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●神保哲生さん《今回、警察の内部告発者2人が…小さなネットメディアを通報先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう》

2024年08月27日 00時00分32秒 | Weblog

青木理さん『情報隠蔽国家』…「客観的な事実すら隠蔽し…ねじ曲げて恥じない為政者たちの姿」を報じも… ↑】


(20240805[])
報道機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕した鹿児島県警。《ニュースサイト「ハンター」…代表の中願寺(ちゅうがんじ)純則さん(64)も…「不当捜査だと批判した》《「どう考えても、不当な強制捜査」》《取材の成果と商売道具を取り上げられた上、事件と無関係の警察内部文書の削除まで要求された》(こちら特報部)。
 《記者クラブに加盟する数多ある大手メディア既存のメディアは深刻に受け止める必要がある》(ビデオニュースドットコム)というのに、のほほんとし過ぎなのでは? 《異例の強制捜査には、日本ペンクラブが「民主主義社会の根幹を脅かす極めて深刻な事態」と声明で非難。新聞労連日本ジャーナリスト会議福岡支部などからも抗議が相次いでいる》(こちら特報部)。

 《曽我部真裕教授…は「鹿児島県警は『取材の自由』にどう配慮したのか、今からでも明確に説明する責任がある」と批判。捜索令状を出した裁判官の姿勢も問われるという。「令状請求の対象が代表の個人名であれば、見逃すこともあり得るが、メディアと把握した上での判断なら、令状主義の機能不全を意味する。本来は、新聞・テレビなどの既存メディアも大いに報じるべき問題だ」と指摘》(こちら特報部)。「公益通報にあたる」を認めなかった件も酷いのだが、なんで報道機関への捜索令状を出せるのか、裁判所もどうかしている。

 警察の不祥事を告発したホイッスル・ブロワー組織の不正をただす告発者》・鹿児島県警元警視正(生活安全部長は〝たたき上げ〟のトップらしい)を逮捕。しかも、もう一人のホイッスル・ブロワー(鹿児島県警曽於署の藤井光樹巡査長)に関する別件とはいえ、(警察の不祥事を告発し続けていた)福岡の報道機関「ハンター」にガサ入れするという前代未聞の行動をとり、たまたま、このこの報道機関にその内部告発が北海道から〝回ってきていた〟ためにホイッスル・ブロワー(元生活安全部長・本田尚志氏)の情報が漏れてしまい、鹿児島県警が逮捕…。マスコミは、もっと大騒ぎすべきと思うのですが? (神保哲生さん)《今回、警察の内部告発者2人が、記者クラブに加盟する数多ある大手メディアではなく小さなネットメディアを通報先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう》。そし て、《弁護人は「公益通報にあたる」と主張したが、裁判所は勾留の取り消しを認めなかった》という鹿児島簡裁も正気だろうか? 家宅捜査を受けた「ハンター」の代表・中願寺純則氏は「鹿児島県警は、メディアに情報を漏らしたといって身内を続けて逮捕していますが、本来逮捕すべきは誰なのか、よく考えてほしい」と。

 西田直晃記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「取材源の秘匿」脅かした鹿児島県警の捜査手法はありなのか? ネットメディアへ異例の家宅捜索】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/345250?rct=tokuhou)。《捜査情報を漏えいしたとして地方公務員法違反罪に問われた元鹿児島県警巡査長の判決が5日、鹿児島地裁で言い渡される。この事件では漏えい先としてニュースサイト「ハンター」(福岡市)を家宅捜索した鹿児島県警の異例の捜査手法が疑問視されている。代表の中願寺(ちゅうがんじ)純則さん(64)も本紙の取材に「不当捜査だと批判した。(西田直晃)》。
 西田直晃記者による、東京新聞の記事【こちら特報部 鹿児島県警に取材データを奪われたメディア代表の憤り「組織防衛のため、内部告発への見せしめだ」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/345235)。《「どう考えても、不当な強制捜査だ」。鹿児島県警の元巡査長が逮捕、起訴された捜査資料漏えい事件の「関係先」として、福岡市の事務所を捜索されたニュースサイト「ハンター」代表の中願寺純則さん(64)は憤りを隠せない。取材の成果と商売道具を取り上げられた上、事件と無関係の警察内部文書の削除まで要求された。事件の経過を振り返りながら、浮かび上がった問題点を考えた。(西田直晃、写真も)》。

 《これはいずれも組織内の違法行為を告発するもので、明らかに公益通報の範疇に入るものだったが、鹿児島県警は内部告発者を逮捕し、ハンターの事務所を家宅捜索した》、《この問題を取材しているジャーナリストの青木氏は、藤井氏の行動は公益通報以外の何物でもないと指摘する》、《加えて、今回の強権発動警察という組織では決して内部告発は許さないという強い意志を示すことが目的だと思われるが、そのために内部告発した警察職員を様々な理由をつけてあれは公益通報には当たらないと決めつけ逮捕までしていること》(ビデオニュースドットコム)。

   『●斎藤元彦兵庫県知事、新たなお維案件…ホイッスル・ブロワー《組織の
      不正をただす告発者が、守られる環境》が全く実現されていない悲劇
   『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
      いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》
    「再審法の改正を。いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、
     鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、
     なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。」

   『●今西憲之さん《組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕して
     いる鹿児島県警に、「正義」はあるのか》? しかも、報道機関に家宅捜査!
   『●《警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しない》…報道
     機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警
    《これはもはやそんな次元を超えた公益通報者保護制度の破壊
     あり、報道の自由の侵害に他ならない》
    《…鹿児島県警で今何が起きているのか警察の身内の犯罪の隠蔽
     内部告発者の逮捕メディアへの介入許していいのか
     警察の犯罪は誰が取り締まるべきなのかなどについて、この問題を
     取材しているジャーナリストの青木氏と、ジャーナリストの
     神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した》

   『●《情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発
      する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され…》


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https://www.tokyo-np.co.jp/article/345250?rct=tokuhou

こちら特報部
「取材源の秘匿」脅かした鹿児島県警の捜査手法はありなのか? ネットメディアへ異例の家宅捜索
2024年8月5日 06時00分

 捜査情報を漏えいしたとして地方公務員法違反罪に問われた元鹿児島県警巡査長の判決が5日、鹿児島地裁で言い渡される。この事件では漏えい先としてニュースサイト「ハンター」(福岡市)を家宅捜索した鹿児島県警の異例の捜査手法が疑問視されている。代表の中願寺(ちゅうがんじ)純則さん(64)も本紙の取材に「不当捜査だと批判した。(西田直晃


 鹿児島県警「情報漏えい」事件 ニュースサイト「ハンター」に捜査資料を漏らしたとして、鹿児島県警は2024年4月、元巡査長=地方公務員法違反の罪で起訴、5日判決=を逮捕。ハンターの事務所を家宅捜索した。先月の初公判で元巡査長は起訴内容を認めながら警察組織を変えたかったとの動機もあったと説明した。押収データを端緒に県警は5月末に前生活安全部長の本田尚志被告=国家公務員法違反の罪で起訴=を逮捕した。

     (ハンターの事務所。パソコン返却後に
      県警内部資料のデータ消去が行われ

 鹿児島県警は4月、元巡査長による捜査情報の漏えい先と判断し、ハンター事務所を捜索。中願寺さんのパソコンや携帯電話などを押収した。パソコンのデータには別の内部告発に関する文書画像もあり、5月に情報漏えいの疑いで前県警生活安全部長を逮捕した事件のきっかけとされる。

 中願寺さんは「メディアの家宅捜索がなぜ必要だったのか。目的は『内部告発者を許さない』という県警の組織防衛ではないのか」と疑問視する。

 異例の強制捜査には、日本ペンクラブが「民主主義社会の根幹を脅かす極めて深刻な事態」と声明で非難。新聞労連日本ジャーナリスト会議福岡支部などからも抗議が相次いでいる。

 過去の判例でも「取材の自由」は憲法上の権利として尊重されており、京都大の曽我部真裕教授(憲法)は「鹿児島県警の捜索は問題が大きい」と言う。捜査機関にも「取材源の秘匿を侵害しないよう配慮が求められている。県警側は「取材の自由は理解している」と強調するが、曽我部氏は「鹿児島県警は『取材の自由』にどう配慮したのか、今からでも明確に説明する責任がある」と批判。

 捜索令状を出した裁判官の姿勢も問われるという。「令状請求の対象が代表の個人名であれば、見逃すこともあり得るが、メディアと把握した上での判断なら、令状主義の機能不全を意味する。本来は、新聞・テレビなどの既存メディアも大いに報じるべき問題だ」と指摘した。


【関連記事】鹿児島県警に取材データを奪われたメディア代表の憤り「組織防衛のため、内部告発への見せしめだ」
【関連記事】<社説>鹿児島県警 表現の自由脅かす捜索
【関連記事】知事を告発した職員を「死をもって抗議」に追い込んだ兵庫県の「懲戒」 公益通報者を守れぬ「保護法」の実態
【関連記事】ビッグモーター内部告発に取り合わなかった前社長と制度の欠陥 対応が鈍かった政府の言い分を聞くと?
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/345235

こちら特報部
鹿児島県警に取材データを奪われたメディア代表の憤り「組織防衛のため、内部告発への見せしめだ」
2024年8月5日 06時00分

 「どう考えても、不当な強制捜査だ」。鹿児島県警の元巡査長が逮捕、起訴された捜査資料漏えい事件の「関係先」として、福岡市の事務所を捜索されたニュースサイト「ハンター」代表の中願寺純則さん(64)は憤りを隠せない。取材の成果と商売道具を取り上げられた上、事件と無関係の警察内部文書の削除まで要求された。事件の経過を振り返りながら、浮かび上がった問題点を考えた。(西田直晃、写真も)


◆令状の中身は見せない、弁護士も呼ばせない

 インターホンが鳴ったのは4月8日午前8時半ごろ。中願寺さんがドアを開けると、警察手帳を取り出した若い捜査員は「分かってますよね」と告げたという。示された捜索令状に「地方公務員法違反」と書いてあったが、その中身を見せるべきだという訴えは拒まれ、読み上げもなかった

 「言葉は丁寧だったが、やはり強く出てくるなと思った」と中願寺さん。手にした携帯電話で弁護士に連絡を試みると、近づいた捜査員に取り上げられ、「身に着けているものを押収していいことになっている」と説明を受けた。10人ほどの捜査員が約5時間かけて家宅捜索。差し押さえられたのは、パソコンや携帯電話のほか、取材ノート、これまでにハンターが「県警がもみ消した強制性交」として追及してきた事件の関係者の名刺などだった。

     (家宅捜索で押収されたパソコン)

 ハンターは2011年3月に発足。「記者クラブとは一線を画し、調査報道を軸とするニュースサイト」と位置付け、国会議員秘書の経歴がある中願寺さんが1人で運営し、外部ライターとともに記事を執筆してきた。

 県警の不祥事を追及する記事を書くに当たり、取材や告発を経て入手した内部文書を昨年から、自社のサイトに掲載。県警の事件捜査に疑問を呈するため、内部文書の「告訴・告発事件処理簿一覧表」のほか、「刑事企画課だより」の画像を公開。速やかな事件記録の廃棄を促す記述などを問題視してきた


◆「まさか報道機関に捜索に入るとは」

 今年2月には、県警本部に処理簿一覧表を持参し、県民に謝罪するよう迫ったことも。3月、県警は「約100事件分の処理簿一覧表が外部に流出した」と発表。その数日後、中願寺さんに「情報漏えいの調査のために話を聞きたい」と捜査員から電話がかかってきたが、日程の調整で折り合わないうちに、家宅捜索を受けたという。

 「任意の事情聴取は警戒していたが、まさか報道機関に捜索に入るとは」。万が一を想定し、重要資料の原本は弁護士に預けていたものの、パソコンや携帯電話を押収されれば、配信業務や連絡にも支障が出る。近くの警察署でその日から始まった任意聴取では「取材過程やニュースソースについては一切話さないと黙秘の意向を伝えた。2回目の聴取の前、「被疑者としての取り調べに変更する」と捜査員に言われた。

     (東京新聞のインタビューに応じた中願寺純隆さん。
      今後の取材に支障が出るため顔出しはNGという
      =いずれも福岡市で)

 取調官からは、元巡査長との通話の内容、内部文書の受け渡し方法などを聞かれたほか、「記事のようなキレがないですね」「世間話ならいいでしょう」と水を向けられたが、一度も供述調書にサインしなかった。警察官に尾行されている気配も感じ、「一時は逮捕も覚悟した」と振り返る。

 ハンターの家宅捜索について、県警の野川明輝本部長は6月の会見で「元巡査長の供述や客観証拠などを踏まえて行われた」「取材の自由は理解している」と述べた。「元巡査長が認めているのに、メディアの家宅捜索がどうして必要なのか」と中願寺さんはいぶかしむ。「情報漏えいの教唆という理屈だろうが、正当な取材活動の成果だ。鹿児島県警の組織防衛、ハンターつぶしではないのか」


◆パソコンからデータ削除させられた

 中願寺さんの憤りはそれだけではない。

 家宅捜索の翌日、押収品の一部は自宅に戻ったが、「処理簿一覧表」「刑事企画課だより」のデータをパソコンから削除するように求められた。「流出すると大変なことになる」と説得されたという。

