(今日の写真は、キシメジ科ナラタケ属の茸、「ナラタケ(楢茸)」だ。杉の葉っぱが落ちているところに生えていたものだ。杉林の中に「楢茸」とは?…と、思うが、この「キノコ」は余り場所を選ばないようだ。これは9月22日に撮ったものだ。
「ナラタケ」は、広葉樹や針葉樹の切り株や倒木に生える木材腐朽菌とされているから、別に杉林でもおかしくはないが、命名者の視点は、少しく「狭かった」とは言えそうである。なお、「木材腐朽菌」ということで、「林業」にとっては、「立ち木を枯らす」ので、嫌われているという。そして、この「立ち木を枯らす」ものを「ナラタケ病」と呼ぶそうである。立場が代わると、「親しさ溢れるナラタケ」も業病の扱いを受けるのである。
それはそれとしても、「天然キノコ」の中で、この「ナラタケ」は、とても庶民的で誰もが知っている「メジャー」なキノコではないだろうか。私は、こと「キノコ」に関しては全くの素人、門外漢を任じて憚らないのだ、その「私」でも知っているくらいなのだから、その「メジャー」振りは相当なものだろう。
そういう訳で「ナラタケ」は、もっとも身近で採ることの出来る「キノコ」だといえそうだし、数多くの愛称や「俗称」からも、古くから多くの人々に愛されてきた「キノコ」だとも言えるだろう。
また、この「ナラタケ」は、春と秋にも生えるので、年に2回も採ることが出来るのだ。今日の写真では、「ぽつりぽつり」としか生えていないが、秋には倒木などに「大群生」していることもあるのだそうだ。
ところで、キノコの判別は本当に難しいものだと思う。それは、種類の多さだけではない。その難しさは、「姿」や「形」が成長するに従い「変化」することである。
「ナラタケ」は比較的、分かりやすいといわれているそうだ。だが、それでも、傘の形が「幼菌では球形」、その後は「丸い山形」、開いからは「平ら」になり、最後は「上に反り返る」という「変化」を見せるという。
「ナラタケ」の傘の直径は3cmから10cmで、大きい傘のものは15cmにもなるそうだ。
傘の中央に暗褐色の細かい鱗片があり、周辺には放射状の条線が見られる。色は淡褐色から褐色で、柄は「丈夫な繊維質」で空洞、上部につばがあり下部は少しだけ膨んでいる。
「今日の写真」の「ナラタケ」の傘の表面には「ヌメリ感」が見られるが、これは、その日、午前10時過ぎまで雨が降っていて濡れているからであり、「ヌメリ感」は、通常はない。
「ナラタケ」…とは、本当に「キノコ」という格好をしている。食べても舌触りや歯切れの良さ、適度のぬめり感、出汁も味もよく出るのである。
22日には、小さなビニール袋に3分の1ほど採って帰ってきた。夕食には、それが「味噌汁」として振る舞われた。初物である。具は、この「ナラタケ」の他に「木綿豆腐」を粗めに切ったもの、それに、大根おろしを添えた。山の香りが、秋の香りが口いっぱいに広がった。昨日、知り合いが「マイタケ」を採ってきたといって持って来てくれた。その「マイタケ」はまだ、冷蔵庫に入ったままだ。私は、どちらかというと「マイタケ」よりも「ナラタケ」の方が好きなのである。
「キノコ」の成長は非常に早いのだそうだ。「今日の写真」の「ナラタケ」は「幼菌」であろうが、これも、2、3日後には、ちょうど採り頃になるはずだ。「マイタケ」を持参した知人は「キノコ採り名人」である。その彼が常々言うことは「採り尽さないのがマナー。来年も採るためには、必要量だけ採り、最低3割は必ず残さねばいけない」である。
さて、今年は「キノコ」の当たり年なのだろうか。猛暑が9月に入ってからも続いた超異常の気象であった。どうだろう。
「キノコ」や「木の実」には、大発生したり、実を沢山つけたりする「成り年(なりとし)」がある。いわゆる「当たり年」のことだ。
「ナラタケ」も、「成り年」には、採り切れないほどの大豊作となり、「成り年」の反対の「裏年(うらとし)」には、その姿を全く見ることが出来ないことになるそうだ。だが、今年は「生えている」ことは確実なので、そこそこ「採る」ことは出来るだろう。
「ナラタケ」には、「ナラタケモドキ」などの似た種類が多いのだが、一般的には、区別しないで一様に標準名の「ナラタケ」と呼んでいる。だが、愛称や俗称としては、他に「モダツ」「ポリポリ」「ボッコ」など多くの「別称」がある。何と地方名は200種近くもあるというから驚きである。昔から里山の「雑木林」に入ると沢山採れて、「キノコ鍋」の具材として馴染みの深いものであるから、そういうことになるのも当然なのかも知れない。
調べたところ、北海道などでは「ボリボリ」「ボリ」と呼ばれているそうだ。青森県の津軽では「サモダシ」、南部では「カックイ」、下北では北海道と同じ「ボリボリ」と呼ばれる。岩手県の中域では「ボリメキ」である。
秋田県では「モダシ」と呼ばれるが、地方によって色々な呼称があるらしい。また、地面から生えるものを「サモダシ」、朽木に生えるものを「オリミキ」と呼ぶ場合もあるという。秋田県南部の一部では、山や沢地に生えるものを「サワボダシ」、平地に生えるものを「クネボダシ」と呼んでいる地域もあり、鳥海山東麓では「モタツ」の名でも呼ばれているという。
