(今日の写真は、マメ科アズキ属の1年草(多年草とする説もある)「ヤブツルアズキ(藪蔓小豆)」である。
本州、四国、九州に分布し、亜高山から人里、田畑、河原、渓流、原野や草原、海岸などに生える。特に日当たりのいい草地に多く見られる。
蔓状で茎には、黄褐色の粗い毛がある。葉は互生し、3出複葉だ。小葉は卵形か狭卵形で長さ3cmから10cm、鋸歯のない全縁か、また浅く3裂している場合もある。葉の両面に黄褐色の長い毛が見られる。葉の付け根に粗毛を密生する耳状の托葉がある。
草丈は1mから2mほどだろうか。結構大きいのである。
8月から10月にかけて、葉の脇から総状花序を出して、「淡黄色」の花をつける。この花の色はまさに、「アズキ(小豆)」の花の色である。
花に見られる中央の「竜骨弁」はねじれ、左の翼弁がかぶさっている。また、右の翼弁は「竜骨弁」を抱くように、突き出ている。可愛らしいが、見なれていなければ「奇妙な花」に見えなくもない。だが、この「黄色」の花は秋の野原では非常に目につきやすい。
自然観察会を開く。春と秋、どちらの参加希望者が多いだろう。それは、圧倒的に「春の観察会」の方が多いのだ。冬の間、雪に閉ざされている雪国の人の「閉塞感」から、「解き放された」春への思がは強いのだろう。この気持ちは分からない訳ではない。
「秋の観察会」への参加者は「春」に比べると激減する。「春」の参加者へ「秋」に参加しない理由を問うと「花が少ない」からという答えが返ってくる。
だけれど、「花が少ない」というのは間違いである。秋という季節は夏の終わりから冬の初めまでで、特に降雪のない地域では、「秋という季節」はとりわけ、長くなるだろう。 秋の花は「多い」のである。だが、春の花と違って、「藪」を形成し、その中で他の植物と、しっかりと「共存・共生」していて、私たちの目に「見えない」ものも多いのである。見えないことが多いだけで花の数では「秋の花」の方が多いのである。
冬を前にして、これら秋の花が「どのように変化」をしていくのかをテーマにすると、「秋の観察会」も深みと広がりのあるものになるはずなのである。
たとえば、昨日の「ヤブマメ」の場合は「莢に入った豆」と「土中果」を比べてみるとかである。または、今日の花「ヤブツルアズキ」の種子どのようになるのだろうに主題をおいて、その時季に「観察」するのも面白いだろう。
「ヤブツルアズキ」の莢に入った豆果は線形で、毛はない。細長い莢に6個から14個の種子が入っている。その「種子」というのがこれまた、「アズキ」よりも小さいものの「アズキ」そっくりなのである。
そうなのだ。「ヤブツルアズキ」は栽培植物の「アズキ」の原植物なのである。これを品種改良を重ねた結果、今の「アズキ」にしたのである。そのことを考えると、非常に身近な植物ということにもなるだろう。
名の由来も、「藪に生える蔓性のアズキの野生種」という意味による。
「ヤブツルアズキ」によく似たものに「ノアズキ」がある。本州・四国・九州に分布し、原野や草原の日当たりのいい草地に生えて、蔓性であるということも「ヤブツルアズキ」にそっくりなのである。その上、花期も8月から9月であり、花の色も、草丈もほぼ同じである。だから、花の咲いている時季には、一見してどちらであるかを「同定」することは難しい。
しかし、果実の時季になると、その違いがはっきりしてくるのだ。「ノアズキ」の種子がサヤマメ状なのに対し、「ヤブツルアズキ」の種子は棒状で垂れ下がるのだ。その辺が、属名によく現れている。
「ヤブツルアズキ」は「アズキ属」であるが、「ノアズキ」は「ササゲ属」であることだ。ササゲ属であるから、「莢豆」となる。弘前市近郊の畑でもよく見られるマメ科ササゲ属の「ササゲ豆」と似ている格好となるのである。
「果実をつけていない時季」の「ノアズキ」はの葉は3出複葉で、3 つの小葉からなり、それぞれの小葉は「菱形」であるところから見分けるといいだろう。
アズキ(小豆)との関連で面白いことは「アズキ」の原野生種である「ヤブツルアズキ」が北海道では自生していないということである。
そして、その「ヤブツルアズキ」の自生していない北海道が、「アズキ」の日本における栽培面積の6割以上を占めるというのだ。 低温に弱く、霜害を受けやすいため、霜の降りなくなった時期に播種するなどの工夫、変種改良と開発によって、今では収穫量は大幅に増えた。
国産の品種には「大納言、中納言、白小豆、黒小豆」などがある。言うまでもなく、和菓子や中華菓子の重要な原料の一つである。日本人として知らない人はいないだろう。それほど親しまれている「日本の味」でもある。
餡にして、大福餅、饅頭、最中、どら焼き、あんパンなどの中に入れたり、牡丹餅(ボタモチ)の重要な材料でもある。
「アズキ」は古くから親しまれ、縄文時代の遺跡から発掘されているし、「古事記」にも記述があるほどだ。
また、「アズキ」の約20%はタンパク質で、栄養価が高い。また、「赤い品種の皮」には「アントシアニン」が含まれており、亜鉛などのミネラル分も豊富なのである。)