 「後者は特に元巡査長の事件と直接の関係はなく、データを消去させる理由がないはずだ。数年前には、県内の警察署で誰もが目にすることができた。『おかしいだろ』と抵抗したが、任意ではなく強制と思い込んでいたので、従わざるを得なかった」

     (ハンターの事務所。パソコン返却後に県警内部資料の
      データ消去が行われた

 刑事企画課だよりの原本は別に保管していたが、このパソコンには、中願寺さんが別の記者から送られた、鹿児島県警を巡る内部告発の手紙のデータも保存されていた。県警は家宅捜索を契機として、5月にの情報漏えいの疑いで、前県警生活安全部長の本田尚志被告も逮捕した。メディアへの強制捜査を端緒に別の証拠を押収し、内部通報者を特定した形になる。本田被告は今後の公判で、情報を送った行為は「県警の隠ぺいを訴えるためで、公益通報かそれに準ずる」として、無罪を主張する方針を示している。

 中願寺さんは「本田さんの逮捕にしても、内部告発者は絶対に許さないという見せしめだ。鹿児島県警が守っているのは、県民ではなく県警そのものそのためには何だってや。本来であれば、地元メディアが権力の暴走を監視し、声を大にして『おかしいことはおかしい』と言わなければならない」と強調する。

 記者の「取材源の秘匿」「情報漏えい教唆」に焦点が当たった強制捜査は、過去にもあった。


◆過去の例と比べても異質「あってはならないこと」

 1957年の売春汚職事件では、読売新聞の故立松和博記者が「召喚必至」と立件を名指しした国会議員への名誉毀損(きそん)容疑で逮捕された。背景には検察内部の派閥抗争があったとされ、日本新聞協会即時釈放を求めた。1971年の沖縄返還日米密約を巡る外務省機密漏えい事件で、情報提供者の女性事務官とともに逮捕された毎日新聞の故西山太吉記者のケースもある。

     (鹿児島県警のパトカー(資料写真))

 だが、こうした例と比べてもハンターの家宅捜索は特異という。上智大の奥山俊宏教授(メディア法)は「立松、西山両記者は自分自身が被疑者となったが、ハンターは捜索段階では第三者の『関連先』でしかなかった。逮捕された巡査長と極めて近い存在だったわけでもない」と前置きし、「報道の目的を逸脱して利用されたり、公共性や公益性がないのにネット公開されたりするのは問題だが、正当な取材で得られた資料について、探索的に情報源関連の資料を家宅捜索し、差し押さえるという行為は前例がないあってはならないことだ」と続ける。

 「取材・報道の目的で個人情報をメディアに提供する行為は、個人情報保護法でも考慮されている。社会的に是認されるべきだ」


◆名ばかりの公安委員、チェック機能果たされず

 今回の事件を別の角度から検証すべきだ、とする声もある。立正大の石塚伸一客員教授(刑事政策)は「本来、県公安委員会が経緯を調査し、事後だとしても県警にしっかり報告を求め、再発防止の措置を取らないといけない」と指摘する一方、「それがなかなか難しい。都道府県の公安委員には地域の名士が選ばれるが、警察行政の素人ばかりで実質的には名誉職となっている。警察の民主的な運営をチェックするという機能が果たされていない」と話す。

 「今回の家宅捜索のような問題が続けば、第三者の市民が都道府県警を日常的に注視する新たな組織が必要かもしれない。鹿児島だけの問題ではない」と述べた。


◆デスクメモ

 兵庫県知事の疑惑を告発して亡くなった幹部の男性も今回の前部長も60歳退職を迎える中での行動。部下に迷惑をかけまいとしたかもしれない、資料を押収された中願寺さんの苦悩も想像する。不正の告発に組織による報復は許されない警察のように強大な権力ならばなおさらだ。(恭)


【関連記事】「取材源の秘匿」脅かした鹿児島県警の捜査手法はありなのか? ネットメディアへ異例の家宅捜索
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コメント
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●西山太吉さんを見殺し…《結果として、その後の日米関係はどのような「隷属の道」を辿ることになったのか…今もわれわれ一人ひとりの喉元に…》

2023年07月07日 00時00分08秒 | Weblog

[※ 沖縄復帰50年 利用され続けた海と大地/西山太吉 「密約」を語る (週刊金曜日、2022年5月13日1376号)↑]


(20230621[])
偽りの日米関係偽りの沖縄返還の尻尾を捕まえて、これをすっぱ抜いた伝説の記者西山太吉さん。(神保哲生さん)《これだけの大ニュースだ。本来であれば、この記事を発端に偽りの日米関係の実態が次々と明らかになりアメリカに隷属することで日本国内で安定的な権力が確保できるという現在の日本の国辱的な属国体質は、もっと早くに改善されるはずだった》のだが…。様々な意味で、西山太吉さんは《見殺し》にされた。《ジャーナリズム界最高の栄誉とされるピュリッツァー賞を受賞》してもおかしくないレベルの大スクープだったのに…。「ペンタゴン・ペーパー」報道と比較して、《ところが、同じく政府の壮大な嘘がばれた日本はどうなっただろうか。》 《強面のニクソン政権と言えども、アメリカ中の新聞をすべて差し止めることなどできるはずもなかった》…一方、ニッポンでは、ニッポン中の新聞をすべて差し止め》たかのように、《すっぱ抜きを後追いする社は一つも無かった》。日・米での結果の彼我の差はなぜ?

 再びの引用。日刊ゲンダイのコラム【佐高信「追悼譜」/西山太吉メディアや岸田文雄に絶望して憤死したのだ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/319554)によると、《国家の嘘を暴いた元『毎日新聞』記者の西山太吉の死を各新聞を含むメディアがそれなりに大きく取り上げている。しかし、報じたメディアは西山の怒りがそのメディアにも向けられていることを知っているのだろうか》。
 佐高さんの「追悼譜」タイトルが示す通り、《西山太吉メディアや岸田文雄に絶望して憤死したのだ》。無念だった、と思う。

   『●《憤死》した西山太吉さん:《報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、
      今の日本にあるだろうか》? 《報道の自由を守るには報道しかない》

 神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【偽りの沖縄返還を暴いた伝説の記者・西山太吉の遺言/マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1101回)】(https://www.videonews.com/marugeki-talk/1101)によると、《なぜあの時日本は西山氏を見殺しにしたのか。西山氏の取材手法を非難したとしても、なぜ同時にそこで暴かれた密約をきちんと追求できなかったのかその結果として、その後の日米関係はどのような「隷属の道」を辿ることになったのか。これは決して過去の話ではなく、今もわれわれ一人ひとりの喉元に突きつけられた匕首なのではないか。》

   『●三十数年前の映画 ~『密約 ―外務省機密漏洩事件―』
   『●『密約 ~外務省機密漏洩事件~』読了
   『●西山太吉さん密約事件が示すもの:
      「一人歩きし、拡大解釈され、時の権力によって必ず乱用される」
     「「首相のウソを暴いた西山太吉さん。それが今後できなくなる」
      (佐高信さん、10月13日『サンデーモーニング』)。
      また、「西山事件が
      示している通り、必ず一人歩きする。拡大解釈される。
      その時の権力に
      よって必ず乱用される」(岸井成格さん、同番組)」
     「「公務員法でも政と官がその気になれば、
      ジャーナリストなんぞ簡単に逮捕できるということ」だったが、
      それ以上の強力な「猛毒」を安倍首相や自公議員は欲しいらしい。
      自公議員への投票者や支持者は、そんな「猛毒」をどう思っている
      のでしょう?」

   『●東京電力原発人災「被ばくに関する正確な情報が
       伝えられなかった・・・身近で必要な情報が一層隠される」
     「田島泰彦氏の発言で気になるのは、「日本は今でさえ、
       本来なら国民が知るべき情報が出てこない。原発事故で…
      「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム
      (SPEEDI)」や
      被ばくに関する正確な情報が伝えられなかったのがその表れだ…
      身近で必要な情報が一層隠される」という部分。
       ホント~にロクでもない事ばかりする政権!」

   『●西山太吉さん: 「特定秘密保護法制の実施機関に
              メディアが入っている」非民主国
   『●密約破棄
     「自民党の政治家の顔色を見てもみ消したわけですね。西山太吉
      元毎日新聞記者の記者生命を奪っておいて、さんざん嘘を吐き、
      最後はもみ消してあげるわけ」

   『●『沖縄密約』文書破棄という歴史の冒涜
         ~「捨てちゃったんだからもういいジャン」の国~

   『●沖縄密約文書:
      「捨てちゃったんだからもういいジャン」の国を許す最高裁

    《それ以外にも「秘密枠」が存在し、莫大(ばくだい)な金を日本が
     積んでいた。核兵器の持ち込みなど「核密約」も含まれていた。
     このような重要情報が米国からもたらされても、日本側は「ない
     と言い張ってきた状況は異様である》

   『●情報公開法と公文書管理法: 「「何が秘密かすら秘密」
          という特定秘密保護法が施行」、そして共謀罪へ
   『●特定秘密保護法案「改悪」協議:
       沖縄密約事件時どころか、戦前の「治安維持法の再来」
   『●〝沖縄密約〟東京高裁判決、原告側の逆転敗訴
     「「無いんだから仕方ないジャン」、
      「捨てちゃっただからもういいジャン」
      という言い訳を認めて良いのかな。本当に廃棄してしまった
      のならば、それはそれで大問題でしょう。これだけ議論を
      呼んだこんな重要な文章が、
      そういう風にいい加減に取り扱われていて大丈夫なのか? 
      廃棄を指示したのは一体誰で、実行したのは一体誰?」

   『●西山太吉さんが喝破、
      「うそをつく人たちが作ろうとしている危険な法案」
   『●『ペンタゴン・ペーパーズ』: 「報道の自由を守るには
         報道しかない」、でも、沖縄密約と西山太吉記者…
    「リテラの記事【森友文書改ざん問題を彷彿と話題の映画
     『ペンタゴン・ペーパーズ』! 三浦瑠麗はまたトンチンカンコメント】」

   『●政権広報「アベ様のNHK」への切っ掛け…アベ様や
       中川昭一氏に「勘ぐれ、お前」と忖度を強要されて…
    《綿井健陽さん…「報道やジャーナリズムに携わる者が、
     「言論・報道の自由」という言葉を抵抗手段として公に訴える場合は、
     それは対国家、対公権力に向けて使うべきだと私は考えている。
     たとえばNHKの「ETV番組改編問題」のときの
     安倍晋三や故・中川昭一ら国会議員(当時)の対応、古くは毎日新聞
     西山太吉記者(当時)の沖縄返還密約記事での逮捕・有罪、
     最近では映画『靖国』上映中止問題のときに国会議員らが試写要求と
     文化庁に口出しや取材対象者に接触する行為など、これらは
     「言論・報道の自由」の問題として、それこそ良い意味での
     〝メディア・スクラム〟でもって対応すべき出来事だった》

   『●《権力にとって、これほど便利で御しやすい低能メディアも、
      国民も珍しい…一刻も早く立て直さなければ、本当に危険》
   『●西山太吉さん亡くなる: 事件の本質のすり替えであり、「西山事件」に
     非ず…《今も政府は密約を認めない…「返還密約事件」は終わっていない》

   『●《憤死》した西山太吉さん:《報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、
      今の日本にあるだろうか》? 《報道の自由を守るには報道しかない》

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https://www.videonews.com/marugeki-talk/1101


西山太吉×宮台真司×神保哲生:偽りの沖縄返還を暴いた伝説の記者・西山太吉の遺言【ダイジェスト】】
https://youtu.be/FYS1qSLLwoY

完全版part1 ( 42分 15秒 )  https://youtu.be/6a-YWupmt10
完全版part2 ( 44分 14秒 )  https://youtu.be/fHyV8HzaSgw


2022年05月14日公開
偽りの沖縄返還を暴いた伝説の記者・西山太吉の遺言
マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1101回)


ゲスト
西山太吉 (にしやま たきち)
元毎日新聞記者
その他の放送 (3件)

1931年山口県生まれ。52年慶應義塾大学法学部卒業。54年慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻修了。同年毎日新聞社入社。横浜支局、経済部を経て、政治部記者として首相官邸、自民党、外務省などを担当。72年沖縄密約取材をめぐり、国家公務員法違反容疑で逮捕・起訴。一審無罪、二審で逆転有罪、78年、最高裁で有罪確定(懲役4ヵ月、執行猶予1年)。74年毎日新聞社を退社し西山青果勤務。91年退職。著書に『沖縄密約 「情報犯罪」と日米同盟』、『記者と国家  西山太吉の遺言』など。


概要
 西山太吉さんの2023年2月のご逝去を受けて、過去の番組を追悼番組として無料で放送いたします。


 この5月15日で沖縄は本土返還50周年を迎える。終戦と同時に始まった米軍の4半世紀にわたる占領が解かれ、沖縄の施政権が日本に返還された記念日は、本来であれば日本にとっても沖縄にとっても祝うべきおめでたい日なのかもしれない。

 しかし、実は50年前、沖縄は完全に日本に返されたわけではなかった。それは沖縄の施政権を返還するにあたり、当時の日米政府間では米軍が沖縄の基地を自由に使用し続けることを認めるという密約が存在していたからだ。にもかかわらず当時の佐藤政権は「核抜き、本土なみ」などというスローガンであたかも沖縄が無条件で日本に返還され、これから沖縄は日本の他の都道府県と同様の地位を得るかのような幻想をしきりと喧伝した。もちろん核兵器もないし、基地負担も他県と同等程度になるはずだった

