goo

▲ 「中学生の医療費完全無料化の請願」に対し、討論をしました。

 苦しい12月議会でした。
 日頃から子育て支援の活動に関わっている私。今の子育てに何が足りないかと考えたとき、私は「中学生医療費完全無料化です」とはとても言えない。でも、市民は無料化を望んでいる。9000もの署名が集まっている請願に対しどんな判断をするのか、、、議員になって、一番判断に苦慮したといってよいと思います。

 議員としての人気だけを考えれば、賛成したでしょう。
 しかし、どうしてもそれはできませんでしたので、丁寧にわかりやすく自分の考えを述べようと10分にわたる反対討論をしました。署名を集めた方々の傍聴もありましたが、その方々も真剣に私の発言に耳を傾けて頂き、感謝しています。

 議会が終わってから、傍聴席からも「よかった。よい討論だった」と言われ、少し気持ちが楽になっていますが、みんなが市の財政にも目を向け行動する地域作りに、これからも頑張らねばと思いました。

 以下、私の反対討論です。(10分にわたる討論だったそうです)

中学生医療費完全無料化の請願に対する「反対討論」
(討論)
 私の前に反対討論がありました。私は、私の前にされた議員のみなさんのように、反対を声高く言うことはできません。

■全くの反対ではない。税収が増えていく見通しがあれば・・・
 反対討論ではありますが、私は「医療費無料化」が全く不要だとのは考えていません。たくさんの署名を頂いていますので、丁寧に自分の考えを述べたいと思います。長くなりますが、お聞き頂きたいと思いますので、よろしくお願いします。

 どう判断すべきか、私は真剣に悩み、自分の考えを決めるために紹介議員である河合議員にもたくさんの質問をさせていただき、参考とさせていただきました。私は、共産党さんが紹介議員だから反対だということはありません。議会でも「愛西市の子育て支援は、小学生の医療費完全無料化、保育料が県下でトップクラスで安いこと、6年生までの児童クラブ、病児病後児預かりの実施、保健センターなどの相談業務、発達障害への対応の充実など、他市に比べかなり進んでいる」という評価をしてきたのが、私と共産党議員のみなさんです。

 「税収が右肩上がり」であり、そして、「この先5年間で国からの交付税が22億円も減らされ、その備えが急務であるという現実」がなければ、私は賛成すると思います。
 しかし、15歳の赤ちゃんがおぎゃーと生まれるわけではありませんので、確実にこの先15年は生産者人口がすごい勢いで減り、2015年には、すべての団塊の世代の方々が年金全額支給となり、2025年には急激に介護が必要となる75歳以上となり、4人に1人が75歳以上の社会となります。75歳以上の高齢者が今の2倍近くに増える現実があり、その準備を急がねばなりません。

 私は、日頃は、子育て支援の現場で活動しています。
 介護問題は、若い世代にとっては、自分の親の問題であり、晩婚化により、子育てと介護を一緒に担わねばならない現実もすでにでてきており、介護の充実がなければ、若い世代が安心して働けないという意味からも、「介護支援」は「若い世代支援」にもつながるとも考えています。

■市民の気持ちは「大型庁舎を建てるお金があるのに・・・なぜ?」
 「無料がいいか、有料がいいか」と尋ねられれば、多くの方が「無料がよい」というのはどのような問題でも、市民の意識として当然のことです。声をかければ、ほとんどの方が署名をされることもよくわかります。
 そして、「大きな庁舎を建てているのに、なぜ中学生の医療費の無料化ができないの」という気持ちも、私は「大型ハコモノに反対し、超高齢化社会に備えた福祉の充実を進めよ」と主張してきた立場ですのでよくわかります。
 これが多くの市民の気持ちであり、今後行財政改革を進めていく上で、市民の皆さんと市との大きな壁になることを、議会も市も肝に銘じるべきと考えています。

