時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

ガツガツと要求しすぎた経団連の失敗

2008年09月09日 | 経済問題
経団連が消費税の引き上げをしつこく要求している。総裁選に向けて、消費税引上げを公約しないと応援しないぞ、という暗黙の圧力である。
しかし、全体としてみれば、経団連の御手洗会長も、最近はちょっと悔やんでいることだろう。
自民党への献金をテコに、法人税の減税、IT減税など次々と大企業への減税を行わせ、労働者派遣法も次々と改悪させ、ありとあらゆる業種で派遣労働を広げてきた。その結果、大企業はこの10年間、人件費をずっと抑制しながら、多額の儲けを蓄えてきた。
お膝元のキヤノンでは、違法な偽装請負まで行い、労働基準監督署からたびたび指導を受けてもこれを改めず、大儲けを続けてきた。
外資系企業に禁止されていた政治献金も出せるよう法律を変えさせ、キヤノンも早速献金に応じた。
経団連が斡旋する政治献金は、与党の自民党だけでなく、野党第一党の民主党にまで配られ、自民党が政権の座から滑り落ちても、民主党が政権の座について、経団連の意向を汲んだ政策を実行する道筋作りにも成功してきた。
しかし、ここに来て政治が思い通りに動かなくなってきた。
福田政権の突然の政権投げ出しで、自民党は急速に求心力を失いつつあるが、経団連が献金をばらまいて育てている民主党も、余りに強い国民の批判に、経団連に約束した政策を提案、実行できず、それどころか、非正規雇用者への対策などを打ち出し始めた。
キヤノンで行ってきた偽装請負は中止させられ、非正規雇用者の直接雇用を要求され、期間雇用とはいえ、直接雇用をせざるを得ないところまで追い詰められてきた。
順風満帆のように思っていた政治支配も、職場支配もここに来て土台がぐらつき始めている。
御手洗会長も今頃は「ちょっと図に乗りすぎてやりすぎた」とほぞをかんでいるに違いない。
しかし、御手洗会長の本当の意味での苦難はまだ始まったばかりである。
これからは、日本の政治も経済も大きな転換期を迎えるだろう。
法人税への課税強化、非正規雇用者への法的な救済、大企業への負担増など、これからはますます経団連の舵取りは困難になるだろう。
多くの国民がお上や会社の言いなりにばかりなっていると思ったら大間違いである。
国民は本当に怒っている。そして、自民党型の政治に変わる政治のあり方について模索を始めている。「Make it possible」は何もキヤノンだけの専売特許ではない。多くの国民が、このような不当な社会を変革できるという確信をつかみ始めている。
御手洗会長も、そのうち嫌になって経団連会長の座を投げ出すことになるだろう。