 ところが、これがとんでもない嘘だった。そして、沖縄はその後も基地負担に喘ぎ続けることになるが、それが沖縄返還時の両国が密かに合意した条件だったのだ。

 その偽りの日米関係偽りの沖縄返還の尻尾を捕まえて、これをすっぱ抜いた伝説の記者がいる。元毎日新聞記者の西山太吉氏だ。今年、齢91歳となる西山氏は、日米間で沖縄返還を巡る交渉が大詰めを迎えていた1971年6月、日米間の機密電文を入手し、両国の間には国民に説明されていない密約が存在することを暴く記事を書いたのだ。

 これだけの大ニュースだ。本来であれば、この記事を発端に偽りの日米関係の実態が次々と明らかになりアメリカに隷属することで日本国内で安定的な権力が確保できるという現在の日本の国辱的な属国体質は、もっと早くに改善されるはずだった

 実はアメリカでもほぼ同時期に有名な機密暴露報道があった。西山氏が密約をすっぱ抜いた2日後の1971年6月13日、機密指定されていた国防総省の内部文書「ペンタゴンペーパー」が、内部告発者ダニエル・エルズバーグ博士によって持ち出され、これを入手したニューヨークタイムズがスクープしたことをきっかけに、それまでのアメリカ政府によるベトナム戦争に関する嘘が次々と明らかになっていた

 アメリカではペンタゴンペーパー報道の結果、アメリカ国民がベトナム戦争の実態を知ることとなりニクソン政権がベトナム戦争に対する国民の支持を失った結果、4年後のアメリカによるベトナムからの撤退につながっている。そして、これを報じたニューヨークタイムズのニール・シーハン記者はジャーナリズム界最高の栄誉とされるピュリッツァー賞を受賞する一方で、支持率が低迷したニクソン政権はその後、ウォーターゲート事件を引き起こし、アメリカ史上初の現職大統領の辞任へとつながっていった。ところが、同じく政府の壮大な嘘がばれた日本はどうなっただろうか

 まず、当時、西山記者のすっぱ抜きを後追いする社は一つも無かった。記者会見で密約の存在を質したりする記者もまったくいなかったと西山氏は言う。結果的に、国家機密を暴いた毎日新聞、とりわけ当時、同社の外務省記者クラブのキャップだった西山氏だけが矢面に立つこととなった。ペンタゴンペーパーをスクープしたニューヨークタイムズも、ニクソン政権が取った法的措置によって発行が差し止められていたが、ペンタゴンペーパーはワシントン・ポストを始めとする全米の新聞が後追いで内容を報じ続けたために、政府は嘘を隠し通すことができなくなっていた。強面のニクソン政権と言えども、アメリカ中の新聞をすべて差し止めることなどできるはずもなかった

 しかも、西山氏と西山氏に機密文書を渡した外務省の女性事務官を公務員法違反起訴した検察が、起訴状の中で「密かに情を通じ」という表現で西山氏と事務官の間の男女関係にことさらに焦点を当てたことで、日本では西山氏の情報の入手手段に対する一斉攻撃が始まった。「沖縄密約佐藤内閣が日本国民に対してアメリカとの合意内容について嘘の説明をしている問題」がいつのまにか「外務省機密情報漏洩事件となり気がつけば密約とはまったく関係のない毎日新聞記者と外務省女性事務官の不倫スキャンダルすり替えられてしまったのだ。もはや日本には、密約や政府の嘘を問題視する空気感は残っていなかった

 それから4半世紀が過ぎ、アメリカで機密指定されていた沖縄返還交渉に関わる膨大な量の公文書の機密が解除されたことで、1990年代後半になって日米密約の存在が明らかになった西山氏の報道内容が正しかったことも、初めてそこで裏付けられたが、時既に遅し。西山氏は裁判の一審で無罪判決を受けた1974年に毎日新聞を退社し、地元小倉に戻り家業の青果店を継ぐ選択を下していた。アメリカ側の公開文書によって密約の存在が明らかになった後、西山氏の名誉を回復するための国賠訴訟や密約の存在を確認するための情報公開請求訴訟などが提起されたが、裁判所はいずれもこれを退けている。アメリカ側の公式文書でその存在が確認された今となっても、日本政府は未だに密約の存在を正式には認めていないのだ。

 アメリカではペンタゴンペーパーの存在を暴いたニューヨークタイムズのシーハン記者がピュリッツァー賞を受賞し、ニューヨークタイムズもその報道によって高級紙としての地位を確固たるものとした。その一方で、日本でほぼ同時期に政府の嘘を暴いた西山氏は、逮捕された上に筆を折りジャーナリスト活動を廃業せざるを得なくなった。この事件で社会から指弾された毎日新聞はそこから一気に部数を落とした挙げ句、事件から6年後の1977年には事実上の倒産をしている。また、アメリカではニクソン大統領がその後、辞任に追い込まれたが、一方の佐藤栄作首相は沖縄返還を実現したことが評価され、ノーベル平和賞まで受賞している。両国のこのギャップは一体何なのだろうか

 西山氏の情報入手方法の是非については、メディア論としては色々な議論があって然るべきだろう。また、西山氏が国会で政府を追及させるために、入手した機密情報の一部を当時の社会党の国会議員に渡したことも、仮に目的が公益的なものであったとしても、メディア倫理上、その是非は当然議論されて然るべきものだ。また、守秘義務を負っている公務員に機密を持ち出させてそれを報じた以上、公務員法違反(そそのかし罪)に問われることも覚悟はしなければならないだろう。しかし、それもこれも、その一方で、西山氏が暴いた政府の嘘がきちんと追求され、責任者がしかるべき責任を取らされるという大前提があればこその話だ

 西山氏の記事は密約のほんの一端を捉まえただけだった。西山氏はこれを「巨大な密約の尻尾を捕まえただけ」と表現する。しかし、例え尻尾でも、沖縄返還協定でアメリカ側が負担することになっていた原状回復費の400万ドル(当時のレートで約14億円あまり)を実は日本政府が負担し、国民には嘘の説明をして頬被りをしようとしていたことを白日の下に晒すものだったことに変わりはない。そして、実際には日本政府はアメリカとの間で沖縄の基地の自由使用の容認という、主権国家としては到底あり得ない密約まで結んでいたことが、後にこれもまたアメリカ側で公開された文書によって明らかになる

 なぜあの時日本は西山氏を見殺しにしたのか。西山氏の取材手法を非難したとしても、なぜ同時にそこで暴かれた密約をきちんと追求できなかったのかその結果として、その後の日米関係はどのような「隷属の道」を辿ることになったのか。これは決して過去の話ではなく、今もわれわれ一人ひとりの喉元に突きつけられた匕首なのではないか

 沖縄が返還50周年を迎える今週、マル激はジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が福岡県の小倉に西山太吉氏を訪ね、西山氏とともに当時の日米関係と、その後、日本が歩んだ道をどう考えるかなどについて議論した。
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●西山太吉さん亡くなる: 事件の本質のすり替えであり、「西山事件」に非ず…《今も政府は密約を認めない…「返還密約事件」は終わっていない》

2023年03月15日 00時00分04秒 | Weblog

[※ 沖縄復帰50年 利用され続けた海と大地/西山太吉 「密約」を語る (週刊金曜日、2022年5月13日1376号)↑]


(2023年03月01日[水])
報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、今の日本にあるだろうか》? 《報道の自由を守るには報道しかない》。

   『●『密約 ~外務省機密漏洩事件~』読了
    《衆議院の秘密理事会においても、肩代わりの密約はないと
     シラを切りとおしてきた政府の食言問題、政治的背任に関わっている》
    「事件の本質のすりかえ

   『●〝沖縄密約〟東京高裁判決、原告側の逆転敗訴
   『●「「秘密」は秘密」:
      「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいた時代に逆戻り
    《「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝澤地久枝)さん…
      沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された
     外務省機密漏えい事件を、著書「密約」で取り上げ、密約の
     文書開示請求訴訟にも原告として加わった。「法案が成立すれば
     警察国家のようになる。特定秘密の保護措置として警察庁長官は
     いろんなことができる。戦争中の日本人は『警察ににらまれたらまずい』
     と思いながら話していた。そういう時代に戻る可能性が非常に大きい」》

   『●『ペンタゴン・ペーパーズ』: 「報道の自由を
      守るには報道しかない」、でも、沖縄密約と西山太吉記者…
   『●政権広報「アベ様のNHK」への切っ掛け…アベ様や
       中川昭一氏に「勘ぐれ、お前」と忖度を強要されて…
    《綿井健陽さん…「報道やジャーナリズムに携わる者が、
     「言論・報道の自由」という言葉を抵抗手段として公に訴える場合は、
     それは対国家、対公権力に向けて使うべきだと私は考えている。
     たとえばNHKの「ETV番組改編問題」のときの
     安倍晋三や故・中川昭一ら国会議員(当時)の対応、古くは毎日新聞
     西山太吉記者(当時)の沖縄返還密約記事での逮捕・有罪、
     最近では映画『靖国』上映中止問題のときに国会議員らが試写要求と
     文化庁に口出しや取材対象者に接触する行為など、これらは
     「言論・報道の自由」の問題として、それこそ良い意味での
     〝メディア・スクラム〟でもって対応すべき出来事だった》

   『●《権力にとって、これほど便利で御しやすい低能メディアも、
      国民も珍しい…一刻も早く立て直さなければ、本当に危険》

 「政治判断の一例として思い出されるのは、西山太吉さんの「沖縄密約事件」。森友、加計、決裁文書改竄、イラク・南ザイール自衛隊PKO日報隠蔽問題…問題山積なアベ様。司法は機能するだろうか? 《報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、今の日本にあるだろうか》? 《報道の自由を守るには報道しかない》」。
 最「低」裁を頂点とした司法の機能不全。そして、(日刊ゲンダイ)《機能不全に陥っている日本のジャーナリズムに対する深い憂慮の念に満ちた》、西山太吉さんの《この「遺言」を、現役ジャーナリストがどう受け止めるかが問われている》。

 最近も似たようなことが続いているように感じます…(19/09/11 06:00)【斎藤貴男 二極化・格差社会の真相/「差別」を「愛国心」と取り違えたとき人間の本質が変わる】によると、《誰も彼もが口を開けば韓国人への悪罵を吐いている。テレビには女性旅行者への暴行を勧める老“教授”や、同席した韓国人女性を「おまえ」呼ばわりし、「黙っとけ、この野郎」と怒鳴りつける前県知事まで登場。それでも平然と番組を進行させた司会者、批判を黙殺する放送局……》。

 (2012年2月10日) 【筆洗】によると、《読売新聞グループ本社の会長・主筆である渡辺恒雄氏が激怒している。反旗を翻した前巨人軍代表との裁判ではない。TBS系ドラマ「運命の人」に、である▼渡辺氏がモデルとおぼしき政治記者は「ゆすりたかりの悪徳記者」に描かれているという。怒りたくなるのは分かるが、主人公のモデルにされた元毎日新聞政治部記者の西山太吉氏に「ワビを入れろ」とは筋違いだろう▼本木雅弘さんが主役を演じるドラマは、視聴率こそ低迷しているものの興味深い。今週は、沖縄返還をめぐる密約疑惑を追及していた本木さんが国家公務員法(守秘義務)違反の共犯容疑で逮捕される場面だった▼マスメディアは当時、こぞって政府を批判し、「知る権利」を守るキャンペーンを張ったが、「情を通じて」という起訴状で、男女スキャンダルにすり替わり、密約の追及はうやむやになる。そんな状況も再現されるようだ》。

   『●沖縄密約と日曜劇場『運命の人』
   『●『運命の人』というフィクション・ドラマと沖縄密約事件についての
                            ノンフィクション

   『●『運命の人』余話 ~あるフィクサー的政〝界〟記者の反論~
   『●続『運命の人』余話 ~ある元政〝界〟記者の筋違いな激怒、はさておき~

 2023年2月24日、西山太吉さんが亡くなられた。「ひそかに情を通じて」をことさらに前面に押し出し、政権は沖縄密約問題を潰し、それに手を貸すマスコミ…、市民も事の重大さを見失い…。決して「西山事件」に非ず。「事件の本質のすりかえ」。《事件の歪曲(わいきょく)にメディアも手を貸した》。
 沖縄タイムスの【[社説]西山事件と沖縄密約 「国家のうそ」問い続け】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1110731)によると、《沖縄返還を巡る密約問題を追及し続けてきた元毎日新聞記者の西山太吉さんが、心不全のため亡くなった。91歳だった。 政治部の敏腕記者だった西山さんは、返還交渉の舞台裏を取材する過程で、外務省の女性事務官から機密公電のコピーを入手した》。
 沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]西山太吉さんの胆力】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1110052)によると、《メディア界を追われて30年近く。再び表舞台に立った西山太吉さんは、エリート記者のプライドや振る舞いを身にまとったままだった。ペンを折り、親族の会社で働いた日々をどう過ごしたか ▼沖縄復帰前年の1971年、西山さんが突き止めたのは政府の裏切り国民に隠れて米国が負担すべき費用の肩代わりを密約していた ▼西山さんが逮捕、起訴された72年、問題視されたのは取材過程密約暴露に慌てた権力は、西山さんが外務省の女性事務官と「ひそかに情を通じて」資料を入手したとわざわざ起訴状に記した...》。

