ごじゃ満開

いすみ市内外の隠れた情報と
ちょっとしたエッセイ。

発掘

2010-05-07 19:11:55 | Weblog
茂原の現場。

電気配線のための
蛇腹パイプを
地中に埋設する。

たかだか6m程の距離を
10cm程度掘下げるだけ。

だが、
地べたが
砕石だらけなので
単にスコップって
わけにゃいかない。

ってことで、
“つるっぱし”で
ガリガリやりだした。

数十年もの間
締め固められた地べたに
ランダムな大きさの砕石。

それに立ち向かうべく
つるっぱしを
振り下ろす。

「ふんっ!」
『ぎゃり』
「ふんっ!」
『ぎゃり』

徐々に
いい調子で進む。

なにげに
いい汗かく。

「ふんっ!」
『しゃり』
「ん?」

軽い音とともに
うすぼけた光を放つ
小さな物体が出土。

見るとそれは
ほとんど
昭和の時代に
姿を消した
“プルタブ”だった。


「お、懐かしい」

小学生んとき、
夏休みの工作で、
これを数百個つなげて
“のれん”
を作ってきた奴がいた。

みんなは
「よく集めたなぁ」
とか
「きれぇ~」
とか言ってたが、
そんなもん、
危なくて
くぐりたくない。

という俺はというと、
12mm厚のベニヤで
“金庫”をこせた。

“貯金箱”のような
甘っちょろい
もんじゃない。

あくまでも“金庫”。

ダイヤルロック式の
扉を配し、
プロが使う塗料で
それっぽく模した
重厚感あふれる作品。

それを
机の上にドンと置くと、

「おおぉ~!」

扉が開く仕組みを
自慢げに公表すると、

「なぁ~んだ」
「簡単に開くんだんに」

皆、
散った。

コロンブスの卵は
小学生には感動が薄い。



10cm掘下げただけで
はるか深くから
湧き上がった
センチな思い出。