時々新聞社

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新たなセーフティーネット?

2006年10月27日 | 社会問題
全国知事会と全国市長会の「新たなセーフティーネット検討会」が、25日に、就労可能な生活保護受給者に対する給付を原則として打ち切る「有期保護制度」の導入などを提言した報告書をまとめたと報じられている。
受給世帯の自立を促し、自治体の財政を圧迫している給付を抑制するのが狙いだという。
しかし、これがなぜ新たなセーフティーネットの構築になるのだろうか?
「就労可能な」生活保護受給者というのはわけがわからない。そもそも、就労可能な人になぜ生活保護が必要なのだろうか?
たとえば、健康上の理由などによってフルタイムでの就労が不可能なため、不足する生活費を生活保護費として支給しているというようなケースであれば、支給は当然であろう。
しかし、フルタイムで就労できるにもかかわらず、生活保護を受給しているのならば、そもそもそういう人に支給していることに問題がある。就労可能であるにもかかわらず生活保護を不正に受給している特殊な例が存在することはけっして否定しない。そういう事例は直ちに改めるべきであろう。
しかし、一般的には病気や就職難のために、就職したくてもできない人たちのための最後のセーフティーネットが生活保護制度であろう。
そういう意味では、今回の提言は、その理由にも掲げられているように、「自治体の財政を圧迫している給付を抑制するのが」最大の関心事になっているように思われてならない。
一定の期限を決めて支給するという今回の提言によって、本当に必要な人に援助の手が差し伸べられず、北九州市の例のように、生活保護費の支給を拒否し続けて、とうとう餓死者まで出すような行政のやり方が日常化するのではないか、そのことを危惧するのは私だけではあるまい。
また、北九州市だけでなく、全国の役所や役場、福祉事務所では、生活保護の申請用紙の交付さえ拒否する事例がある。
今までにも本紙で主張してきたように、全就業者の3分の1が非正規雇用であり、年収が300万円にも満たないワーキングプアと呼ばれる人たちが増えており、その原因は安い労働力を要求してきた財界の責任であることは明確であり、ここを正すことなくして問題は解決しない。
今回のような5年という期限を切った生活保護制度は、現在あるセーフティーネットを壊すものではあっても、到底新たなセーフティーネットにはなり得ないと思われる。


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