 琉球新報のコラム【<金口木舌>密約事件は終わっていない】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1668911.html)によると、《▼西山さんの訃報に接し、20年前の取材を思い出す。眼光は鋭く、身ぶり手ぶりを交え、まくし立てるように話した。今も政府は密約を認めないそればかりか、基地負担軽減に名を借りた新たな「見せかけ」で県民を惑わせる返還密約事件」は終わっていない》。

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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1668911.html

<金口木舌>密約事件は終わっていない
2023年2月27日 05:00
金口木舌 西山太吉 沖縄返還密約

 毎日新聞記者だった西山太吉さんが沖縄を語る時、いつも「見せかけ」という言葉を使った。返還協定は「国民をあざむくための見せかけだ」というように

▼沖縄返還に絡む密約を報じ、罪に問われた。「沖縄返還密約事件」である。それがスキャンダルとして扱われ、当時は「西山事件」などと呼ばれた。事件の歪曲(わいきょく)にメディアも手を貸した。敏腕記者は筆を折った

▼2000年以降、密約を示す米公文書が明らかになり、西山さんは密約文書開示を求めて国を訴えた。闘いを多くの同志が支えた

▼元記者の不遇に思いを寄せる人がここにもいた。05年秋、西山さんを招いた那覇市での集会。県祖国復帰協議会の事務局長だった仲宗根悟さんは声を震わせ「沖縄から力になれなかった」とわびた

▼西山さんの訃報に接し、20年前の取材を思い出す。眼光は鋭く、身ぶり手ぶりを交え、まくし立てるように話した。今も政府は密約を認めないそればかりか、基地負担軽減に名を借りた新たな見せかけで県民を惑わせる。「返還密約事件は終わっていない
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●『琉球新報』は「警察国家」と指摘…「反対運動つぶし」「国策捜査」「狙い撃ち」な山城博治さん「拉致」

2017年01月18日 00時00分14秒 | Weblog


琉球新報の【<社説>山城議長長期勾留 「警察国家」への危機感募る】(http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-427892.html)。

 《名護市辺野古の新基地建設現場と東村高江のヘリパッド建設現場での行為を巡り、逮捕・起訴された山城博治 沖縄平和運動センター議長の拘束が約3カ月に及ぶ。今回の長期勾留に関し、政治的な表現の自由を脅かす異常な人権侵害であり、今後、市民運動が標的になりかねないという懸念が国内外で急速に広がっている》。

   『●沖縄差別:目取真俊さん「多くの日本人が
     その嘘っぱちを信じている、というよりも、信じたいんでしょう」
   『●番犬様=米軍「拉致被害者」を
     アベ様達が「逮捕」ってどういうこと? 本当にバチアタリな人たち
   『●アベ様らによる辺野古破壊・沖縄差別、
       「対立激化で県民にケガ人が相次ぐ異常事態」
   『●沖縄平和運動センターの山城博治さん…
      イジメ・見せしめな「反対運動つぶし」「国策捜査」「狙い撃ち」

 山城博治さんの「拉致」に関連して、『日刊ゲンダイ』は、反対運動つぶし》《国策捜査》《狙い撃ちと言います。そして、『琉球新報』は《政治的な表現の自由を脅かす異常な人権侵害》《警察国家と指摘。壊憲特定秘密保護法共謀罪外交音痴政治音痴人治主義国家・王国、…アベ様の「政」、酷くなる一方です。

   『●『創 (8月号)』読了(2/2)
    《1. 輸入農産物の自由化 (関税障壁の撤廃など)
     2. 公共部門の民営化 (鉄道、郵便、医療、水道、教育に民間企業が参入)
     3. 労働の柔軟化 (労働法制の基準緩和、非正規雇用の推進)
     4. 規制緩和 (資本規制、安全基準、環境規制などの緩和)
     5. 警察国家化 (テロ対策、移民管理の強化)》

   『●「世紀の大悪法 特定秘密保護法案」
      『週刊金曜日』(11月15日、968号)についてのつぶやき
    「編集部【あなたがテロリストにされる日】、「「国家の安全」優先」
     「完全な警察国家になる」「私たちが大切にしてきた民主主義
     「国際平和」「主権在民」が、消し去られようとしている」。猛毒
     (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/48272cd76b5adc03ece0c6295eef6308)」

   『●「「秘密」は秘密」:
      「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいた時代に逆戻り
    《「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝澤地久枝)さん…
      沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された
     外務省機密漏えい事件を、著書「密約」で取り上げ、密約の
     文書開示請求訴訟にも原告として加わった。「法案が成立すれば
     警察国家のようになる。特定秘密の保護措置として警察庁長官は
     いろんなことができる。戦争中の日本人は『警察ににらまれたらまずい』
     と思いながら話していた。そういう時代に戻る可能性が非常に大きい」》

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http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-427892.html

<社説>山城議長長期勾留 「警察国家」への危機感募る
2017年1月16日 06:02

 名護市辺野古の新基地建設現場と東村高江のヘリパッド建設現場での行為を巡り、逮捕・起訴された山城博治 沖縄平和運動センター議長の拘束が約3カ月に及ぶ。

 今回の長期勾留に関し、政治的な表現の自由を脅かす異常な人権侵害であり、今後、市民運動が標的になりかねないという懸念が国内外で急速に広がっている

 沖縄の不条理に目を注ぐ海外の有識者、国内の刑法研究者、日本国際法律家協会、76カ国にネットワークを持つ環境NGOが相次いで、山城議長の即時釈放を求める声明を出した。

 作家の落合恵子さんや脚本家の小山内美江子さんらが呼び掛けた釈放要求の署名運動は、3週間で国内外から約1万7千筆を集めた。

 こうしたうねりは、安倍政権下で、民主主義国家法治主義国家であるはずの日本が急速に「警察国家化」しているという疑念と危機感が深まっている表れだ。

 沖縄の民意に反した基地建設をごり押しされることに異議を唱え、非暴力の抵抗に身を投じた市民を問答無用に抑え込む。さらにリーダーを狙い撃ちにした必要性の乏しい勾留が延々と続いている。

 政治弾圧に等しい長期勾留は即刻やめるべきだ山城議長は一刻も早く釈放されねばならない

 山城議長は(1)ヘリパッド建設への抗議中に有刺鉄線1本(2千円相当)を切った器物損壊(2)沖縄防衛局職員に対する公務執行妨害と傷害(3)辺野古新基地建設に抗議した際、ブロックを積み上げた威力業務妨害-の三罪で起訴された。

 第一線の刑法研究者41人以上が名を連ねた異例の緊急声明は、議長の行為は偶発的に発生した可能性が高く、違法性が低いと指摘している。公判維持のための捜査は終わり、証拠隠滅の恐れもない。

 「不当に長い拘禁」は抗議行動を反社会的行為と印象操作する安倍政権の意向が反映していよう。

 がんを抱え、健康状態の悪化が懸念される山城議長は家族との面会や靴下の差し入れが認められなかった

 裁判所は安倍政権の強権的姿勢を忖度(そんたく)する県警や那覇地検に従い勾留延長を認めてきた憲法の番人の役割への自覚はあるのか

 警察法は、警察が治安維持を名目にして政治弾圧を担い、国を戦争へ導く役割を担った戦前、戦中を猛省して制定された。沖縄で見える刑事司法の変質警察国家への回帰と感じられてならない。
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●(非)特定秘密「隠蔽」法を大歓迎: 「たかり記者」だった?読売新聞ナベツネ氏は正気なのでしょうか?

2014年08月28日 00時00分31秒 | Weblog


asahi.comの記事【渡辺恒雄・読売会長、秘密法を評価 有識者会議議事録】(http://www.asahi.com/articles/ASG8T465KG8TUTFK004.html?iref=comtop_6_02)。

 「座長の渡辺恒雄・・・・・・過去の機密漏洩事件を例に「今後こうした事件が起きた際に適切公平な処理を行う上で非常に役に立つと評価」した・・・・・・って、ジャーナリズムの自死、自殺行為ではないだろうか? 

   『●西山太吉さん: 「特定秘密保護法制の実施機関に
                     メディアが入っている」非民主国


 小泉純一郎氏でさえが躊躇した『平成の治安維持法をつくって恥じないアベ様に、メディアが旗振りやるなんて正気??

   『●「『平成の治安維持法』をつくった総理」の
          非常に危険な思い入れ、それに手を貸す責任

 元記者(?)としての御勤め先・読売新聞なんてのに何の期待もしていないし、「アベ様の犬HK」をはじめとしたマスメディアのダラシナサは知っているが、この件のナベツネ氏はあまりに酷い。当事者の西山太吉さんは・・・・・・「西山氏「特定秘密保護法制の実施機関にメディアが入っている。そんな国が世界のどこにあるか?」 ハルペリン氏ない」」(『●西山太吉さん: 「特定秘密保護法制の実施機関にメディアが入っている」非民主国』)。

   『●ジャーナリズムの矜持無きこんな「公共」放送なんて要らない!
   『●原発再稼働・もんじゅ推進を
         無批判に放送できる公正中立な公共放送「アベ様のNHK」
   『●確信犯? ノー天気? 猛毒法に、
      座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長は断言「・・・賛成だ」

   『●「治安維持法」を止めるために:
          「アベ様のNHK」などマスメディアだけに任せてはおれない


 「たかり記者」だった?という描写に御立腹だった読売新聞のナベツネ氏は正気なのだろうか? 本記事中に「渡辺氏は「甘言を弄(ろう)して女性に国家機密を盗ませたのは事実だ」と指摘」した、とあるが国家の言い分そのもので、元記者(ナベツネ氏を本当に記者と呼べるのかは置いておくとして)の物言いとしては如何なものか? ブログ主には、正気には見えないのですが?

   『●『運命の人』余話 ~あるフィクサー的政〝界〟記者の反論~

 最後に、アベ様の「首相だった2005~07年時には見ていなかった」というのも白々しい。だって、自分の先輩が命じて「捨てちゃった」んでしょ?

   『●『沖縄密約』文書破棄という歴史の冒涜
         ~「捨てちゃったんだからもういいジャン」の国~
   『●沖縄密約文書:
      「捨てちゃったんだからもういいジャン」の国を許す最高裁


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http://www.asahi.com/articles/ASG8T465KG8TUTFK004.html?iref=comtop_6_02

渡辺恒雄・読売会長、秘密法を評価 有識者会議議事録
2014年8月26日06時58分

 特定秘密保護法の運用基準と政令の素案を了承した7月の有識者会議の議事録が25日、朝日新聞記者の情報公開請求で開示された。座長の渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長・主筆は過去の機密漏洩(ろうえい)事件を例に「今後こうした事件が起きた際に適切公平な処理を行う上で非常に役に立つと評価していた。

 7月17日の「第2回情報保全諮問会議」の議事録によると、渡辺氏は、沖縄返還時の日米密約に関する情報を外務省の女性事務官から得た毎日新聞記者が国家公務員法違反罪で有罪となった「西山事件」に言及。渡辺氏は「甘言を弄(ろう)して女性に国家機密を盗ませたのは事実だ」と指摘し、秘密法や運用基準について「これまではこうしたものがなかったから様々な事件が起きた」と語った。

 この会議に出席していた安倍晋三首相は議事録によると、機密情報の管理について、「今まで首相である私自体が、しっかりとその仕組みの全貌(ぜんぼう)を知り得ることもできなかった」と主張。西山事件の日米密約の書類も、自身が官房長官、首相だった2005~07年時には見ていなかったとし、「私はそういう書類があったこと、それが何で秘密になっていたかを知っておく必要は当然ある」と述べた。

 政府は、今月24日に締め切ったパブリックコメント(意見公募)に寄せられた意見を諮問会議で議論したうえで、秋に運用基準と政令を閣議決定し、12月に秘密法を施行する方針だ。
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●「「秘密」は秘密」: 「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいた時代に逆戻り

2013年11月20日 00時00分39秒 | Weblog


東京新聞の記事【「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110402000126.html)と【軍機密、戦後も闇の中 輸送船撃沈 北海道・厚岸海岸】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111890070431.html)。

 「秘密」は秘密って、そんな恐ろしい法案ってあるのだろうか。たとえ「秘密」の定義や範囲が明らかになったとしても、安倍首相が選んだ、安倍首相お気に入りのメンツでそれを議論するのであれば、いくらでも安倍首相や自公政権に都合良く恣意的に判断できる。こんな「猛毒」は廃案にする以外に道はないが、有権者が自公にフリーハンドを与えてしまい、かつ、与党もどきの野党ばかりで、真に頼れる野党が少数派の現在、事態は非常に悲観的である。

 戦前、「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいたそうだ。「終戦前年・・・・・・事件は軍機保護法により軍事機密として伏せられ、うわさした人も同法違反で刑務所に送られ」、さらに、「死んだという事実しか知らされなかった乗船者の遺族は戦後、最愛の肉親の最期の地を求め、三十八年間も道内をさまよった」そうだ。そんな戦前のような時代に、自公の議員やそれを支持する有権者、「維新」や「みんな」のような情けない与党もどきの野党は、引き戻したいらしい。

 森達也さんは特定秘密保護法案が可決されなくても、既に「国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要」とのご意見だ。

