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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

ジョン・コッター『ジョン・コッターの企業変革ノート』

2007-03-21 19:28:11 | 人材マネジメント
ジョン・コッターのエンパメント・リーダーシップを企業変革レベルにまで応用するとこうなるのだろう。(1)危機意識を高める、(2)変革推進チームをつくる、(3)適切なビジョンをつくる、(4)変革のビジョンを周知徹底する、(5)自発的な行動を促す、(6)短期的な成果を生む、(7)さらに変革を進める、(8)変革を根付かせるという8つの変革ステップについて、それぞれの成功事例が紹介されている。変革ステップに貫かれているのは「見て、感じて、変化させる」という方法だ。コッターは感動が人を動かすという。人間の大脳が発達したのは中脳や小脳より遅い。人の行動を変えるのは知識やデータだけでは不十分で、感動を呼び起こす言葉や映像などが必要とのこと。ソニーの元CEOの出井氏も自著でコッターの8つのステップ理論を紹介していた。出井時代のソニーは前半がエンターテイメント企業としての変革の成功、後半は業績低迷で失敗したと思われている。実際に出井氏の本でもそのあたりの要因(古い体質など)は解説されている。しかし、変革の停滞が問題ではなく、短期的な業績を株主や経済マスコミがソニーに求め過ぎたのかもしれない。8つのステップはこの順序どおり進むかどうかわからないことも書かれている。ステップのどこに落とし穴があるのかの判断もケースにより難しい。

ジェイ・ガルブレイス『組織設計のマネジメント』

2007-03-18 18:47:23 | 人材マネジメント
組織設計をすることは、戦略、構造、プロセス、リウォード、人材の5つのポリシーを組み立て、それぞれの整合性を設計することである。これをジェイ・ガルブレイスはスター型モデルと名付けている。この本は、最近流行の組織モデルであるプロセス組織、分散型組織、ヴァーチャル組織、フロント/バック組織などについても紹介されている。環境の変化にいかに適応する柔軟な組織を作るかに力点が置かれているように思う。最もためになったのは組織の横断的調整のプロセスである。現在では機能別組織、事業部別組織などの純粋なモデルとしての企業や団体は存在しないだろうと思えるが、どんな組織でも機能やユニットで区分するとその間に壁ができる。それは各部門の業務プロセスや人的構成、組織文化などの要因が大きい。しかし、普段からその壁を意識してどのように調整を行うかで、組織のパフォーマンスは変わってくるだろう。必ずしもマトリスク組織などの指示系統や権限があいまいになる形をとらなくてもよいような気がする。


グロービス『人材マネジメント』

2007-03-12 23:53:38 | 人材マネジメント
この本は人材マネジメントの読み物としてもケースがおもしろいし、通信教材のテキストとしても優れている。MBAテキストとして重要だなのはフレームワークの理解とその応用ができるように工夫することだ。組織論や人材マネジメント、組織文化論について、この本は基本的な概念の説明と興味深いケースを組み合わせている。各章のバランスもよい。慶応義塾大学や早稲田大学のビジネススクール教材として人材マネジメントの本が出されているが読み物としては今一つのような気がする。まあ慶応や早稲田の教室では十分に役に立っているのだろうが。人材マネジメントというタイトルがついているものでためになるのは高橋俊介氏のものくらいだろうか。

コルツの逆転AFC優勝

2007-01-24 23:29:35 | 人材マネジメント
一時は21対3でペイトリオッツに18点差で負けていたのにコルツは逆転優勝した。お互いにインターセプトもされて、ミスが目立つ荒れたゲームだったが、マニングとブレイディという卓越したQBの巧さが光った。コルツの勝利の要因はマニングのここぞという時のパスでのロングゲインだった。しかし、大差になったときにマニングがあきらめない姿勢と精神力を示したことこそがスーパーボールへ導いた原動力だろう。アメフトは組織力と状況適応が求められるスポーツ。変化を読み取り、ゲームのビジョンをつくっていくところにQBがリーダーシップを発揮する醍醐味がある。マニングはノーハドルでのゲームづくり、ディフェンスの陣形を見てからのオーディブル(サインによる作戦変更)など他のQBにマネのできない技を見せる。このあたりは組織運営を考える上でもとても参考になる。しかし、スーパーボールではコルツのオフェンス力とベアーズのディフェンス力という組織力の優劣が勝敗に影響するだろう。

