たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2009年『ルーヴル美術館展』より-「聖ペテロの口述のもとに福音書を記述する聖マルコ」

2023年12月16日 17時05分59秒 | 美術館めぐり

(公式ガイドブックより)

17世紀ローマ派

《聖ペテロの口述のもとに福音書を記述する聖マルコ》

17世紀の第1四半期

油彩、カンヴァス

243 × 159 ㎝

「聖ペテロの口述のもとに福音書を記述する聖マルコ」を描いたこの作品が、あまり注目されてこなかったことは作者が不詳であることからも理解されるが、本作品はその質の高さによってないがしろにはできない。視覚的に言えば、カラヴァッジョによって導入された新奇な表現、すなわち、より大胆な表現形式においては同時代の芸術に敏感に反応し、また、堂々たる画面においては、卓抜な技術と洞察力とが示されている。低い視点や絵画面から絵を見る者の空間に飛び出しているように見える足の強調されたイリュージョニスム、場面の宗教性を喚起するような雄弁な身振り、こうしたすべての要素は、この作品をすぐれたバロック的作例のひとつとすることに貢献している。

 本作品は、口伝で伝えられた神聖な話と聖なる記述、すなわち、聖書そのものを主題としている点において注目される。ひとりの聖人が別な聖人の口述を書きとっている。隠れてはいるが、確かにそこにいる者に気づき、彼は言葉を発しているのである。手を差し伸ばし、指で天を差して、彼はこの絵を見る者の注意を促している。決定的な身振りは、絵画的短縮法で描かれていると同時に神への揺るぎない信仰が示されている。

 偉大な画家の証とも言える入れ子構造をもつ本作品は、書かれたものと視覚的なもの、イメージと言葉との関係を思い起こさせる作品でもある。聖人たちが持つ分厚い書籍は、ヨーロッパ文化において古代以来、「書物の宗教」(聖書)と言われてきたキリスト教の中で、テクストがもっていた位置について考えさせるものである。それが印刷本ではなく、手写本であることはこの問題にとって何の違いもない(手写本は愛書家によって求められ、ルイ14世の蔵書にも入っていた)。この作品では、近代が古代に追っていること、17世紀のキリスト教徒が原始キリスト教会に負っていることが描かれている。この遺産がふたりの偉大で高貴な老人像によって確かなものとされていることは、対抗宗教改革の要請に合致している。カトリックの教えに近付くことができるようにという明白な目的をもって、そこでは聖なる人物像と信者はできるだけ近付くことが要求されたのである。」

 

イエスに選ばれて宣教を託された生え抜きの12使徒より、

ペテロ

12使徒のリーダー格で、本名はシモン、ペテロとはイエスが付けたあだ名で、ギリシャ語で「岩」の意味。ガリラヤで猟師をしていたが、イエスの奇跡で大量にしてもらって以来、弟子となり行動を共にする。最も信頼された弟子の一人であり、最後の晩餐の際も決して師を見捨てないと力説するが、イエスに「明日の晩、雄鶏が鳴く前に3度私のことを知らないと言うだろう」と言われ、その通りに自らの保身に走ってしまうという失態を犯す。だが、イエスの復活後はキリスト教伝道のために命をかけて尽力し、エルサレム教会では恐れ多いと、自ら望んで十字架にかけられたという。ペテロの墓の上に建てられたのがヴァチカンのサンピエトロ大聖堂であり、カトリック教会では、ペテロを初代ローマ教皇とみなしている。

 

ヨハネ

 12使徒中、最年少で、ペテロと同じくガリラヤで猟師をしていたがイエスと出会って弟子になった。使徒たちの中で、最もイエスに愛され、唯一殉教せずに天寿を全うしたと言われる。初代教会ではペテロとともに指揮者となり、聖母マリアを連れてエフェソスに移り住んだという説も。聖人伝『黄金伝説』では、ローマで捕まり煮えたぎった油の釜に投げ込まれたが、無傷で出てきた上に以前より若返っていたという逸話もある。『ヨハネによる福音書』や『ヨハネの黙示禄』などを記したというのが伝統的な見解だが、最近では別人によるものという説も有力だ。この福音書は、ルカら他の3人が残した福音書に比べて愛が強調され、またグノーシス主義的な傾向も色濃い。黙示禄のほうは、さまざまな地獄絵図の描写の後に救いを見せ、迫害を受けても信仰を捨てず苦難を克服せよというメッセージとも受け取れる。

(『PEN』2011年1月1日・15日合併号-キリスト教とは何かⅡより)

 


東京宝塚劇場に灯りがともっていました

2023年12月16日 14時13分55秒 | 宝塚

2023年12月15日(金)東京宝塚劇場

宙組の掲示はなくなっていました。雪組公演に向けて準備をしているのでしょう。2階・3階に灯りがついていました。この灯りが消えることのないようにとわたしは祈っています。

四面楚歌の宝塚歌劇団。

ご遺族側のいじめパワハラがあった、宝塚歌劇団、宙組によって娘は日に日に弱っていき、死に追い込まれたとするコメント、週刊誌と新聞によるバッシング。過労死弁護団の筆頭弁護士が出てきて長時間過重労働も一緒くたになって直接死につながったかのような印象操作。劇団に労基署が入ることで、例えば紅ゆるずさんのような入団時下から2番目の成績の生徒さんが最後の新人公演で主演をつかみ時間はかかったけれどトップスターとなって旋風を起こし退団していった、ガッツでチャンスをものにしてトップスターになるというミラクルはもう起こらくなっていくのでしょう。演出家に相当しごかれたけれど最後は笑って機関紙で対談といったこともなくなっていくのでしょう。断崖絶壁の大階段群舞、幅がせまくて平らではない銀橋での歌とダンス、盆を回しながらせりあがっていく上での殺陣、見ごたえのあるこれぞ宝塚という演出は常に危険と背中合わせ。あれもダメこれもダメと規制が強まったら、オリジナル作品の自由度が下がり演出家がやりたいことやって危険が伴う演出をするという冒険ができなくなっていくのでしょう。こうして宝塚でしか味わうことのできない唯一無二ものが次第に奪われていくのかもしれません。日本全体がさみしい方へさみしい方へと流れています。劇団でのことに限らない、おそらくプライベートなことも含めて色々なことが絡みあった中で起こった生徒さん一人の自殺がきっかけとなりそんな社会の流れに宝塚も吞まれて行かざるを得ないようにみえます。ご遺族に過労死弁護団がついたことでとんでもなく大きくなり、とんでもない方向へと流れています。

かつて風花舞ちゃんがロンドン公演で足に怪我をしながら満身創痍でトップ娘役を勤めました。今なら有り得ないことでしょう。決して是とすべきではないのかもしれませんが否というのも違うと思います。それぐらいのガッツ、ど根性という言い方も古いですが強い心持ちがなければトップ娘役は務まらない、務めてはいけないのだと思います。トップ娘役になった時上級生から誰よりも出番が多いのだから誰よりも稽古するのは当たり前でしょと言われたことを、オンデマンド配信されたスカイステージの星風まどかちゃんとの対談で話していました。これも今ならパワハラだって言われてしまうのかもしれません。

例えが違うかもしれませんが、ひとたび公園の遊具で事故が起こると遊具全体を使用禁止にして子どもたちから遊びを奪ってきているのと似ています。なら自動車は常に事故の危険と背中合わせなのだから全面的に使用禁止、誰も乗ってはいけませんとならなければ理屈にあいません。行政の指導など公正でも公平でもなんでもありません。指導に入らなければおかしい大きな組織はたくさんあるはずです。10年前労働紛争となった大会社だって労基署が入ったには違いありませんでしたがどの程度指導があったのか、法律すれすれ、あるいは逸脱することを平気でやっていましたが開示請求した文書はのり弁と言われるほぼ黒塗りでわかりませんでした。ユニオンによれば弁護士が色々と裏で手を回しているという話でした。そんなもんなんです。その程度なんです、行政指導なんて。

公演日程の見直し前倒し、案の定ファンが激怒とか新聞に書き立てられたのは今月末に予定されているという示談を前にご遺族代理人の狙いどおりということでしょう。仕掛けられた感否めません。色々とつながっていれば新聞や週刊誌に、全部劇団が悪いのでファンが離れていっているというイメージを世間がもつような記事を書かせることなど簡単でしょう。生徒さんたちの視界にはいっているとつらいですね。

 

わたしのチケットは幻となりましたが雪組がこの場所で無事に公演できるようにと祈っています。たくさん夢と希望をいただいてきました。日本は沈没寸前ですが劇団は生き残ってほしいと願っています。

脅しやいやがらせの電話を受けているスタッフさん、寒い中警備にあたっているスタッフさん、劇場の中で警備にあたっているスタッフさん、いつも劇場内を綺麗にしてくれているスタッフさん、たくさんの力で舞台は成り立っています。バッシングの声ばかり表に出て辛いと思います。工作員がまじっていると思われます。ありがとうございます。これからどうかよろしくお願いします。

キャトルレーヴの店頭は宙組と雪組の公演グッズが並んでいました。キキちゃんと咲ちゃん、パガドの大劇場プログラムは売り切れ。

宙組はどうなってしまうのでしょう。みなさまの無事を毎日祈っています。

日比谷シャンテのステージ衣装展の写真は別にあげます。

  

 


(再掲)宙組『MAKAZE IZM』

2023年12月16日 00時27分17秒 | 宝塚

宙組『MAKAZE IZM』-2023年1月15日ライブ配信

宙組『MAKAZE IZM』

フリーペーパーを断捨離するにあたっていま一度振り返り。

少ない人数でしたが素晴らしい宙組コーラスをきかせてくれて、最後にみんなでぎゅっぎゅっと団子になって、裏側では不協和音が起きていたとは思えないひとときでした。週刊誌に続けて記事が出てしまったことから生れた上級生と下級生の溝。コロナ騒動の過剰なカンセンタイサクによりコミュニケーション手段が断たれたことはすでに相当心身に影響を及ぼしていたと思います。特にまだ若い下級生への影響は半端ないと思います。それでも舞台に立つためになんとかここまでやってきていたであろうことが週刊誌のせいでふっつりと切れてしまったという側面があると思います。名前書かれた生徒さん、この頃から相当きつかったんやろうなあ。だからといって無理に笑顔をつくっていたとは思いたくありません。舞台の上ではみんな全力で生き抜いていたと信じています。

いま宙組を建て直すべく、真風さんからバトンを引き継いだキキちゃん、新組長をはじめとする上級生たちがひっぱっていこうとがんばっているのなら全力でエールを送るのみです。必ず戻ってきてください。待っています。

 

TCA PRESS 2023年3月号より

「真風涼帆ヒストリア」にファンと宙組メンバーが愛を刻んだ瞬間

 宙組トップスター真風涼帆が、東京国際フォーラムで宝塚生活最後となるリサイタルを開催した。

 弾けるビート、近未来的なコスチュームで華やかに幕を開けた『MAKAZE IZM』は、まさに真風の男役人生が凝縮されたステージだ。

 海外ミュージカル、オリジナル、ショー作品・・・、真風が全身全霊で務め上げたこれまでの舞台作品からの懐かしいメドレーで、会場の熱気は早くも最高潮に。ここで『風と共に去りぬ』のレット・バトラーに扮した真風が「♪さよならは夕映えの中で」を。スタッフに尋ねた真風に歌ってほしい曲でダントツだったのが当公演曲だったそうで、確かに真風には大人の男の哀愁がよく似合う。「♪NIGHT AHD DAY」では真風の原詞歌唱に続き、同時退団となるトップ娘役の潤花と共にエメラルドグリーンの衣裳に身を包み息の合ったデュエットダンスが披露された。

 「ジャポネスク」コーナーでは、故郷・熊本の民謡「♪田原坂たばるざか」や、潤の故郷・北海道からの「♪YOSAKOIソーラン」で息を呑むほどの迫力を見せた。続くコーナーでは、ポスターを飾った爽やかな衣装に着替え、宙組生たちと「危険な男メドレー」の展開の後、全員の想い一つに「♪ONE HEART」を熱唱した。

 潤、桜木みなと、組長(寿つかさ)、副組長(松風輝)が観客の協力を得て、真風への愛を賑やかに告げる和気あいあいトークを経て、フィナーレへ。ファンがリクエストしたJ-POPに応えて多くの曲を歌い上げ、最後は『Hotel Svizra Houseホテルスヴィッツラハウス』から「♪Lives in the theater(劇場 ここに人生が)」の合唱で幕は降りた。客席ではファンが色の変わるペンライトを揺らして愛と応援を送り続け、真風たちもその姿に励まされ力の限りの歌唱で応えた心温まるラストリサイタルとなった。」