   『●森達也さん『国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要』
   
     「でもアメリカは復元する。ジャーナリズムと国民の知る権利への意識
      あるからだ。日本は復元しない。行ったら行きっぱなしなのだ。
       そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。
      機密を理由にやりたい放題。とてもとても楽しみだ」

 一方、「密約事件」の被害者西山太吉元毎日新聞記者は「うそをつく人達が作ろうとしている危険な法案」であることを指摘されている。

   『●西山太吉さん密約事件が示すもの:
          「一人歩きし、拡大解釈され、時の権力によって必ず乱用される」
   
     「「首相のウソを暴いた西山太吉さん。それが今後できなくなる」
      (佐高信さん、10月13日『サンデーモーニング』)。また、「西山事件が
      示している通り、必ず一人歩きする。拡大解釈される。その時の権力に
      よって必ず乱用される」(岸井成格さん、同番組)」
     「「公務員法でも政と官がその気になれば、
      ジャーナリストなんぞ簡単に逮捕できるということ」だったが、
      それ以上の強力な「猛毒」を安倍首相や自公議員は欲しいらしい。
      自公議員への投票者や支持者は、そんな「猛毒」をどう思っている
      のでしょう?」

   『●西山太吉さんが喝破、「うそをつく人たちが作ろうとしている危険な法案」
   
    「西山太吉さん曰く、「政府に都合が悪い情報が、永久に秘密にされる恐れが
      あることだ。・・特定秘密の指定から30年たっても内閣が承認すれば
      無期限に指定を延長できる。国には昔から情報を国民に隠す体質があるが、
      法案が成立すれば隠蔽される情報の範囲がさらに広がる。
      秘密国家の誕生につながりかねない、恐ろしい法律」。そして、
      安倍晋三首相や麻生太郎外相らのような「うそをつく人たちが作ろう
      としている危険な法案」と喝破」

   『●特定秘密保護法案:
       「うそをつく人たちが作」る猛毒を「いい内容に仕上がっている」認識とは!?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110402000126.html

「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん
2013年11月4日 朝刊

 機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法案に、強い懸念が広がっている。一九七二年の沖縄返還をめぐる日米密約を、著書で取り上げたノンフィクション作家沢地久枝さん(83)は「この法律が成立したら、密約の当時よりもっとひどいことになる。憲法がどんなことを定めていても全部吹っ飛ぶのではないか」と憂える。

 「とんでもない法案だとあきれました。こんなに内容が分からない法案は初めて見た。具体的な部分で『政令で定める』と書いてある箇所がいくつも出てくる。政令は、政府がいくらでも出せるものです」

 特定秘密とは、安全保障に著しい支障を与える恐れがあって特に秘匿する必要のある情報で、防衛相ら行政機関トップが指定する。「一般の人には、自分が特定秘密に触れているのか分からない。文章を書く人が取材した後、これは特定秘密だと言われたらアウト。特定秘密の秘密とは何ですかと聞いても『それは秘密です』なんて、こんなばかな話はない」

 政府は今国会中の成立を目指しているが「戦争中の法律よりひどいのではないか。当時、軍事機密に触れるようなことは一般の人も予測できた。今度の場合、想像ですが、何が特定秘密かはだいたい米政府との話し合いで決まるのではないか。今急いでいる理由は、日米関係を特に軍事面で円滑にするため、日本はこうしますという約束を米国に見せようとしているんだと思いますね」

 沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された外務省機密漏えい事件を、著書「密約」で取り上げ、密約の文書開示請求訴訟にも原告として加わった。「法案が成立すれば警察国家のようになる。特定秘密の保護措置として警察庁長官はいろんなことができる。戦争中の日本人は『警察ににらまれたらまずい』と思いながら話していた。そういう時代に戻る可能性が非常に大きい」

 罰則で、公務員らが特定秘密を漏らすと最高十年の懲役に、漏らすよう働き掛けた場合も五年以下の懲役となる。「公務員は恐ろしくて何も言わなくなるし、情報提供を受ける側も取材しにくくなる。おかしいと思うことを調べ、社会のためだと思って発表しても、特定秘密を公にしたと認定されれば罪に問われるかもしれない。記者やライターがさらし者になり、公務員も被告になるのです。われわれがこれも特定秘密かと用心深くなっていけば、この国の言論は窒息します。それが法案の狙いかと思います」

 法案は、平和主義や国民主権、基本的人権の尊重という憲法の基本原理に対する反動とも指摘する。「明らかな憲法違反です。米国の戦略の中で戦争に向かう約束をしても、秘密といえば分からない。この法律が通った瞬間に日本は別の国になるそれほど悪い法律で、憲法を変えなくても何でもできる。憲法九条や九六条を変えると言えば反論できるが、特定秘密の内容には反論できない」

 安全保障に関する情報を守るのが目的としているが「安全保障自体がはっきりしたものでないから、どれがその情報か分からない。みんな特定秘密にしてしまえば国は答えなくていいし、憲法も無視できる。こんな法律のある国を、次の世代に渡せますか」。

   ×   ×

 さわち・ひさえ 三〇年東京生まれ。中央公論社を経て「妻たちの二・二六事件」でデビュー。「火はわが胸中にあり」で日本ノンフィクション賞。ミッドウェー海戦の克明な調査で菊池寛賞。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111890070431.html

軍機密、戦後も闇の中 輸送船撃沈 北海道・厚岸海岸
2013年11月18日 07時06分

 国家の秘密はときに悲劇を生む。終戦前年の一九四四年、北海道近海で二千数百人の陸軍兵を乗せた輸送船「日連丸」が米軍に沈められた。事件は軍機保護法により軍事機密として伏せられ、うわさした人も同法違反で刑務所に送られた。死んだという事実しか知らされなかった乗船者の遺族は戦後、最愛の肉親の最期の地を求め、三十八年間も道内をさまよった。 (飯田孝幸)

 北海道・釧路港から東に約五十キロ。厚岸(あっけし)町の海岸近くにある正行寺(しょうぎょうじ)に一九八二年七月初旬、釧路市役所から電話が入った。「日連丸の遺族が遺体の漂着した場所を探している。何か知りませんか」。当時住職だった朝日正芳さん(95)の脳裏に、家族にも長年秘してきた出来事が浮かんだ。

 四四年三月十八日夜、寺の周囲にはまだ雪が残っていた。突然現れた憲兵が、負傷者を寺に収容することを告げる。すぐに四十人近い負傷者と数体の遺体が納骨堂に運び込まれた。

 彼らは日連丸の数少ない生き残りだった。二日前、千島に向けて釧路港を出発したが二時間後に潜水艦に撃沈された。大本営は日本軍の「快進撃」を発表している。日本近海まで米軍が迫っていることを国民に伏せるため、日連丸の沈没は軍事機密となった。

 負傷兵は人目に触れないよう正行寺に運ばれた。正芳さんは「憲兵が常駐し、負傷兵とは一切口を利くことができなかった。私たちは外出も許されなかった」と振り返る。

 やがて、近くの海岸にも遺体が何体も漂着。磯漁のシーズンだったが、地元の人たちは海岸から閉め出され、口を閉ざした。「せき払い一つできない、がんじがらめの時代だった」と正芳さん。釧路では船舶会社の役員ら二人が、日連丸沈没のうわさ話をしたとして逮捕され、実刑判決を受けた。

 日連丸の兵士らの遺族が戦死を知るのは三カ月後。届けられた白木の箱に遺骨はなく、戦死公報に「北方海域にて戦死」とだけ書かれていた。

 戦後、遺族たちは夫や父親の最期を知ろうと、わずかな手掛かりを頼りに北海道内を尋ね歩いた。夫を亡くした仙台市の志田すえのさんはある日、探し疲れて「夢でいいから、どこにいるか教えて」とつぶやいた。同じく夫を亡くした佐久間つねさんと長男の博信さんも、仙台市から何度も釧路を訪れた。

 八二年七月、博信さんは会社を一週間休んで釧路に。最終日、市役所を訪ねると、担当者は「遺体を収容したことがあるかも」と、市内の全ての寺に電話してくれた。念のため近くの厚岸町にも広げたところ、正行寺にたどり着いた。地元紙などに報道され、一気に情報が集まった。

 「厚岸の海と多くの人が、私たちが来るのを四十年間待っている」。母の言葉に押され博信さんは八四年、正行寺で慰霊法要を行う。四年後、遺族らは太平洋を見下ろす愛冠(あいかっぷ)岬に慰霊碑を建立した。

 再び、国家が秘密を定める特定秘密保護法案の審議が国会で進められている。志田さんと佐久間さん、博信さんはすでに亡くなったが、日連丸遺族会の事務局を務める志田さんの長男辰継(たつつぐ)さん(69)は「何でも秘密にする時代じゃない。あんな時代にもどるべきじゃない」と静かな口調で話した。

<軍機保護法> 1899(明治32)年に制定された。条文は8条だけ。軍事秘密の探知・収集、職務上あるいは偶然知り得た軍事秘密の漏えい、防衛施設の撮影・模写などを禁止した。1937年に改正され、秘密の種類・範囲を明確化する一方、軍事上秘密にする必要のある地域への立ち入り制限を可能にし、スパイ団の編成を処罰できるようになった。

(東京新聞)
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●特定秘密保護法案: 「うそをつく人たちが作」る猛毒を「いい内容に仕上がっている」認識とは!?

2013年11月14日 00時00分45秒 | Weblog


神保哲生さんのvideonews.comの三つの記事【特定秘密保護法案 西山太吉がわれわれに残した宿題と政治家の問題意識を問う】(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/003011.php)、【特定秘密保護法案「国民の知る権利にも配慮したいい法案ができたと思う」 町村信孝氏(衆院議員・党秘密保全PT座長)】(http://www.videonews.com/press-club/0804/003019.php)、【特定秘密保護法案 われわれは内容を知らされないまま裁かれることになる インタビュー:海渡雄一氏(弁護士)】(http://www.videonews.com/interviews/001999/003018.php)。

 特定秘密保護法案について、「うそをつく人たちが作ろうとしている」猛毒を「国民の知る権利や取材の自由などが保障されたいい内容に仕上がっている」という認識を示した方が居られます。また、壊憲党の同氏は、「西山氏の事件は取材方法に違法性があったことが問題なのであって、特定秘密保護法案の問題とは直接関係がない。特定秘密保護法の議論で西山事件が引き合いに出されること自体がおかしい」とも指摘したそうです。西山太吉氏の言う「うそをつく人たち」の意味が本当によく分かります。「一般の市民はどの情報を聞き出したり漏らしたりしたことが違反に当たるかを知らされないまま逮捕、起訴され、裁判でも何が秘密かが明らかにならないまま、有罪判決を受ける恐れが現実のものとな」り、「それ招く萎縮効果は絶大」で、「このままでは濫用の暴走が避けられない」ような猛毒が、「いい内容」だそうです。それは、「うそをつく人たち」にとって都合の「いい内容」でしょう。

   『●東京電力原発人災「被ばくに関する正確な情報が
            伝えられなかった・・・身近で必要な情報が一層隠される」
   
     「田島泰彦氏の発言で気になるのは、「日本は今でさえ、
       本来なら国民が知るべき情報が出てこない。原発事故で・・・
      「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」や
      被ばくに関する正確な情報が伝えられなかったのがその表れだ・・・
      身近で必要な情報が一層隠される」という部分。
       ホント~にロクでもない事ばかりする政権!」

   『●西山太吉さん密約事件が示すもの:
          「一人歩きし、拡大解釈され、時の権力によって必ず乱用される」
   
     「「首相のウソを暴いた西山太吉さん。それが今後できなくなる」
      (佐高信さん、10月13日『サンデーモーニング』)。また、「西山事件が
      示している通り、必ず一人歩きする。拡大解釈される。その時の権力に
      よって必ず乱用される」(岸井成格さん、同番組)」
     「「公務員法でも政と官がその気になれば、
      ジャーナリストなんぞ簡単に逮捕できるということ」だったが、
      それ以上の強力な「猛毒」を安倍首相や自公議員は欲しいらしい。
      自公議員への投票者や支持者は、そんな「猛毒」をどう思っている
      のでしょう?」

   『●西山太吉さんが喝破、「うそをつく人たちが作ろうとしている危険な法案」
   
    「西山太吉さん曰く、「政府に都合が悪い情報が、永久に秘密にされる恐れが
      あることだ。・・特定秘密の指定から30年たっても内閣が承認すれば
      無期限に指定を延長できる。国には昔から情報を国民に隠す体質があるが、
      法案が成立すれば隠蔽される情報の範囲がさらに広がる。
      秘密国家の誕生につながりかねない、恐ろしい法律」。そして、
      安倍晋三首相や麻生太郎外相らのような「うそをつく人たちが作ろう
      としている危険な法案」と喝破」

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http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/003011.php

ニュース・コメンタリー (2013年11月02日)
特定秘密保護法案
西山太吉がわれわれに残した宿題と政治家の問題意識を問う
西山太吉氏(元毎日新聞記者)、町村信孝氏(党PT座長)、海渡雄一氏(弁護士)