■議員として、「請願」にどう向き合うか。
 今回の請願に賛成すれば、私の人気はあがるでしょう。しかし、私は、「請願に対して議会として議員として、どんな役割を果たさねばならないか」、書籍を読みあさり、そして自らも考えました。
 河合議員は「たくさんの署名が集まったものは、議員として賛成すべきだ。あとは市が考えることだ」と主張されました。しかし、私は、請願への判断は、議会としての責任は重く、「直ちにすすめるよう後押しすること」であり、議会は、その事業の効果など事業評価をする役割があると考えました。

■効果のあがる事業を、効率よく実施していかねば、負担という形で市民に返ってくる
 さきほどから申し上げていますように、今後、税収が減り、福祉の充実がますます必要になります。貴重な公的資金を使うからには、問題解決に効果のあがる事業を、できるだけ低コストで達成していく工夫が今後さらに必要になります。そうしなければ、別の負担という形で、納税者である若い世代にかかってきてしまいます。

 そこで、中学生医療費完全無料化が、「経済的負担の軽減」、「健康への貢献」にどのような効果があるか、子育て中の方々に聞いたり、ワークショップなどをしたりして考え、より効果的な手法についても議論しました。

■中学生の医療費がどうなっているか現状。経済的負担の効果は?健康増進は?
 まず「中学生の医療費がどうなっているか現状」をみんなで調べたり、考えました。
 1.生活保護世帯の子どもは、今でも無料
 2.母子家庭など一人親家庭の子どもは、今でも無料
 3.国が指定している病気は、今でも無料
 4.障害のある子どもは、今でも無料
 5.入院のときは、全員が、今でも無料
 6.学校やスポーツクラブでのけがは、保険がきく
 7.大人に近い身体になり、医者にかかる機会が少ない。(歯医者くらいかな)

 これが現実であり、生活困窮者や病気へのリスクの高い子どもへの支援は、すでにされており、今、高額の医療費で困っている人は、国の指定を受けていない病気で継続的に通院せねばならない、つまり喘息や心臓等の疾患のケースです。そして、生活困窮という意味からは、準要保護児童生徒が考えられます。

 こうしたワークショップや頂いたご意見では、「無料であることは何となく安心」、「他市と比較され、愛西市が遅れていると感じてしまう」という意見や、「もっと他のことで確実に経済的支援につながることをして欲しい」など意見としていただきました。

 また、文教福祉委員会でも申しましたが、あるお父さんからは「医療費無料化よりやることがあるだろう。中学校がどうなっているかわかっているのか」と、現在、学校があれてガラスをわったり、ラインでイジメをしたりと教育環境が乱れていることから、「子育て支援が必要なのは、小さい子どもに対してだ。中学生に大切なのは教育だろう」など厳しい声も頂きました。

■文教福祉委員会視察:「中学生の医療費無料化が政治的な人気取りに使われていて、課題解決につながっていない」
 そして、昨日は、文教福祉委員会で視察に伺った「千曲市、岡谷市」でも中学生の医療費無料化のお話しをうかがい、紹介議員である河合議員も一緒に行かれました。
 導入理由としての説明は「実施するのが最後になるのはいやだったから・・・」とか、「市長の公約だったから」と、効果への評価なしで政治的なことからスタートしているのが現実でした。
 そして、私はその場で、「中学生の医療費無料化は、少子化対策や健康推進、女性の就労拡大に貢献できているか」との質問をしたわけですが、苦笑いで、そのようなデータは得られていないとの回答でした。
 また、頂いた導入後のデータからみても、残念ながら子どもたちが健康になって医者にかかる機会が年々減っているかと言えば、その逆で、生徒数が減っているにもかかわらず、市の負担額が増えていっているのが現状でした。


■医療費無料化はどうあるべきか
 そこで、私は、「子どもの医療費」は、どうあるべきか考えました。
 市町村が競って無料化するのではなく、どこに住んでいても公平に受けられるサービスとして、義務教育と同様、国の方針のもと進めていくべきものと思っています。
 紹介議員からは、「中学生の医療費が無料化でないから、愛西市から引っ越していってしまう」という主張がされました。それも原因の一つかもしれませんが、かかる医療費より引っ越し代の方が高くついてしまうので、その主張はちょっと違うのではないかと思います。仮にこうした理由で、子どもに引っ越しが強いられるならば、子どもにとっては迷惑な話で、1自治体の問題ではなく、なおさら国としての取り組みが重要だと感じます。

