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●西山太吉さんを見殺し…《結果として、その後の日米関係はどのような「隷属の道」を辿ることになったのか…今もわれわれ一人ひとりの喉元に…》

2023年07月07日 00時00分08秒 | Weblog

[※ 沖縄復帰50年 利用され続けた海と大地/西山太吉 「密約」を語る (週刊金曜日、2022年5月13日1376号)↑]


(20230621[])
偽りの日米関係偽りの沖縄返還の尻尾を捕まえて、これをすっぱ抜いた伝説の記者西山太吉さん。(神保哲生さん)《これだけの大ニュースだ。本来であれば、この記事を発端に偽りの日米関係の実態が次々と明らかになりアメリカに隷属することで日本国内で安定的な権力が確保できるという現在の日本の国辱的な属国体質は、もっと早くに改善されるはずだった》のだが…。様々な意味で、西山太吉さんは《見殺し》にされた。《ジャーナリズム界最高の栄誉とされるピュリッツァー賞を受賞》してもおかしくないレベルの大スクープだったのに…。「ペンタゴン・ペーパー」報道と比較して、《ところが、同じく政府の壮大な嘘がばれた日本はどうなっただろうか。》 《強面のニクソン政権と言えども、アメリカ中の新聞をすべて差し止めることなどできるはずもなかった》…一方、ニッポンでは、ニッポン中の新聞をすべて差し止め》たかのように、《すっぱ抜きを後追いする社は一つも無かった》。日・米での結果の彼我の差はなぜ?

 再びの引用。日刊ゲンダイのコラム【佐高信「追悼譜」/西山太吉メディアや岸田文雄に絶望して憤死したのだ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/319554)によると、《国家の嘘を暴いた元『毎日新聞』記者の西山太吉の死を各新聞を含むメディアがそれなりに大きく取り上げている。しかし、報じたメディアは西山の怒りがそのメディアにも向けられていることを知っているのだろうか》。
 佐高さんの「追悼譜」タイトルが示す通り、《西山太吉メディアや岸田文雄に絶望して憤死したのだ》。無念だった、と思う。

   『●《憤死》した西山太吉さん:《報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、
      今の日本にあるだろうか》? 《報道の自由を守るには報道しかない》

 神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【偽りの沖縄返還を暴いた伝説の記者・西山太吉の遺言/マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1101回)】(https://www.videonews.com/marugeki-talk/1101)によると、《なぜあの時日本は西山氏を見殺しにしたのか。西山氏の取材手法を非難したとしても、なぜ同時にそこで暴かれた密約をきちんと追求できなかったのかその結果として、その後の日米関係はどのような「隷属の道」を辿ることになったのか。これは決して過去の話ではなく、今もわれわれ一人ひとりの喉元に突きつけられた匕首なのではないか。》

   『●三十数年前の映画 ~『密約 ―外務省機密漏洩事件―』
   『●『密約 ~外務省機密漏洩事件~』読了
   『●西山太吉さん密約事件が示すもの:
      「一人歩きし、拡大解釈され、時の権力によって必ず乱用される」
     「「首相のウソを暴いた西山太吉さん。それが今後できなくなる」
      (佐高信さん、10月13日『サンデーモーニング』)。
      また、「西山事件が
      示している通り、必ず一人歩きする。拡大解釈される。
      その時の権力に
      よって必ず乱用される」(岸井成格さん、同番組)」
     「「公務員法でも政と官がその気になれば、
      ジャーナリストなんぞ簡単に逮捕できるということ」だったが、
      それ以上の強力な「猛毒」を安倍首相や自公議員は欲しいらしい。
      自公議員への投票者や支持者は、そんな「猛毒」をどう思っている
      のでしょう?」

   『●東京電力原発人災「被ばくに関する正確な情報が
       伝えられなかった・・・身近で必要な情報が一層隠される」
     「田島泰彦氏の発言で気になるのは、「日本は今でさえ、
       本来なら国民が知るべき情報が出てこない。原発事故で…
      「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム
      (SPEEDI)」や
      被ばくに関する正確な情報が伝えられなかったのがその表れだ…
      身近で必要な情報が一層隠される」という部分。
       ホント~にロクでもない事ばかりする政権!」

   『●西山太吉さん: 「特定秘密保護法制の実施機関に
              メディアが入っている」非民主国
   『●密約破棄
     「自民党の政治家の顔色を見てもみ消したわけですね。西山太吉
      元毎日新聞記者の記者生命を奪っておいて、さんざん嘘を吐き、
      最後はもみ消してあげるわけ」

   『●『沖縄密約』文書破棄という歴史の冒涜
         ~「捨てちゃったんだからもういいジャン」の国~

   『●沖縄密約文書:
      「捨てちゃったんだからもういいジャン」の国を許す最高裁

    《それ以外にも「秘密枠」が存在し、莫大(ばくだい)な金を日本が
     積んでいた。核兵器の持ち込みなど「核密約」も含まれていた。
     このような重要情報が米国からもたらされても、日本側は「ない
     と言い張ってきた状況は異様である》