 沖縄返還に際して日米密約の存在を暴きながら機密文書の入手方法の違法性を問われて逮捕・起訴され有罪判決を受けた元毎日新聞記者の西山太吉氏は、特定秘密保護法案を推進する政府・自民党を厳しく批判する。たびたび西山氏の取材方法の問題を取り上げながら密約の存在を認めようとはせず、いまだに国民への釈明・謝罪がないからだ。
 「外国政府との密約は国家の根幹に関わる問題。そこに目を向けないで、私の取材論だけを指摘するのは、問題の本質から目を反らすための行為だ」と西山氏は、10月27日のビデオニュース・ドットコムとの取材で答えた。
 これに対して、自民党で秘密保護法案を検討したプロジェクトチームの座長を務める町村信孝衆院議員(元外務大臣)は、11月1日、日本記者クラブの講演で、「西山氏の事件は取材方法に違法性があったことが問題なのであって、特定秘密保護法案の問題とは直接関係がない。特定秘密保護法の議論で西山事件が引き合いに出されること自体がおかしい」と指摘した。
 1978年、最高裁は西山氏が外務省の女性職員との肉体関係を通じて機密文書を持ち出させたのは国家公務員法で規定する「そそのかし」にあたるとして上告を棄却し、西山氏の有罪が確定していた。
 しかし、1990年代後半に入り、アメリカで当時の機密文書が25年の期限を経て機密が解除され、国立公文書館で公開されたことで、西山氏の暴いた日米密約が実際に存在したことが次々と明らかになった。
 民主党政権下では岡田克也外相の下で密約の調査が進んだが、自民党政権はまだ密約の存在を一度も認めていない
 2009年には、密約の日本側の当事者だった当時の外務省アメリカ局長の吉野文六氏が、法廷で密約の存在を証言したために、密約が存在していたことは、確実なものとなっている。しかし、依然として、自民党は密約の存在を認めず、その釈明や謝罪の意思を見せていない
 町村氏は、密約が日本の安全保障に関わる問題である以上、秘密にされていたことは当然のことだと語っている。しかし、密約が公開されれば、日本のどのような国益が損なわれるかは説明されていない。「自分が外務大臣当時、この問題は主要な問題とはならなかった」ことを理由に、そもそも密約の存在すら認めていないのだ。
 日米沖縄密約とは、日本国民にはアメリカ側が負担していると説明されていた、米軍施設の原状回復費の400万ドルを始めとする総額で億ドル単位の資金が、実際には日本の国庫から支出されていたことを秘密にしておくことを日米間で約束したもの
 弁護士の海渡雄一氏は、特定秘密保護法案が法制化されれば、一般市民は自分が入手した情報のどれが特定秘密かわからないまま逮捕・起訴され、裁判にかけられることになると指摘。裁判でも、秘密指定された情報は明らかにされないので、自分の行った行為のどの部分が違法行為に当たるのかがわからないまま有罪判決を受ける可能性があるため、弁護のしようがない可能性があると言う。
 識者へのインタビューを通じて見えてきた特定秘密保護法案の問題点について、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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http://www.videonews.com/press-club/0804/003019.php

プレスクラブ (2013年11月01日)
特定秘密保護法案
「国民の知る権利にも配慮したいい法案ができたと思う」
町村信孝氏(衆院議員・党秘密保全PT座長)


 特定秘密保護法案を検討してきた自民党の「インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム(PT)」の座長を務める町村信孝衆院議員が11月1日、日本記者クラブで講演し、現在国会に提出されている特定秘密保護法案は、国民の知る権利や取材の自由などが保障されたいい内容に仕上がっているとの認識を示した。
 町村氏は同法案について、公明党との修正協議などを経て、国民の知る権利や報道の自由などにも配慮された点を強調。秘密に指定できる期限は原則30年とし、延長には内閣の承認を必要としたことで、無節操に秘密が延長されていく恐れも取り除くことができたと説明し、理解を求めた。
 しかし、秘密に指定された情報の妥当性を監視する第三者機関の設置や、インカメラ条項を入れることで裁判所に秘密の妥当性を問う役割を持たせるなど、濫用を防止するための措置については、今後国会で民主党などと議論をしていくと述べるにとどめた。
 元毎日新聞記者の西山太吉氏が暴露した沖縄返還にかかる日米密約については、安全保障に関わる問題のため秘密にされるべき情報だったとの認識を示したほか、「そもそもあれは取材のやり方が問題だった」と語り、特定秘密保護法案に関連した議論で引き合いに出すには不適当であるとの考えを強調した。
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http://www.videonews.com/interviews/001999/003018.php

インタビューズ (2013年11月02日)
特定秘密保護法案
われわれは内容を知らされないまま裁かれることになる
インタビュー:海渡雄一氏(弁護士)

 1980年代から秘密保全法制の制定に反対をしてきた弁護士で「何のための秘密保全法か」の共著がある海渡雄一氏は、この法律ができれば、一般の市民はどの情報を聞き出したり漏らしたりことが違反に当たるかを知らされないまま逮捕、起訴され、裁判でも何が秘密かが明らかにならないまま、有罪判決を受ける恐れが現実のものとなると指摘する。
 同法案では秘密の内容はおろか、秘密の存在まで明かされない。しかし、同法案は故意ではない過失による秘密漏洩やその教唆でも罪に問われることになる。ある情報が特定秘密に指定されていることを知らずに、政府関係者から情報を聞き出したり、それをネット上に公開したりすれば、それが違反に問われる可能性もあり、それ招く萎縮効果は絶大だ、と海渡氏は言う。
 要するに、この法案が、単に秘密を守るだけでなく、「何が秘密かも秘密」という極度の秘匿性を持っており、しかも秘密の内容に対する第三者のチェック機能がまったくビルトインされていないために、このままでは濫用の暴走が避けられないというのだ。 
 特定秘密保護法が制定された場合に、どのような問題が現実に生じうるかについて、ジャーナリストの神保哲生が弁護士の海渡氏に聞いた。
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●書籍紹介『20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う』

2013年08月30日 00時00分51秒 | Weblog


長々と全文引用させてもらっており、すいません。原文は、NPJ(http://www.news-pj.net/index.html)に出ていた記事【「小沢事件」 の真実権力の暴走とメディアの加担による民主主義の破壊】(http://www.news-pj.net/npj/kimura/20130814-ozawajiken.html)ですので、是非そちらをご覧ください。

 このような本が出版されていること、全く気づきませんでした。最近は、書店に足を運べる機会が激減し、読書量もそれに引きづられ激減してしまいました。
 何度も書いてきましたが、ブログ主は小沢一郎氏が好きではありません。でも、それとこの「小沢問題」は別です。おそらく、もはや小沢氏の復権は無いでしょう。とはいっても、ブログ主は自民党の復権は無いと思っていましたので、小沢氏の復権の可能性についても大した根拠があるわけではありませんし、確度も高くはないでしょう。

   『●小沢裁判控訴審: すべての証拠採用が却下され、即日結審
   『●小沢裁判、控訴棄却
   『●小沢裁判、控訴棄却のまともな記事が少なすぎる
   『●小沢氏元秘書裁判の暗黒
   『●政治的なトドメかな・・・・・・マスコミや裁判所によるこんなことが許されていいの?
   『●期ズレと証拠捏造、どちらが重要な犯罪なのか?

 この「小沢問題」で気に入らないのは、結局のところたかが「期ズレ」で、あれだけのバカ騒ぎをしたマスコミや自民党・民主党の議員、検察や(イカサマ)検察審査会メンバー・・・・・・が、小沢氏を政治的に〝抹殺〟しておきながら、「知らんぷり」を決め込んでいることです。その〝抹殺〟に、あるいは、その〝抹殺〟により生じた政治的な結果に、意識的かあるいは無意識にかは知りませんが、彼らは無自覚であることです。彼らは、小沢氏の政治生命を抹殺するという一点のみに浮かれて、バカ騒ぎを行いました。その無茶苦茶ぶりに、小沢一郎氏嫌いのブログ主も無性に腹が立つ訳です。
 下記の記事で紹介されている本書にはその辺の全てのことがおそらく網羅されていると思うのですが、本書をマスコミが取り上げてくれることはおそらくないでしょうから、ますます絶望的な気分になります。

   『●魚住昭さんが記者生命をかけて断言 ~小沢一郎氏関連裁判~
   『●小沢裁判、終わりの始まり?
   『●小沢裁判、検察の問題であると同時に、癒着したマスコミの問題

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http://www.news-pj.net/npj/kimura/20130814-ozawajiken.html

2013.8.14
「時代の奔流を見据えて──危機の時代の平和学」
木村 朗 (きむら あきら、鹿児島大学教員、平和学専攻)

NPJ特別寄稿
「小沢事件」 の真実 権力の暴走とメディアの加担による民主主義の破壊

  この8月に鳥越俊太郎氏と私との共編著 20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う が、日本文芸社から出版されることとなりました。本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、いや今もゆるがせ続けている小沢問題(「小沢事件」)の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。本書を一読していただければ、いまの日本の司法・政治がどれほど深刻な危機に陥っているか、あるいは日本はすでに法治国家・民主国家ではなく暗黒社会・全体主義国家(ファシズム)に移行しつつあるのではないかという問題提起の意味が分かっていただけると思います。

  執筆陣は、共編者である鳥越俊太郎氏をはじめ、三井環仙波敏郎、鈴木宗男、佐藤栄佐久石川知裕植草一秀郷原信郎、川内博史、有田芳生、小川敏夫、八木啓代、青木理、高野 猛、二木啓孝山口一臣神保哲生浅野健一、マーティン・ファクラー各氏などこの問題に精通した蒼々たる方々に加わっていただいています。

  本書には小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)から貴重な序言を寄せていただいています。また、孫崎 享先生(元外務省国際情報局長)からも 「政治的謀略としての小沢問題をここまで多角的に検証した本は初めてだ」という力のこもった帯の言葉をいただきました。

  本書が、小沢問題(「小沢事件」)の解明にどこまで成功しているか、そしていままさに危機に瀕している民主主義の再生に寄与できるかどうかは、読者の皆さんにお任せするしかありません。しかし、前回のNPJ特別寄稿 「日本は真の独立国家なのか 『終わらない〈占領〉』 を問う」 でご紹介させていただいた孫崎享氏と私の共同編著 『終わらない〈占領〉: 対米自立と日米安保見直しを提言する!』(法律文化社 書評はこちら )と同じく、現在の政治状況に一席を投じるだけでなく、日本の戦後史にとっての貴重な歴史的文書・資料としての価値をもっていると確信しています。

  この8月に来日されたアメリカのオリバー・ストーン監督がピーター・カズニック先生(アメリカン大学)と共同で作られた 「もうひとつのアメリカ史」は、アメリカ現代史の暗部を明らかにした作品(映画と本)であり、アメリカしに限らず、世界の現代史に対する大きな貢献だと思います。またそれは、日本の戦後史の<影の部分>に挑戦した孫崎享氏の 『戦後史の正体』(創元社)と 『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)、あるいは鳩山由紀夫氏、孫崎 享氏、植草一秀氏の3者による共著 『「対米従属」という宿痾(しゅくあ)』(飛鳥新社)とともに、これまでタブー視されてきたテーマ・問題を解明しようとしている点で共通点があり、大きな歴史的意義があると思います。日米両国において期せずして同じ時期にこのようなこれまで語られなかった(教えられなかった)歴史の真実が明らかにされようとしていることは決して偶然ではないと思います。

  いまの日本内外の状況は、1930年代の戦争とファシズムの時代状況にかなり近づきつつあるといっても過言ではありません。こうした閉塞状況を克服・打破していくためにも、わたしたち一人ひとりが思考停止状態から脱してまずは知ることからはじめる必要があるのではないでしょうか。


☆鳥越俊太郎・木村 朗共編 『20人の識者がみた「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う』(日本文芸社)の目次・構成目次は以下の通り。

序言 小沢一郎
序章 鳥越俊太郎

第1章 被害者たちが証言する 「国策捜査」 の実態
  三井環 検察がつぶれる 「最大の弱み」 を告発
  仙波敏郎 「暴力組織」 に成り下がった検察、「既得権益」 にしがみつくメディア
  鈴木宗男 権力とメディアの暴走を許さない
  佐藤栄佐久 原子力帝国・全体主義国家に変貌する日本
  石川知裕 日本の民主主義のため最後まで闘う
  植草一秀 小沢裁判事件の評価と主権者がとるべき行動

第2章 民主主義の危機、「検察」の暴走を検証する
  郷原信郎 陸山会事件における検察とメディアの暴走
  川内博史 法務・検察官僚に組織としての正義派あるか?
  有田芳生 政治的冤罪事件「小沢ケース」の奇々怪々
  小川敏夫 検察の暴走と「指揮権発動」の真相
  八木啓代 検察の暴走・司法の崩壊に、市民に何ができるか
  青木 理 暴走検察の背後にある刑事司法の巨大な歪み

第3章 なぜ、大メディアは「検察」の暴走に加担したのか
  高野 孟 革命的改革を阻止した官僚と、それに手を貸したマスコミ
  二木啓孝 「アンチ小沢という空気」の正体
  山口一臣 「週刊朝日」と大手メディアの違いはどこから生じたのか
  神保哲生 民主統制なき刑事司法に、メディアが最後の砦になれないことの悲劇
  浅野健一 小沢事件をメディアはどう報じてきたか
  マーティン・ファクラー 官僚機構の一部と化したメディアの罪

終章
  木村 朗 検察の暴走とメディアの加担―小沢問題の意味を問う

小沢関連問題の参考文献



     序 言         小沢 一郎

  昨年(2012年)11月12日に東京高裁・控訴審で無罪判決が出され、その後に検察官役の三人の指定弁護士が上告を断念した結果、陸山会事件に関する私の無罪判決が確定しました。私にとっては、この三年七か月余りに及ぶ、検察の捜査と裁判の日々は本当に忍耐の毎日であり、大変厳しい試練の月日でした。国民の皆さんの支援や励ましがなければ、到底この重圧に耐えることはできなかったと思います。これまで私を信じ、励ましてくれた多くの国民の皆さんに、この場をお借りして心から感謝したいと思います。
  しかし、陸山会事件での私の元秘書3人(石川知裕氏、大久保隆規氏、池田光智氏)に対する不当な有罪判決が今年に入って出されました。また、検察審査会への捜査報告書を捏造した検事が不起訴処分となっています。私や秘書たちに対するいわれなき誹謗中傷や理不尽な人物攻撃などもいまもかたちをかえて続いています。その意味で、この陸山会事件はまだ終わったなどとは到底いえるような状態ではありません。

  本書には、いわゆる 「小沢問題(捜査・事件・裁判)」 ともいわれる私・小沢一郎と私の3人の秘書に向けられた 「政治とカネ」 をめぐる問題の背景・経緯と本質・核心がそれぞれの論者によって詳細かつ明確に分析・叙述されています。多くの論者は、小沢問題は単なる刑事(えん罪)事件ではなく、その背景には何らかの政治的意思を持ったある特定の個人・集団が検察と司法を暴走させ、それにメディアが加担した結果として作られたものであると結論付けておられます。
  こうした見方にはじめて接せられる多くの読者の方は、きっと驚かれるかもしれません。ただ、本書を一読していただけるならば、これまで取り沙汰された私に対する疑惑のほとんどが何ら根拠のないものか、まったくの誤解に基づくものであることに同意していただけるのはないかと思います。

  私自身も今回の一連の事件や裁判の本質や背景については思うところはございますが、ここではそれは申し上げません。何らかの特定の思惑を持って行動した人たちや、不公正な言動をした人たちに対しては、いずれ国民が判断を下すものと考えています。そういうことで、国民の裁き、天の裁きにお任せしたいと思います。この検察審査会を通じて強制起訴にいたった経過も、すでに国民の皆さんがよくよく自分の目で見て、耳で聞いて分かっていることと存じます。

  ここで申し上げたいことは、いまの日本は独立した主権国家でも、真の民主主義国家でもないということです。特に、捜査当局による公権力の濫用とメディアの加担という状況は、日本の民主主義と法治主義にとって最大の脅威となっていると言わねばなりません。私が本当に心配しているのは、日本の民主主義そのものの危機であります。まさにいつか来た道と同じ状況にさしかかっています。いままさに滅亡への道を歩んでしまっている現状をただこのまま黙って見過ごすことはできません。これはいま現在、すべての日本人が本当に真剣に考えなければならないことです。
  私は本当の議会制民主主義を定着させることにこれまで自分の政治生命をかけてきました。日本を真の意味での独立国家にすることも私の長年の夢です。他国の意向を忖度するだけの主体性なき外交・政治や思考停止状態のメディアと国民も変わらなくてはなりません。
  私にはまだまだやらなければいけないことがたくさん残っています。微力ではありますが、これから日本に民主主義と自主独立を実現するために全力投球で頑張ることを国民の皆さまにお約束します。

  最後に、本書を世に出すことに尽力されたすべての関係者の皆さま方に深く感謝いたします。本書がより多くの人々に読まれて、こうした日本が直面する深刻な現状と課題について共通の問題意識を一人でも多くの国民がもつようになることを心から願っています。



     まえがき       共同編者 鳥越 俊太郎、 木村 朗

  今年(2013年)3月7日夜、東京・池袋にある豊島公会堂において 「小沢一郎議員を支援する会(日本に真の民主主義を実現する会、代表世話人 伊東章弁護士)」が主催する 「小沢一郎議員の無罪判決確定報告と石川知裕、大久保隆規、池田光智元秘書の無罪を勝ちとる国民大集会」 が開催されました。この国民大集会は、昨年11月12日の東京高裁での小沢一郎氏への陸山会事件での無罪判決とその確定(検察官役の指定弁護士による上告断念)を受けて開かれる予定でしたが、急激に変動する政局の中での突然の解散・総選挙によって延期されていたものでした。

  満場の参加者から大きな拍手を受けながら登壇した小沢一郎氏は、「日本の民主主義を守るために私を本当に熱い思いで支援し、激励してくださった皆さんのおかげで、小沢一郎を抹殺しようとした法務・検察官僚の思惑を打破することができました。私がこの会に出席させていただいたのは今日が初めてです。本当に皆さんが日本の将来を心配し、今日も会場いっぱいの皆さんが来てくださいました。私自身は終わったが、秘書裁判がまだ続いております。これからも皆様のお力添えをいただきたい」と述べて深々と頭を下げました。

  この間に小沢一郎氏とその秘書たちの身に起こった出来事は、いったい何であったのでしょうか。またそれは、日本の政治と社会のあり方にどのような影響を与えたのでしょうか。

  本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、いや今もゆるがせ続けている 「小沢問題」 の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。

  小沢問題(あるいは小沢事件・捜査・裁判)ともいわれる、小沢一郎氏をめぐる 「政治とカネの問題」 は、西松建設事件(2009年3月3日の小沢一郎議員公設第一秘書の大久保隆規氏逮捕)にはじまり、陸山会事件(2010年1月15日の石川知裕議員、大久保隆規氏、池田智光氏ら3人の秘書逮捕)へと続き、小沢裁判(2010年9月14日の東京第五検察審査会での2度目の 「起訴相当」 議決による強制起訴)へと展開しました。

  結局、西松建設事件は裁判途中の不可解な 「訴因変更」 によって事実上立ち消えとなり、陸山会事件では、小沢一郎氏の無罪判決は2012年11月19日に確定したものの、検察審査会をめぐる捜査報告書の捏造をはじめとする様々な謎はいまだに解明されずに残されたままです。また、3人の秘書裁判では2013年3月13日に控訴審でも再び有罪判決が出されて、石川知裕氏(5月21日に議員辞職願を衆議院が許可)が単独で上告しており、まだ最終的な決着はついていません。

  カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(オランダ人研究者・ジャーナリストで、日本の政治・官僚制度の専門家)は、「小沢氏という政治家への “人物破壊” の一連の動きには、ある密約が存在している事実が見えてくる」とし、その 「密約を取り交わしたのは日本とアメリカであり、その恩恵を受けるのは両国の政治エリートたちである」、「省庁の高級官僚と、ビジネス界やメディア界の幹部からなる日本の政治エリートは、決して純粋な意味での日本の独立を求めようとはしない。それどころか、彼らは、アメリカ政府が日本の超法規的で非公式な権力システムの存続を支援してくれる見返りに、日本を引き続きアメリカに隷属させようとしているのである」と小沢問題の核心をずばり突いています(ウォルフレン著 『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 角川書店、を参照)。

  また、元参議院議員で小沢氏の盟友でもある平野貞夫氏は、その著書 『小沢一郎 完全無罪-「特高検察」 が犯した7つの大罪』(講談社)の中で、「小泉政権は、経済の構造改革をする一方で、日本の社会に格差と停滞をもたらしたと厳しい批判がある。それもさることながら、公訴権による国策捜査により、国家統治の基本を狂わせたと私は論じたい」、「“検察の裏金” を封印するため、取材当日に三井環元大阪高検をでっち上げ逮捕し、マスコミを操って極悪検事の虚像を作り上げ、三井氏を無実の罪に落としいれた。本来、正義をなすべき司法が、世間の批判を怖れ、時の権力者 “自民党” の番犬となった。三井環氏のいうところの “けもの道” に落ちた訳だ」 など、当事者しか知り得ない内情を率直に語っています。検察の裏金問題を実名で告発しようとした三井環氏を “口封じ” 逮捕したことが、その後の村上正邦氏、鈴木宗男氏(・佐藤優氏)、村岡兼造氏、緒方重威氏、佐藤栄作久氏、村木厚子(・石井 一)氏、小沢一郎氏(あるいは植草一秀氏や堀江貴文氏)などへの “国策捜査” につながる検察の暴走のきっかけとなったという重要な指摘です。小沢氏の政治資金団体の元資金管理責任者であっただけに、その言葉には非常に説得力があります。

  とりわけ注目されるのは、平野氏がその著書の文庫版 「まえがき」 で次のように述べていることです。

≪「小沢問題」 を通じて私に見えてきたものとは、いま日本に 「新しいファシズム」 が展開しはじめたということである。「ファシズム」 の教科書的定義は、「資本主義が危機的状況になると、権力が暴力装置を活用して議会制民主主義による政治の機能を失わせ、独裁的政治を展開する」ということだ。(中略)21世紀ではファシズムの定義も再考が必要である。繰り返しになるが、「小沢問題」 での大手マスコミの報道は、検察の根拠なきリークだけでなく、捏造された「事実」 が次から次へと報道され、その異常さは 「社会心理的な暴力」 といえるものだった。≫

  まさに 「小沢問題」 の本質は、権力(特に検察と司法)の暴走とメディアの加担による 「ある種の政治的謀略」、「静かな政治的クーデター」 であり、その背後に「新しいファシズム」 が胎動し始めているということではないでしょうか。

  今の日本における最大の問題は、権力犯罪の発生、すなわち公権力が恣意的に濫用されたときにそれを裁くシステムが存在していないこと、そして権力の暴走を監視・批判するはずのメディアがその役割を放棄していま起きている出来事の本質・真相を伝えないことです。そして、いまの日本は、本当に民主主義国家なのか、また真の独立国家といえるのかがまさに問われているのです。

  本書には、「冤罪」 「国策捜査」 の当事者自身からの証言だけでなく、司法とメディアに精通した選りすぐりの論者による数多くのすぐれた深い分析・洞察が収められています。まさに本書自体がそのまま貴重な歴史的文書・資料となっていると言っても過言ではありません。本書を一読すれば、多くの読者は、テレビや新聞を通じて報じられてきたものとはまったく別の見方があることを知って、それまでの自分の考えを見直すきっかけになるかもしれません。もちろん、本書の最終的評価は読者の手の中に委ねられていることは言うまでもありませんが…。

  いずれにしても、一人でも多くの市民がメディアの発する情報を主体的かつ批判的に読み解く能力(「メディア・リテラシー」)を身につけることで現在の思考停止状態から脱して、いまの日本が陥っている(議会制)民主主義の危機と検察ファシズムの到来から目を背けずに直視するようになることを切に願っています。

  最後に、本書を発行するにあたって、いまだに事件の渦中にありながら貴重な歴史的証言となる序言をお寄せいただいた小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)にも心から御礼を申し上げます。

2013年6月30日 参議院選挙を目前に控えて


『検察の暴走とメディアの加担―小沢問題とは何か―』
木村 朗(鹿児島大学教員、平和学専攻)

1. 小沢一郎問題とは何か-小沢問題をめぐって二つに割れ続ける世論
  ①西松建設事件、②陸山会事件(水谷建設)、③小沢裁判(検察審査会による強制起訴)
A 金権政治家の不正献金疑惑追及→「政治とカネをめぐる問題」 (「違法な犯罪行為」)
  ※ 「検察の正義」(東京地検特捜部=「史上最強の捜査機関」)を前提とした 「小沢VS検察」 という問題
B “えん罪(でっち上げ)” “報道被害”→「国策捜査」 による不当な逮捕・捜査・裁判
  ※ 「検察ファッショ」 と 「メディア・ファシズム」 が結合した 「静かな政治クーデター」:
  「民主党VS全官僚機構」 あるいは 「鳩山連立政権VS官僚機構・自民党・マスコミ(・米国)」 という権力闘争・政治闘争
  ※ 「国策捜査」 か? (森法務大臣の指揮権発動、漆間巌官房副長官のオフレコ発言、石川知裕議員を取り調べた検事の脅し的文句、検察審査会への捜査報告書の捏造)
  検察の暴走とメディアの加担=権力とメディアが一体化した情報操作・世論誘導
  → 検察権力と司法記者メディアの癒着構造(民主主義の危機=ファシズムの到来)

<関連事件・裁判>
A 三井環事件(検察の裏金問題の告発)→「獣(けもの)道」(官邸の犬となった検察)
  ※ 検察が犯した三つの犯罪
B 佐藤栄佐久前福島県知事の 「汚職」 事件→国策(原発)反対の首長を特捜が政治弾圧
  ※ 佐久間達哉現東京地検特捜部長、大鶴基成東京地検次席検事、前田主任検事らが関与!
C 郵政不正事件(村木厚子氏、石井一民主党副代表、前田主任検事によるFD改ざん事件)
  ※ 鳩山由紀夫氏の政治献金(「故人献金」 の謎)事件の影響
  ※ 鈴木宗男(・佐藤優)事件との関連(ロッキード事件やリクルート事件、日歯連事件、朝鮮総連ビル詐欺事件、ライブドア事件、防衛省汚職事件なども)