本州、四国、九州に分布し、亜高山から人里、田畑、河原、渓流、原野や草原、海岸などに生える。特に日当たりのいい草地に多く見られる。
蔓状で茎には、黄褐色の粗い毛がある。葉は互生し、3出複葉だ。小葉は卵形か狭卵形で長さ3cmから10cm、鋸歯のない全縁か、また浅く3裂している場合もある。葉の両面に黄褐色の長い毛が見られる。葉の付け根に粗毛を密生する耳状の托葉がある。
草丈は1mから2mほどだろうか。結構大きいのである。
8月から10月にかけて、葉の脇から総状花序を出して、「淡黄色」の花をつける。この花の色はまさに、「アズキ(小豆)」の花の色である。
花に見られる中央の「竜骨弁」はねじれ、左の翼弁がかぶさっている。また、右の翼弁は「竜骨弁」を抱くように、突き出ている。可愛らしいが、見なれていなければ「奇妙な花」に見えなくもない。だが、この「黄色」の花は秋の野原では非常に目につきやすい。
自然観察会を開く。春と秋、どちらの参加希望者が多いだろう。それは、圧倒的に「春の観察会」の方が多いのだ。冬の間、雪に閉ざされている雪国の人の「閉塞感」から、「解き放された」春への思がは強いのだろう。この気持ちは分からない訳ではない。
「秋の観察会」への参加者は「春」に比べると激減する。「春」の参加者へ「秋」に参加しない理由を問うと「花が少ない」からという答えが返ってくる。
だけれど、「花が少ない」というのは間違いである。秋という季節は夏の終わりから冬の初めまでで、特に降雪のない地域では、「秋という季節」はとりわけ、長くなるだろう。 秋の花は「多い」のである。だが、春の花と違って、「藪」を形成し、その中で他の植物と、しっかりと「共存・共生」していて、私たちの目に「見えない」ものも多いのである。見えないことが多いだけで花の数では「秋の花」の方が多いのである。
冬を前にして、これら秋の花が「どのように変化」をしていくのかをテーマにすると、「秋の観察会」も深みと広がりのあるものになるはずなのである。
たとえば、昨日の「ヤブマメ」の場合は「莢に入った豆」と「土中果」を比べてみるとかである。または、今日の花「ヤブツルアズキ」の種子どのようになるのだろうに主題をおいて、その時季に「観察」するのも面白いだろう。
「ヤブツルアズキ」の莢に入った豆果は線形で、毛はない。細長い莢に6個から14個の種子が入っている。その「種子」というのがこれまた、「アズキ」よりも小さいものの「アズキ」そっくりなのである。
そうなのだ。「ヤブツルアズキ」は栽培植物の「アズキ」の原植物なのである。これを品種改良を重ねた結果、今の「アズキ」にしたのである。そのことを考えると、非常に身近な植物ということにもなるだろう。
名の由来も、「藪に生える蔓性のアズキの野生種」という意味による。
「ヤブツルアズキ」によく似たものに「ノアズキ」がある。本州・四国・九州に分布し、原野や草原の日当たりのいい草地に生えて、蔓性であるということも「ヤブツルアズキ」にそっくりなのである。その上、花期も8月から9月であり、花の色も、草丈もほぼ同じである。だから、花の咲いている時季には、一見してどちらであるかを「同定」することは難しい。
しかし、果実の時季になると、その違いがはっきりしてくるのだ。「ノアズキ」の種子がサヤマメ状なのに対し、「ヤブツルアズキ」の種子は棒状で垂れ下がるのだ。その辺が、属名によく現れている。
「ヤブツルアズキ」は「アズキ属」であるが、「ノアズキ」は「ササゲ属」であることだ。ササゲ属であるから、「莢豆」となる。弘前市近郊の畑でもよく見られるマメ科ササゲ属の「ササゲ豆」と似ている格好となるのである。
「果実をつけていない時季」の「ノアズキ」はの葉は3出複葉で、3 つの小葉からなり、それぞれの小葉は「菱形」であるところから見分けるといいだろう。
アズキ(小豆)との関連で面白いことは「アズキ」の原野生種である「ヤブツルアズキ」が北海道では自生していないということである。
そして、その「ヤブツルアズキ」の自生していない北海道が、「アズキ」の日本における栽培面積の6割以上を占めるというのだ。 低温に弱く、霜害を受けやすいため、霜の降りなくなった時期に播種するなどの工夫、変種改良と開発によって、今では収穫量は大幅に増えた。
国産の品種には「大納言、中納言、白小豆、黒小豆」などがある。言うまでもなく、和菓子や中華菓子の重要な原料の一つである。日本人として知らない人はいないだろう。それほど親しまれている「日本の味」でもある。
餡にして、大福餅、饅頭、最中、どら焼き、あんパンなどの中に入れたり、牡丹餅(ボタモチ)の重要な材料でもある。
「アズキ」は古くから親しまれ、縄文時代の遺跡から発掘されているし、「古事記」にも記述があるほどだ。
また、「アズキ」の約20%はタンパク質で、栄養価が高い。また、「赤い品種の皮」には「アントシアニン」が含まれており、亜鉛などのミネラル分も豊富なのである。)