2022年12月22日ディリー新潮より、
「愛媛農業アイドル自殺訴訟」勝訴した社長が語る「テレビ報道」への疑問 「なぜ『ミヤネ屋』は判決を報道しないのか」(全文) | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)
世間では風化しつつあるが、「愛の葉Girls(えのはガールズ)」の元所属事務所「hプロジェクト」社長の佐々木貴浩氏(54)は、当時のバッシング報道を忘れることはない。
「テレビで事実が捻じ曲げられて伝えられ、私が“悪者”になっていくんです。『遺族側の主張によると』という断りを免罪符のようにして、先方にとって都合のいいストーリーが垂れ流されていく。個人の力では抗えない大きな力を前に、なすすべがありませんでした。今でもフラッシュバックすることがあります」
2018年3月、「愛の葉Girls」の中心メンバーだった大本萌景(おおもと・ほのか)さんが、自宅で自ら命を絶った。最初にこの問題を報じたのは文春オンラインだ。
5月19日に「母親が告白 農業アイドルだった大本萌景さん(16)は、なぜ自殺しなければならなかったのか」 というタイトルの記事を配信。萌景さんが友人に自殺する直前、「辞めるなら1億円払うよう社長に言われた」と話していたなど、事務所側のパワハラが原因で娘が自殺したとする母親の主張を5ページにわたり掲載した。一方、佐々木氏の言い分は5行だけだった。
佐々木氏は「ここまではまだ看過できた」と振り返る。
「悪夢が始まったのはそれから5カ月後の10月11日、遺族が約9200万円の損害賠償を求めて、私たちを訴える記者会見を東京で開いた時からでした」
ワイドショーを中心にテレビ各局が堰を切ったように動き出した。日本テレビ系列「情報ライブ ミヤネ屋」、「スッキリ」、テレビ朝日系列「グッド!モーニング」、フジテレビ系列「めざましテレビ」、「直撃LIVE グッディ!」、TBS系列「ひるおび」、「ビビット」、「あさチャン!」。報道番組も、NHK「おはよう日本」、テレビ朝日系列「報道ステーション」、「ANNスーパーJチャンネル」、日本テレビ系列「news every.」……。
会見が行われた11日と翌12日、テレビは「農業アイドル自殺」一色だったと言っても過言ではない。週末までの数日間、報道は続いた。
「提訴会見は突然のことだったので、私たちが取材対応できたのは会見が行われた日の夕方でした。ただ、この時にはすでにワイドショー報道は始まっており、『かわいそうな遺族』『悪徳社長』という印象が世間に植え付けられていた。翌日から、私の反論も報じてもらえるようにはなったものの、後の祭りでした」
佐々木氏はバッシング報道が起きた背景として、「相手方の弁護士の存在が大きかった」と振り返る。
「会見で弁護士が自信満々に、『1億円発言』が事実としてあったかのように訴えたわけです。記者さんたちも、まさか弁護士がファクトを捻じ曲げるとは思わなかったのでしょう。アイドルの労働環境という観点からも注目のニュースになってしまった」
当時、佐々木氏は混乱のなか、テレビ画面に“悪人”として映し出される自分の顔を呆然と見ていたという。
「画面に私の顔がアップで映り、『事務所を辞めるのであれば1億円支払え』というドスの効いた男性の声のナレーションが流れている。他にも、スタッフが長時間労働になってしまった日もあったと伝えたつもりだったのに、『アイドルの過重労働を認めた』と勝手に編集されてしまい……。スタジオで専門家に『これは昭和のやり方だ』などと批判されてしまいました」
テレビの影響力は凄まじく、事務所には全国から批判の電話が殺到。電話線を抜かなければ業務ができない状況に陥った。ネットにも波及し、SNSでは「パワハラ社長」「人殺し」というワードと共に佐々木氏の顔写真が拡散されていった。
「毎日、死を考えました。私だけならばまだ耐えられるんですが、従業員、愛の葉メンバー、メンバーの親御さん、子供、取引先、みんなに多大な迷惑をかけてしまっているんです。細胞の一つひとつが壊れていくような感覚に陥りました」
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そして迎えた今年6月の一審判決。原告の訴えはすべて棄却された。過重労働もパワハラも「1億円発言」も認定されなかった。12月21日の高裁判決も同様で、原告の控訴は棄却。原告側は19年7月に、別途、萌景さんへの未払い賃金8万円の支払いを求める訴訟を起こし最高裁まで争われたが、すべて佐々木氏が勝訴している。
一審判決は新聞各紙が報じた。ほとんどが判決内容を簡単にまとめただけの数行のベタ記事であったが、佐々木氏は家族や支援者らと涙を流して喜んだ。
「ようやく名誉が回復されたんだと心が晴れました。あの時はそれで満足してしまったのです」
だが、時間が経過するにつれ心の中にもやもやとしたものが広がり出した。「なぜテレビはニュースにしてくれないのか」。テレビが報じた一審判決は、報道番組が数えるほどで扱いはストレートニュースだった。
「提訴の時、ワイドショーはあれだけセンセーショナルに報じたのですから、結末をきちんと報じる責任があると思うのです。当時、遺族側が発信した内容に基づいて報道したというマスコミのスタンスも理解しています。でも、その内容が間違っていたならば? その報道によって傷ついた人がいたならば? 遺族への配慮で放送できないという理由は当たらないと思うのです。私たちは遺族からいわれなき責任を転嫁され、訴えられたのですから」
宝塚がほぼ同じ経過をたどっています。ご遺族の姿はみえませんが弁護士による事実を捻じ曲げているであろう記者会見が決定打となり、徹底的に宝塚を悪とするバッシングが続いています。
宝塚は日本に住んでいる人なら知らない人はいないぐらい知名度が高いので過労死弁護団は千載一遇の超大型案件と色めきたったことでしょう。いじめ、パワハラがあったことを決定的に裏付けるものはなさそうですが、おそらく高額の和解金(損害賠償金)を劇団から引きだし、勝ったという実績をつくるためにあの手この手を講じてきています。週刊誌に加害者であるかのように書きたてられ、さらに記者会見でつるしあげられた生徒さんたちはどれほど傷ついていることか。この汚名が晴れるのはいつになるのか、汚名が晴れるまで舞台に立つことはできないのか、汚名が晴れたとしても汚名を着せられたという事実は変わらない、ズタボロになっているであろう心の傷は消えるのか。今月末に行われる示談でもまだ弁護士はひかないでしょう。
弁護士はお金と名誉のためなら手段を選ばない職業であること、尊厳を傷つけられた経験がないとなかなか知らない事実ですが、例えば、旦那さんが交通事故にあい治療代が相当かかったので相手側のタクシー会社に損害賠償を求めたらその筋の弁護士が出てきて、ご近所に悪口をふりまかれた、旦那さんからのDVを訴えた女性が法廷で旦那さん側のその筋の弁護士に徹底的につるしあげられた、など直接きいた話です。徹底的に尊厳を傷つけるのが常套手段。