2. 政権交代とは何であったのか-日本で最初の本格的な政権交代(一種の 「市民革命」)
<挫折した脱官僚政治と対米自立>
A 脱官僚政治(官僚主導から政治主導へ)…事務次官会議の廃止、特別会計の見直し、「歳入庁」 構想、天下りの廃止、機密費の廃止、日米密約の調査・公表
B 対米自立…「より対等な日米関係」の構築、海上自衛隊の撤退、年次改革要望書の廃止、日米地位協定・思いやり予算見直しの失敗、普天間問題での「国外移転、せめて県外移転」の模索と挫折

<幻となった検察改革とメディア改革>
  ※ 検察権力と記者クラブ・メディアの共犯関係(検察とマスコミのリーク情報を通じたもたれ合いの関係):「検察官僚と司法記者クラブが横暴を奮う恐怖国家」(上杉隆)、「検察庁という組織の、骨の髄まで腐った不誠実さと恐ろしさ」(鳥越俊太郎)、「検察リークを受けて報道がつくられているというより、むしろメディア自らが進んで検察の提灯持ちに走っている」(青木理)、「特捜検察の捜査能力の劣化とモラルハザード」(魚住昭)、「検察権力の恣意的乱用とそれに追随するマスコミの権力監視機能の放棄、そして、「検察の正義」を微塵も疑わずにマスコミ報道を鵜呑みにして翻弄される我々一般国民の思考停止こそが目下の最大問題、すなわち日本の民主主義の危機をもたらす根源的問題である」(木村朗)
  ※ 「彼らは政治家の汚職を摘発し正義を貫く事が正しいと思い込んでいるが、実際は民主党政権による司法制度改革で検察の権益が縮小することを恐れているはずだ」(堀江貴文)
A 検察(司法)改革…検察・警察・裁判所を含む司法制度改革! 「検察の犯罪を糺す機関は存在しない」という点が最大の問題:起訴独占主義と起訴便宜(裁量)主義の弊害
  ① 取り調べの可視化法案、② 民間陣からの検事総長の登用(検事総長人事を国会承認案件に)、③ 裏金の解消、④ 裁判員制度の見直し、 ⑤ 死刑制度の見直し、⑥ 証拠の全面開示のための法改正の断行
B メディア改革…真の意味でのメディアの再生を! (神保哲生氏の指摘)
  ① 「記者会見のオープン化」(政府の記者会見をすべてのメディアに開放し、既存のマスメディアの記者クラブ権益を剥奪する。)
  ② 「クロスオーナーシップの規制・禁止」(クロスメディア:新聞社とテレビ局の系列化のあり方を見直す。)
  ③ 日本版FCC(米連邦通信委員会のように行政から独立した通信・放送委員会)を設立し、放送免許の付与権限を総務省から切り離す。
  ④ NHKの放送波の削減を検討する
  ⑤ 新聞再販制度・押し紙制度の見直し・廃止
  ⑥ 電波オ-クション制度の導入・・・等々

3. 日本は民主主義国家・独立国家なのか-「米国の影と圧力」 について
  ※ 「この政治家は二つの注目すべき持論を隠し持っている。一つは米国との距離を測り直すこと、他のひとつは象徴天皇制を隠れみのにした官僚支配への問題意識だ」(斎藤学)
  ※ 孫崎享さんの日本の 「特捜検察」 と米国との特殊な関係という重要な問題提起:
    「(小沢捜査の-木村)スタートは、外為法か何かで外国から出発していますよね」 「検察の動きを見ていると、アメリカの意思が分かる」
  ※ 「日本国内の、国民に選ばれた正当な政治権力に対しても特捜部は歯向かう。その背後には、そもそも出発点からアメリカの存在があった。ということは、東京地検が日本が対米隷属から離れて、独立独歩の道を歩もうとする政治家をねらい打ちにしてきたのは、ある意味で当たり前なんですね」(岩上安身)

A 官僚独裁国家:カレル・ヴァン・ウオルフレン氏の指摘
  「いま日本はきわめて重要な時期にある。真の民主主義をこの国で実現できるかどうかは、これからの数年にかかっている。 …国際社会で、真に独立した国家たらんとする民主党の理念を打ち砕こうとするのは、国内勢力ばかりではない。アメリカ政府もまたしかりである。 …民主党政権発足後の日本で起こりつつある変化には、実は大半の日本人が考えている以上に大きな意味がある、と筆者は感じている。 …あらゆる国々は表向きの、理論的なシステムとは別個に、現実の中で機能する実質的な権力システムというべきものを有している。 …日本のシステム内部には、普通は許容されても、過剰となるや、たちまち作用する免疫システムが備わっており、この免疫システムの一角を担うのが、メディアと二人三脚で動く日本の検察である。…検察とメディアにとって、改革を志す政治家たちは格好の標的である。 彼らは険しく目を光らせながら、問題になりそうなごく些細な犯罪行為を探し、場合によっては架空の事件を作り出す。 …日本の検察が、法に違反したとして小沢を執拗に追及する一方、アメリカは2006年に自民党に承諾させたことを実行せよと迫り続けている。 …いま我々が日本で目撃しつつあり、今後も続くであろうこととは、まさに権力闘争である。これは真の改革を望む政治家たちと、旧態依然とした体制こそ神聖なものであると信じるキャリア官僚たちとの戦いである。 …日本の新政権が牽制しようとしている非公式の政治システムには、さまざまな脅しの機能が埋め込まれている。何か事が起きれば、ほぼ自動的に作動するその機能とは超法規的権力の行使である。このような歴史的な経緯があったからこそ、有権者によって選ばれた政治家たちは簡単に脅しに屈してきた。」
  ※ メディアの劣化と言論統制の拡大
B 米国の 「属国」 から 「属領」 へ…終わらない 「占領」(間接統治)から 「再占領」(直接統治)へ、「トモダチ作戦」と日本の 「アメリカ化」(日本本土の 「沖縄化」)

4. 検察審査査会の闇と最高裁事務局のスキャンダル
  ※ 検察審査会は、裁判員制度の先駆的形態:市民から無作為に選ばれた11人の審査員が、検察の起訴・不起訴の処理に対して不服の申し立てがあった場合にこれを審査して、(1) 不起訴相当 (2) 不起訴不当 (3)起訴相当のいずれかの判断を下す。司法制度改革の一環として、裁判員制度導入にともなう法改正で2009年5月からは、審査会が同じ件で2度「起訴相当」 と決議すると、検察ではなく裁判所が指定した指定弁護士により強制的に容疑者が起訴されることになった。小沢裁判ではこの制度改正が完全に悪用された!
  ※ 「新政権は検察審査会法を再改正すべきかどうかを検討課題とすべきだろう」(高野猛)
  ※ 当初から批判が多い情報開示の少なさや〝密室性〟黒く塗りつぶされた公開文書。容疑者がまったく意見を言えないことも大きな問題。
  ① 小沢一郎民主党元代表を 「起訴相当」 と議決した審査員十一人の平均年齢が不自然な形で一転二転したこと(小沢元代表審査員 生年月も黒塗り)は不可解
  ② 検察審査会の不正、検察の虚偽報告書に対する裁判所の判断に納得出来ない。
  ※ 強制起訴制度で初の判決公判も 「検証へ情報開示を」、指定弁護士による控訴は不当!?
  ③ 森ゆう子議員が明らかにしたくじ引きソフトの不正
  ④ 小川敏夫法務大臣による指揮権発動の封じ込め
  ※ 「健全な法治国家のために声を上げる市民の会」 が、最高検察庁に新たな告発状を提出した。被告発人である佐久間達哉(法務総合研究所国連研修協力部部長)、木村匡良(東京地方検察庁公判部副部長検事)、大鶴基成(元最高検察庁公判部部長検事)、斉藤隆博(東京地方検察庁特捜部副部長検事)、吉田正喜(元東京地方検察庁特捜部副部長検事)、検察審査会の第五検察審査会の事務局長、担当課長らを証人申請が採用されるかが焦点。
  ※ 最高裁事務局のスキャンダル:最高裁判所発注のコンピューターシステム関連の一般競争入札で 「一社応札」が続出し、 100%を含む高い落札率が大半を占めていた疑惑!
    改めるチャンスが何度もありながら、一向に変わらなかった最高裁の手法。

5. 現在の閉塞状況を打開するためには何が必要か
  【検察とマスコミが一体化した情報操作による小沢氏の狙い撃ちと民主党叩きの世論誘導が米国の圧力をうける形で行われた可能性、すなわち検察権力のリーク情報を無批判的にマスコミが裏づけを取らないまま小沢氏を犯罪人扱いするような過剰な印象操作・偏向報道を一方的に垂れ流し、その結果、検察の正義を疑わない一般国民がそれを鵜呑みにして小沢批判を強めて民主党離れを加速させるというある意味で分かりやすい構図】
  ※ 旧勢力(小泉流に言えば 「守旧派」 「抵抗勢力」)による既存秩序の維持と既得権益の保持を目的とした改革潰しの動き!
  ※ マスコミが検察の監視役ではなく、「検察の正義」(あるいは 「正義の検察」)という前提を無批判に受け入れて、検察の「最大の味方」 となってその露払いや煽り役を果たしてしまうことが最大の問題である!
  ※ 「小沢不起訴になってから検察の危機が言われていますが、それ以上に、今回はマスコミの危機を露呈させたと言えますね」(魚住昭)
A 検察による恣意的な強制捜査と違法な取調べによる直接的な人権侵害
B 検察のリーク情報に依存したマスコミの過剰な偏向報道と、その影響をまともに受けた世間の人々のバッシングという深刻な報道被害
  ① 市民の覚醒と官邸デモ-政府不信とメディア不信の高まり
  ② ソーシャル・メディアとメディア・リテラシー
  【海外メディアの 「報道の5原則」】 原則1 「推定無罪の原則」(最初から有罪であるよう印象づける報道はしないこと)、原則2 「公正な報道」(検察の発表だけをたれ流すのでなく巻き込まれた人や弁護人の考えを平等に報道すること)、原則3「人権を配慮した報道」(他の先進国並みに捜査権の乱用を防ぐため、検察・警察の逮捕権、家宅捜索権の行使には、正当な理由があるかを取材、報道すること)、原則4 「真実の報道」(自主取材は自主取材として、検察・警察の情報は、あくまでも検察・警察の情報である旨を明記すること)、原則5「客観報道」(問題の歴史的経緯・背景、問題の全体構図、相関関係、別の視点などをきちんと報道すること)

【小沢問題関連重要文献】
・小沢一郎を支援する会 (編集) 『私たちはなぜ小沢一郎を支援するのか』 (諏訪書房) [新書] ノラ・コミュニケーションズ (2011/5/15)
・森 ゆうこ 『検察の罠』 日本文芸社 (2012/5/26)
・平野 貞夫 『小沢一郎 完全無罪 -「特高検察」が犯した7つの大罪』 (講談社プラスアルファ文庫 ( 2011/7/21)
・郷原 信郎 『検察崩壊 失われた正義』 毎日新聞社 (2012/9/1)
・カレル・ヴァン・ウォルフレン 『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 角川文庫(2012/3/24)
・マーティン・ファクラー 『「本当のこと」を伝えない日本の新聞 』 双葉新書 (2012/7/4)
・山崎行太郎 『それでも私は小沢一郎を断固支持する』 総和社 (2012/6/23)
・三井 環 『ある検事の告発』 (双葉新書) (2010/12/22)
・村木厚子編 『あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ』 日経BP社 (2011/11/28)
・石川知裕 『悪党―小沢一郎に仕えて』 朝日新聞出版 (2011/7/7)
・鈴木 宗男 『汚名-検察に人生を奪われた男の告白 』
・佐藤 栄佐久 『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』 平凡社 (2009/9/10)
・大坪 弘道 『勾留百二十日  特捜部長はなぜ逮捕されたか』 文藝春秋 (2011/12/16)
青木理 『国策捜査―暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』 金曜日 (2008/05)
・副島隆彦、植草一秀、 高橋博彦 『国家は 「有罪(えんざい)」をこうして創る』 祥伝社 (2012/6/30)
・粟野仁雄 『検察に、殺される』 (ベスト新書) ベストセラーズ (2010/11/16)
・岐 武彦、山崎行太郎氏 『最高裁の罠』 (志ケイアンドケイプレス 、2012/12)
・佐藤 優/魚住 昭 『誰が日本を支配するのか!?検察と正義の巻』 マガジンハウス (2010/8/12)
・石川 知裕/佐藤 優 『小沢一郎はなぜ裁かれたか―日本を蝕む司法と政治の暴走』 徳間書店 (2012/3/26)
・今西憲之/週刊朝日取材班 『私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日』 (著) 朝日新聞出版 (2010/9/7)
・孫崎 享 (著) 『戦後史の正体』 創元社; 初版 (2012/7/24)
・孫崎 享 (著) 『アメリカに潰された政治家たち』小学館 (2012/9/24)
・孫崎 享 (著) 『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』 (ちくま新書)
・孫崎 享 (著) 『日米同盟の正体~迷走する安全保障』 (講談社現代新書)
・郷原 信郎(著) 『検察の正義 』 (ちくま新書) ( 2009/9)
・郷原 信郎(著) 『特捜神話の終焉』 飛鳥新社(2010/7/22)
・『郷原 信郎(著)検察が危ない』 (ベスト新書) ( 2010/4/9)
・三井 環 (著) 『検察の大罪 裏金隠しが生んだ政権との黒い癒着』講談社 (2010/7/29)
・三井 環 (著) 『「権力」 に操られる検察 』(双葉新書) 双葉社 (2010/7/21)
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