 私は、ひとつ、転出ではなく転入としての事例を知っています。「愛西市には病児病後児の預かりの仕組みがあるから引っ越してきた」と、お隣の弥富市から引っ越ししていらっしゃった方があります。女性就労に貢献し、子どもの安全が守られるサービスがここにあることこそ重要なことではないでしょうか。

■結論と代替案
 以上、1.中学生の医療費完全無料化についてのワークショップ結果、2.事業評価について、3.文教福祉委員会視察結果について、4.医療費無料化のあるべき姿について、お話しをさせて頂きました。
 無料化は、国が進めるべき課題との考えですが、国が進めていない現実があり、市町村として今何をすべきかを考えたとき、「市は、手をさしのべねばならないリスクの高い子どもに、着実に手をさしのべることをすべき」と思っており、6000万円を中学生の医療費完全無料化に使うのであれば、それよりも次の3つの提案をいたします。

1つめは、リスクの高い子どもを救う意味で
・ 喘息などの持病のある中学生に対し、医療費を無料化を進めること。
・ すでに、生活保護世帯や一人親世帯の医療費は無料化になっているので、準要保護児童生徒にまで無料化を進めること

2つめは、子育てのニーズが多様化していることから
・ 杉並区で10年以上前に導入してきた「子育て応援券制度」を提案します。この応援券は、市が指定したサービスに利用でき、医療を受けたり、習い事や予防接種、市のイベント、児童クラブなどに利用できるしくみで、生活困窮者の教育支援などにも有効であり、市民活動の活性化や民間活力の活性化にもつながると考えます。   

3つめは、保護者の経済的負担を減らす工夫として、学校での備品化を進めることを提案します。
・ 学校によっては、算数セットなどの備品化が進んでいる学校もありますが、全校に広がっているわけではありません。また、鍵盤ハーモニカまでが個人購入になっている学校もあります。以前、立田村議会でも取り上げましたが、道徳読本の備品化や、その他書写の教科書や彫刻刀や副読本の備品化など可能なものがたくさんあり、保護者の経済的負担の軽減は、学校の備品化を進めることでかなり達成できるのではないでしょうか。提案します。

 そして、もうひとつ加えるとすれば、今年児童クラブ利用料が周辺自治体に比べ1000円高くなり、6000円になりました。パート勤務が多い中、負担増となり、子どもが一人家に残されているのでないか心配で、もとに戻す必要があります。
 また,現在保育料の見直しもされていますが、県下で安さトップクラスを返上しないことも重要です。

 河合議員にも確認しましたが、今回は、残念ながら「完全無料化」を強く求める請願であるとのことですので、反対はいたしますが、リスクの高い子どもたちに市として無料化の幅を広げることには賛成です。たくさんの署名を頂きました。こうした声を無駄にすることなく、低コストで効果の上がる支援策に市として取り組んでいただくことを希望し、私の反対討論といたします。

■ 議会を終えて・・・

 今日も中学生のおかあさんと話す機会がありました。
 「中学生の医療費完全無料化は必要ないよ。ひとつだけ示せば、みんな賛成するに決まっている。でも、『医療費の無料化と学校教育の充実と、どちらをやってほしい?』と聞けば、医療費をたくさん必要とする家庭以外はみんな『教育』と答えると思う。複数の選択肢を示して聞いて、優先順位の高いものからやってほしい。みんな責任をもって行動するようにならなきゃ」、「無料ほど怖いものはない」と、すごい感動的なご意見を聞きました。

 市民の方は、よくわかっていて下さると感じました。

  みつこは子育て支援に関わる者として、効果や必要性が低いものが、見栄えが良いからと政治的や選挙に使われる流れにだまっていられませんでした。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12月22日(月)のつぶやき

本日の児童クラブれんこん村のおやつは、オープンで焼いたフレンチトースト。自分の分は自分で取りたいとかで、取る順番のじゃけんが始まりました。もめないように、子供たちは知恵を絞ります。 pic.twitter.com/SCx8Tgk7TS


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする