たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『Golden Songs』

2015年05月08日 23時11分40秒 | ミュージカル・舞台・映画
GW中の5月4日は、ラフォルジュルネジャポンの会場で行われたOTTVAの公開録音の会場に行ってきました。
数え切れないほどたくさんの苦しい朝、背中を押してくれた本田聖嗣さんがプレゼンターをつとめられた日でした。
ゲストの成田達輝さんのヴァイオリンの生演奏が素晴らしかったです。
ホールの天井から陽がさんさんとふりそそいでまぶしいぐらいの中、ずっと坐っているのも疲れましたが、夕方の林田直樹さんとのオフ会トークまで聴いてしまいました。
有名作曲家の恋愛や結婚にまつわるエピソードがいくつも飛び出してきて、なるほどなるほどでした。

悪妻と言われるモーツアルトの妻コンスタンチェですが、彼女がモーツアルトが夭逝した後、伯爵と再婚し夫が残した楽譜をきちんと保存したから今私たちはモーツアルトの楽曲の演奏を聴くことができる。
ミュージカルの『モーツアルト』を去年観ているのでふむふむ。
逆に良妻と言われているクララ・シューマンが、実は精神的にシューマンのかなりの重荷になっていたという話があるとか。
じゃあ何が良妻で何が悪妻ですかっていうことですよね、という林田さんのコメント。
ふむふむ、なるほど。
バッハの長男の手に渡った楽譜は散逸してしまっていて残っていないけれど、次男はバッハの楽譜をきちんと保存していたので今私たちはバッハの楽曲を聴くことができる。
そうなのか。

ゲーテの文学作品だって、彼の孫たちが原稿を保存管理していたから今私たちはゲーテの作品を読むことができるという話をきいたことがあります。
今のようにコピーやデジタルがなかった時代の作品が受け継がれていくということは、そういう家族の手による努力があったからなんですね。
その時代を生きていた彼らが後世にこうして受け継がれていくことを目的に作品を生み出したわけではないはずです。その時代を一生懸命に生きて、その結果普遍的な力をもつ作品が
こうして受け継がれてきている。なんだか人の生きる営みって不思議です。

音楽に、ミュージカルに、本当に助けられてどうにかこうにか心のバランスを保ちながら
ここまで来ることができた日々でした。去年はミュージカル、コンサートといくつも生の舞台に出かけました。結局全部持ち出しになってしまいましたが、強烈なマイナスエネルギーに負けないためにはすべて必要なことでした。心のエネルギーを満たしてくれる時間がなかったら、こわれてしまっていたと思います。

少し前ですが、2月20日には国際フォーラムの『GoldenSongs』に行ってきました。
ぎりぎりまで迷いましたが、一路真輝さんが出演される千秋楽、『エリザベート』の曲を歌われるというので前の晩ネットでチケットを購入しました。

宝塚の男役出身と東宝のミュージカルで活躍している男性陣とで構成されている、なかなか濃いメンバーでのコンサートでした。そう、ゲストで花ちゃんが出演した日以外は姫役がいませんでした。

男役の出身者は、男役と女役を自由に行き来してすごいなあと思いました。
湖月わたるさん、5月の『セレブレーション宝塚』の舞台もそうでしたが、長い手足を生かしたダンスを披露していました。素晴らしかったです。「王家に捧ぐ歌」では、ひととき男役時代に戻っていて、変わりませんでした。
『マルグリット』から春野寿美礼さんが「china doll」を歌い、湖月さんがダンスを踊る場面は秀逸でした。観ていませんが、いい作品なんだろうなと思いました。
プログラムをみて勉強しました。

一路さんの「星から降る金」。
私が観劇から遠ざかっていた時期で、地方公演で『モーツアルト』に出演されていたとは知りませんでした。モーツアルトを演じたことのある中川さんに語りかけるような歌い出しでした。人によって解釈が違うので、歌い方もちがってくる歌だそうです。
東宝初演の『エリザベート』でしか聴くことのできなかった「夢とうつつの間で」。
すごくなつかしい感じでした。暗いですが、孤独なエリザベートの心の揺れ動きがていねいに歌われている幻の名曲。たしか、コルフ島に旅してハイネのように詩を書く場面で歌われていたと思います。
マテ・カマラスさんと「私が踊る時」を日本語とドイツ語でデュエット。
肩のあいた黒いドレス姿が美しかったです。一路さんのデコルテは、宝塚時代からほんとうにきれいです。

『エリザベート』は楽曲がいいんだとあらためて思いました。
マテ・カマラスさんと平方元基さんの「闇が広がる」。
春野寿美礼さんの「パパみたいになりたい」から、
伊礼彼方さんとのデュエットで「夜のボート」。
ずんこさん(姿月あさと)の「最後のダンス」も、歌声がますますかっこよく、怪しく高く響いて冴えわたっていました。また生で聴けるなんてお金にはかえられないものがありました。

『エリザベート』経験者がずらりと並んでトート閣下が何人いるかわからない中で、一秒も出たことがない自分が歌うのもキッチュ(まがいものの意)だからいいんじゃないかとご本人が
話された石井和孝さんが「キッチュ」を歌う場面。
ルキーニを演じた湖月わたるさんと樹理咲穂さんも登場して、歌にトークに楽しいひとときでした。

『モーツアルト』から中川晃教さんの「僕こそミュージック」、山崎育三郎さんの「何故愛せないの?」、曲だけをじっくり聴けたのもいいもんでした。

『ロミオとジュリエット』は観ていないので曲を知りませんでしたが、後半最初の「世界の王」はロック調でのりのりでした。平方さんの「どうやって伝えよう」、山崎さんの「僕は怖い」、歌詞がわかりやすくて伝わってきました。波が出ていました。
『エリザベート』クリエイター陣の曲はやはりどれもいいと思いました。

ずんこさんの『ファントム』から、子を思う母の心情を歌った曲も響いてきました。

半分は自分は観ていないミュージカルの曲でしたが、歌唱力が安定している方ぞろいで楽しめました。

長くなってしまいました。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
気持ちを整理し断捨離しつつ、自己肯定感を取り戻していくプロセス。
ぷらぷらと浮き草のように過ごす日々はもう少し続いていきそうです。
すごいことをやっていました。緊張感から解放されてようやく素直に疲れが
出てきているようです。

『Golden Songs』キャスト


本来の私を取り戻していくのにもう少し時間が必要な感じですが、きっと大丈夫。
妹が守ってくれていると信じます。