私たちが「サモダシ」と呼んでいるのは、秋田の「モダシ」や「サワボダシ」の系統かも知れない。ここにも、「生物多様文化性」が見られるのである。)
「ナラタケ」は、広葉樹や針葉樹の切り株や倒木に生える木材腐朽菌とされているから、別に杉林でもおかしくはないが、命名者の視点は、少しく「狭かった」とは言えそうである。なお、「木材腐朽菌」ということで、「林業」にとっては、「立ち木を枯らす」ので、嫌われているという。そして、この「立ち木を枯らす」ものを「ナラタケ病」と呼ぶそうである。立場が代わると、「親しさ溢れるナラタケ」も業病の扱いを受けるのである。
それはそれとしても、「天然キノコ」の中で、この「ナラタケ」は、とても庶民的で誰もが知っている「メジャー」なキノコではないだろうか。私は、こと「キノコ」に関しては全くの素人、門外漢を任じて憚らないのだ、その「私」でも知っているくらいなのだから、その「メジャー」振りは相当なものだろう。
そういう訳で「ナラタケ」は、もっとも身近で採ることの出来る「キノコ」だといえそうだし、数多くの愛称や「俗称」からも、古くから多くの人々に愛されてきた「キノコ」だとも言えるだろう。
また、この「ナラタケ」は、春と秋にも生えるので、年に2回も採ることが出来るのだ。今日の写真では、「ぽつりぽつり」としか生えていないが、秋には倒木などに「大群生」していることもあるのだそうだ。
ところで、キノコの判別は本当に難しいものだと思う。それは、種類の多さだけではない。その難しさは、「姿」や「形」が成長するに従い「変化」することである。
「ナラタケ」は比較的、分かりやすいといわれているそうだ。だが、それでも、傘の形が「幼菌では球形」、その後は「丸い山形」、開いからは「平ら」になり、最後は「上に反り返る」という「変化」を見せるという。
「ナラタケ」の傘の直径は3cmから10cmで、大きい傘のものは15cmにもなるそうだ。
傘の中央に暗褐色の細かい鱗片があり、周辺には放射状の条線が見られる。色は淡褐色から褐色で、柄は「丈夫な繊維質」で空洞、上部につばがあり下部は少しだけ膨んでいる。
「今日の写真」の「ナラタケ」の傘の表面には「ヌメリ感」が見られるが、これは、その日、午前10時過ぎまで雨が降っていて濡れているからであり、「ヌメリ感」は、通常はない。
「ナラタケ」…とは、本当に「キノコ」という格好をしている。食べても舌触りや歯切れの良さ、適度のぬめり感、出汁も味もよく出るのである。
22日には、小さなビニール袋に3分の1ほど採って帰ってきた。夕食には、それが「味噌汁」として振る舞われた。初物である。具は、この「ナラタケ」の他に「木綿豆腐」を粗めに切ったもの、それに、大根おろしを添えた。山の香りが、秋の香りが口いっぱいに広がった。昨日、知り合いが「マイタケ」を採ってきたといって持って来てくれた。その「マイタケ」はまだ、冷蔵庫に入ったままだ。私は、どちらかというと「マイタケ」よりも「ナラタケ」の方が好きなのである。
「キノコ」の成長は非常に早いのだそうだ。「今日の写真」の「ナラタケ」は「幼菌」であろうが、これも、2、3日後には、ちょうど採り頃になるはずだ。「マイタケ」を持参した知人は「キノコ採り名人」である。その彼が常々言うことは「採り尽さないのがマナー。来年も採るためには、必要量だけ採り、最低3割は必ず残さねばいけない」である。
さて、今年は「キノコ」の当たり年なのだろうか。猛暑が9月に入ってからも続いた超異常の気象であった。どうだろう。
「キノコ」や「木の実」には、大発生したり、実を沢山つけたりする「成り年(なりとし)」がある。いわゆる「当たり年」のことだ。
「ナラタケ」も、「成り年」には、採り切れないほどの大豊作となり、「成り年」の反対の「裏年(うらとし)」には、その姿を全く見ることが出来ないことになるそうだ。だが、今年は「生えている」ことは確実なので、そこそこ「採る」ことは出来るだろう。
「ナラタケ」には、「ナラタケモドキ」などの似た種類が多いのだが、一般的には、区別しないで一様に標準名の「ナラタケ」と呼んでいる。だが、愛称や俗称としては、他に「モダツ」「ポリポリ」「ボッコ」など多くの「別称」がある。何と地方名は200種近くもあるというから驚きである。昔から里山の「雑木林」に入ると沢山採れて、「キノコ鍋」の具材として馴染みの深いものであるから、そういうことになるのも当然なのかも知れない。
調べたところ、北海道などでは「ボリボリ」「ボリ」と呼ばれているそうだ。青森県の津軽では「サモダシ」、南部では「カックイ」、下北では北海道と同じ「ボリボリ」と呼ばれる。岩手県の中域では「ボリメキ」である。
秋田県では「モダシ」と呼ばれるが、地方によって色々な呼称があるらしい。また、地面から生えるものを「サモダシ」、朽木に生えるものを「オリミキ」と呼ぶ場合もあるという。秋田県南部の一部では、山や沢地に生えるものを「サワボダシ」、平地に生えるものを「クネボダシ」と呼んでいる地域もあり、鳥海山東麓では「モタツ」の名でも呼ばれているという。
私たちが「サモダシ」と呼んでいるのは、秋田の「モダシ」や「サワボダシ」の系統かも知れない。ここにも、「生物多様文化性」が見られるのである。)