   『●情報公開法と公文書管理法: 「「何が秘密かすら秘密」
          という特定秘密保護法が施行」、そして共謀罪へ
   『●特定秘密保護法案「改悪」協議:
       沖縄密約事件時どころか、戦前の「治安維持法の再来」
   『●〝沖縄密約〟東京高裁判決、原告側の逆転敗訴
     「「無いんだから仕方ないジャン」、
      「捨てちゃっただからもういいジャン」
      という言い訳を認めて良いのかな。本当に廃棄してしまった
      のならば、それはそれで大問題でしょう。これだけ議論を
      呼んだこんな重要な文章が、
      そういう風にいい加減に取り扱われていて大丈夫なのか? 
      廃棄を指示したのは一体誰で、実行したのは一体誰?」

   『●西山太吉さんが喝破、
      「うそをつく人たちが作ろうとしている危険な法案」
   『●『ペンタゴン・ペーパーズ』: 「報道の自由を守るには
         報道しかない」、でも、沖縄密約と西山太吉記者…
    「リテラの記事【森友文書改ざん問題を彷彿と話題の映画
     『ペンタゴン・ペーパーズ』! 三浦瑠麗はまたトンチンカンコメント】」

   『●政権広報「アベ様のNHK」への切っ掛け…アベ様や
       中川昭一氏に「勘ぐれ、お前」と忖度を強要されて…
    《綿井健陽さん…「報道やジャーナリズムに携わる者が、
     「言論・報道の自由」という言葉を抵抗手段として公に訴える場合は、
     それは対国家、対公権力に向けて使うべきだと私は考えている。
     たとえばNHKの「ETV番組改編問題」のときの
     安倍晋三や故・中川昭一ら国会議員(当時)の対応、古くは毎日新聞
     西山太吉記者(当時)の沖縄返還密約記事での逮捕・有罪、
     最近では映画『靖国』上映中止問題のときに国会議員らが試写要求と
     文化庁に口出しや取材対象者に接触する行為など、これらは
     「言論・報道の自由」の問題として、それこそ良い意味での
     〝メディア・スクラム〟でもって対応すべき出来事だった》

   『●《権力にとって、これほど便利で御しやすい低能メディアも、
      国民も珍しい…一刻も早く立て直さなければ、本当に危険》
   『●西山太吉さん亡くなる: 事件の本質のすり替えであり、「西山事件」に
     非ず…《今も政府は密約を認めない…「返還密約事件」は終わっていない》

   『●《憤死》した西山太吉さん:《報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、
      今の日本にあるだろうか》? 《報道の自由を守るには報道しかない》

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https://www.videonews.com/marugeki-talk/1101


西山太吉×宮台真司×神保哲生:偽りの沖縄返還を暴いた伝説の記者・西山太吉の遺言【ダイジェスト】】
https://youtu.be/FYS1qSLLwoY

完全版part1 ( 42分 15秒 )  https://youtu.be/6a-YWupmt10
完全版part2 ( 44分 14秒 )  https://youtu.be/fHyV8HzaSgw


2022年05月14日公開
偽りの沖縄返還を暴いた伝説の記者・西山太吉の遺言
マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1101回)


ゲスト
西山太吉 (にしやま たきち)
元毎日新聞記者
その他の放送 (3件)

1931年山口県生まれ。52年慶應義塾大学法学部卒業。54年慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻修了。同年毎日新聞社入社。横浜支局、経済部を経て、政治部記者として首相官邸、自民党、外務省などを担当。72年沖縄密約取材をめぐり、国家公務員法違反容疑で逮捕・起訴。一審無罪、二審で逆転有罪、78年、最高裁で有罪確定(懲役4ヵ月、執行猶予1年)。74年毎日新聞社を退社し西山青果勤務。91年退職。著書に『沖縄密約 「情報犯罪」と日米同盟』、『記者と国家  西山太吉の遺言』など。


概要
 西山太吉さんの2023年2月のご逝去を受けて、過去の番組を追悼番組として無料で放送いたします。


 この5月15日で沖縄は本土返還50周年を迎える。終戦と同時に始まった米軍の4半世紀にわたる占領が解かれ、沖縄の施政権が日本に返還された記念日は、本来であれば日本にとっても沖縄にとっても祝うべきおめでたい日なのかもしれない。

 しかし、実は50年前、沖縄は完全に日本に返されたわけではなかった。それは沖縄の施政権を返還するにあたり、当時の日米政府間では米軍が沖縄の基地を自由に使用し続けることを認めるという密約が存在していたからだ。にもかかわらず当時の佐藤政権は「核抜き、本土なみ」などというスローガンであたかも沖縄が無条件で日本に返還され、これから沖縄は日本の他の都道府県と同様の地位を得るかのような幻想をしきりと喧伝した。もちろん核兵器もないし、基地負担も他県と同等程度になるはずだった

