成長量の25%程度しか使われておらず、手入れ不足のために荒廃しつつある。
2)世界の自然に悪し: 自国の森林を十分に活用しないまま、 国内需要の6割を海外からの木材輸入に頼っており、世界の自然に負担をかけている。
3)国民経済に悪し: 木材輸入代金に1兆2千億円余を使い、国内の林業経費の約7割は国庫補助金で負担。

問題の根本は、豊かな国内の森林を十分に活用できていない所にある。その理由は、国産材、特に杉は外材に比べて乾燥が難しいために、寸法や納期の問題を抱えていることだ。

乾燥には長い年月がかかる。自然乾燥では「一寸(3センチ)一年」というから、数十センチの丸太なら何年もかかる。それを短縮すべく、100度ほどの高温乾燥炉で1~3週間ほどで乾燥させる。この時間とコストがばかにならない。

しかも高温乾燥すると木が反ってしまう。反った分を削って真っ直ぐにすると削り代が無駄になる。せっかく真っ直ぐに削っても、しばらくするとまた曲がってくるので、出荷後の寸法問題が生ずる。1%縮んだとしても、2メートルの梁(はり)なら2センチ。これで家を作ったら、隙間だらけになってしまう。


■2.「自然界にある温度でなきゃかわいそうでしょ」

実は、この乾燥問題を一気に解消する発明が実用化されている。木材乾燥装置「愛工房」である。従来の装置は速く乾燥させるために100度もの高温を使っていたが、「愛工房」は45度だ。

木材乾燥のプロがこれを聞くと「45度!? ほんとかい?」と耳を疑う。高温の方が速く乾く、という常識の逆を行っている。しかも、杉の板材を乾燥させるのに100度の高温乾燥でも1週間かかるのを、45度の「愛工房」は1日で乾燥させてしまう。

「愛工房」の開発者・伊藤好則さんは、電気工事会社を経営していたが、60歳からは日本の林業のために、素人ながら乾燥装置の開発に取り組んだ。その取り組みを次のように述べている。
__________
素人なのがかえってよかった。経済や効率優先の考え方ではなく、「伐採してからも生きている」「呼吸する生き物である」という考えに基づき、「木の立場」に立って製作したところ、今までの乾燥機とは全く違ったものが出来上がりました。[伊藤]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「なぜ、45度にしたのか」と聞くと、「だって木は生きているんだから、自然界にある温度でなきゃかわいそうでしよ」と答える。[船瀬、p48] 

「なぜ、こんなに速く乾くのか?」と聞かれても、「なぜって言われても、速く乾いちゃうんだからしょうがない」と、腕組みをし、首をかしげる。[船瀬、p53]


■3.「杉って、こんなにきれいだったんだなぁ」

理論的解明はこれからだが、どうやら100度の高温乾燥は木を殺してミイラにするようなもの、45度はサウナで健康的な汗をかかせて水分を絞り出すもの、という違いがあるようだ。ミイラにする時間より、サウナで汗をかかかせる時間の方が短いのだろう。

高温乾燥した杉材は、表面はきれいでも、内部はパサパサ、しかも芯の水分は残っている。杉の色、艶、粘り、香りも失われている。高温乾燥の後では、乾燥室の床や壁に「嘔吐物」が出る。これは木の防虫・抗菌作用を持つ精油成分や、癒やし効果を持つ芳香成分らしい。

これらを吐き出して、ミイラになった木材は白アリ、ダニ、カビに弱い。だから、全世界の木材のほとんどは出庫・輸出前に、密かに殺虫剤や防腐剤の毒液を加圧注入、あるいは蒸気を染み込ませる。こういう「毒漬けミイラ」となった木材を使った住宅で、シックハウス症候群が起こる。

愛工房で乾燥した木材を、建設業者たちが手にとると、まずその軽さに言葉を失う。含水率は6~7%と、彼らが手にしたことのないレベルだ。
__________
さらに、あずき色の木目の流麗さ、色合いに驚く。「杉って、こんなにきれいだったんだなぁ」ため息。さらに、板を電灯にかざし、艶や照りに唸る。「虹みたいに光ってるよ、オイ」 そして、木片を鼻先にもっていく。目をつむって深呼吸。えもいわれぬ深い芳香にただ首をふる。
「凄っげえ、いい香り!」「こんな香りを嗅ぐの、初めてだよな」
中の一人が手招きする。「それだけじゃないよ。ちょっとこれ見て」乾燥済みの杉板の木口から目を細めて見る。
「ホラ、ぜんぜん反ってない」「ほんとだ、暴れてない」「寸法ピタリ!ありえねえ」[船瀬、p4]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

■4.木造住宅は、300年はもつ

「愛工房」で乾燥した木は生きているので、それで住宅を建てると、安らぎやリラックス効果を持つ芳香を部屋中に放つ。寝室や子供部屋に最適だ。自宅で森林浴ができる。体熱を奪うコンクリートに比べれば、木ははるかに暖かい。

「愛工房」で乾燥させた杉板でフローリングをすると、来客は10人が10人、「床暖房してます?」と聞く。

生きた木はコンクリートよりも何倍も強く、長持ちする。法隆寺の大工・西岡常一棟梁は「コンクリート50年、木は1000年」と言っていた。確かにコンクリートの建物は50年毎に建て替えねばならないが、法隆寺は1300年の風雪に耐えている。

生きた木は年々、年を経るごとに強度を増していき、築300年くらいで最高強度に達する。白川郷の合掌造りの古民家も古いもので300年と言われている。現代の木造家屋が2,30年毎に建て替えなければならないのは、ミイラ化して脆くなった木材を使っているからだろう。

毎世代、生涯をかけてローンを返しつつ、家を建てなければならないので、日本人は豊かになれない。欧州のように、200年も持つ家を建てたら、祖父の世代に建てた家に住み、親の代に買った別荘で遊び、自分の代でヨットを買うことができる。

数百年は持つ家を建てることが、日本人の生活を豊かにする一つの道である。


(つづく)


:お問い合わせ先 akaminekaz@gmail.com【コピペしてください】
  FBは https://www.facebook.com/akaminekaz
231206情報
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ESG(環境・社会・ガバナンス... | トップ |  ②緑の日本列島の隠された日... »
最新の画像もっと見る

政治見解」カテゴリの最新記事