グーグルの人材マネジメント

2006-10-17 22:49:17 | 人材マネジメント
TBSの「がっちりマンデー」をHDに録画して2倍速で見ることにしている。この前の日曜日はグーグルの特集だった。この会社はビジネスモデルもユニークだが、社風も変わっている。制服、スーツなし。上司からの指示命令なし。昼食は無料のバイキング。昼食をいっしょに食べている時に生まれるアイデアに期待しているためだとか。採用はその部署の全員面接。「いっしょに働きたいかどうか」が採用のポイントという。何より「仲間意識」を重視する。IT企業なのでふだん誰とも顔を合わさず一人で仕事をしているからこそ、共同意識で仕事をするのが大事なのだそうだ。独自の人材マネジメントを意識しているのだろう。上司からの命令こそないが、新しいアイデアを思いついたら社内ネットで協力者を募集して、プロジェクトが立ち上がるらしい。社長も「少数精鋭でやっているので、どんな業務、状況でも自律的に判断できる人を求めている」と言っていた。その一方でグーグルアースのようなコンテンツを見るとIT企業も資本と人材投入ができないと生き残れない時代になったことを感じる。ビジネスソフトやゲーム業界と同じなのだろう。

吉田典生『部課力』(祥伝社新書)

2006-01-07 17:44:29 | 人材マネジメント
アメリカの大統領ものの映画を見るたびにリーダーシップも大切だが、周りのスタッフの支える力も大切だと思っていた。この本はそんな思いを見事に形にしてくれる本である。アメリカの経営学大学院ではリーダーシップとともにフォロワーシップという授業もあるそうだ。部下力は、上司に対する貢献力+批判力で決まると著者は言う。闇雲に追従するだけでは立派な部下とは言えない。またDiSK理論から上司の型をイノシシ型、モンキー型、借りネコ型などに特徴づけてそれぞれのタイプへの対処法を解説している。カリスマ型上司は、部下に考えることを止めさせてしまう可能性があるので要注意らしい。すべてのビジネスマンにお勧めの一冊である。

高橋俊介『組織マネジメントのプロフェショナル』(ダイヤモンド社)

2005-08-17 18:58:21 | 人材マネジメント
高橋俊介氏の本の中でもとくに現場で参考になる本だ。PLAN-DO-SEEという仕事のサイクルの表現があるが、この本では、WHAT-HOW-DO-CHECKというサイクルの重要性が強調されている。確かにPLANには「何を」「どのように」行うかということが含まれている。そして現在、職場では「何を」という課題設定できない人材が多いらしい。「どのように」は比較的考えやすいが、「何を」というのは普段から課題意識をもって生活していないと思い浮かびにくいからなのだろう。また、IBMでのプロフェッショナル人材育成法、リクルートの人材輩出戦略、青梅慶友病院の顧客指向経営のケース紹介も人材育成を考える上でとても参考になる。

部下を動かす人事戦略

2004-12-29 15:35:15 | 人材マネジメント
金井壽宏教授と高橋俊介教授はほとんど主張が同じに見えるが微妙に違うのは二人のバックグラウンドが影響しているのだろう。金井教授は研究職としての道を歩み、経営学というより心理学な視点からの考察が特徴である。高橋教授は工学系の学部出身で企業での経験やコンサルタントとしての経験からの主張に重みがある。端から見れば、高橋教授の方が説得力があるようにも思えるのだが、研究者としてのキャリアは金井教授の方が長く、この本では高橋教授がちょっとびびっているようにも思えた。

スローキャリア

2004-08-22 11:59:30 | 人材マネジメント
高橋俊介「スローキャリア」PHP研究所
最近ブームのスローフードやスローライフにあやかったタイトルの本である。著者は人材マネジメントやキャリア論で著書も多い高橋俊介教授(慶應義塾大学)。サブタイトルが「上昇志向が強くない人のための生き方論」となっているので、要するに自分らしいキャリアをめざそうということなのだが、けっして釣りバカ日誌の主人公や寅さんのような生き方を推奨しているわけではない。ナンバーワンよりオンリーワンという今流行の考え方を会社などで具体化する方法を解説する本である。高橋教授の他の本に比べて読む価値は低いと思う。