 ところが、これがとんでもない嘘だった。そして、沖縄はその後も基地負担に喘ぎ続けることになるが、それが沖縄返還時の両国が密かに合意した条件だったのだ。

 その偽りの日米関係偽りの沖縄返還の尻尾を捕まえて、これをすっぱ抜いた伝説の記者がいる。元毎日新聞記者の西山太吉氏だ。今年、齢91歳となる西山氏は、日米間で沖縄返還を巡る交渉が大詰めを迎えていた1971年6月、日米間の機密電文を入手し、両国の間には国民に説明されていない密約が存在することを暴く記事を書いたのだ。

 これだけの大ニュースだ。本来であれば、この記事を発端に偽りの日米関係の実態が次々と明らかになりアメリカに隷属することで日本国内で安定的な権力が確保できるという現在の日本の国辱的な属国体質は、もっと早くに改善されるはずだった

 実はアメリカでもほぼ同時期に有名な機密暴露報道があった。西山氏が密約をすっぱ抜いた2日後の1971年6月13日、機密指定されていた国防総省の内部文書「ペンタゴンペーパー」が、内部告発者ダニエル・エルズバーグ博士によって持ち出され、これを入手したニューヨークタイムズがスクープしたことをきっかけに、それまでのアメリカ政府によるベトナム戦争に関する嘘が次々と明らかになっていた

 アメリカではペンタゴンペーパー報道の結果、アメリカ国民がベトナム戦争の実態を知ることとなりニクソン政権がベトナム戦争に対する国民の支持を失った結果、4年後のアメリカによるベトナムからの撤退につながっている。そして、これを報じたニューヨークタイムズのニール・シーハン記者はジャーナリズム界最高の栄誉とされるピュリッツァー賞を受賞する一方で、支持率が低迷したニクソン政権はその後、ウォーターゲート事件を引き起こし、アメリカ史上初の現職大統領の辞任へとつながっていった。ところが、同じく政府の壮大な嘘がばれた日本はどうなっただろうか

 まず、当時、西山記者のすっぱ抜きを後追いする社は一つも無かった。記者会見で密約の存在を質したりする記者もまったくいなかったと西山氏は言う。結果的に、国家機密を暴いた毎日新聞、とりわけ当時、同社の外務省記者クラブのキャップだった西山氏だけが矢面に立つこととなった。ペンタゴンペーパーをスクープしたニューヨークタイムズも、ニクソン政権が取った法的措置によって発行が差し止められていたが、ペンタゴンペーパーはワシントン・ポストを始めとする全米の新聞が後追いで内容を報じ続けたために、政府は嘘を隠し通すことができなくなっていた。強面のニクソン政権と言えども、アメリカ中の新聞をすべて差し止めることなどできるはずもなかった

 しかも、西山氏と西山氏に機密文書を渡した外務省の女性事務官を公務員法違反起訴した検察が、起訴状の中で「密かに情を通じ」という表現で西山氏と事務官の間の男女関係にことさらに焦点を当てたことで、日本では西山氏の情報の入手手段に対する一斉攻撃が始まった。「沖縄密約佐藤内閣が日本国民に対してアメリカとの合意内容について嘘の説明をしている問題」がいつのまにか「外務省機密情報漏洩事件となり気がつけば密約とはまったく関係のない毎日新聞記者と外務省女性事務官の不倫スキャンダルすり替えられてしまったのだ。もはや日本には、密約や政府の嘘を問題視する空気感は残っていなかった

 それから4半世紀が過ぎ、アメリカで機密指定されていた沖縄返還交渉に関わる膨大な量の公文書の機密が解除されたことで、1990年代後半になって日米密約の存在が明らかになった西山氏の報道内容が正しかったことも、初めてそこで裏付けられたが、時既に遅し。西山氏は裁判の一審で無罪判決を受けた1974年に毎日新聞を退社し、地元小倉に戻り家業の青果店を継ぐ選択を下していた。アメリカ側の公開文書によって密約の存在が明らかになった後、西山氏の名誉を回復するための国賠訴訟や密約の存在を確認するための情報公開請求訴訟などが提起されたが、裁判所はいずれもこれを退けている。アメリカ側の公式文書でその存在が確認された今となっても、日本政府は未だに密約の存在を正式には認めていないのだ。

 アメリカではペンタゴンペーパーの存在を暴いたニューヨークタイムズのシーハン記者がピュリッツァー賞を受賞し、ニューヨークタイムズもその報道によって高級紙としての地位を確固たるものとした。その一方で、日本でほぼ同時期に政府の嘘を暴いた西山氏は、逮捕された上に筆を折りジャーナリスト活動を廃業せざるを得なくなった。この事件で社会から指弾された毎日新聞はそこから一気に部数を落とした挙げ句、事件から6年後の1977年には事実上の倒産をしている。また、アメリカではニクソン大統領がその後、辞任に追い込まれたが、一方の佐藤栄作首相は沖縄返還を実現したことが評価され、ノーベル平和賞まで受賞している。両国のこのギャップは一体何なのだろうか

 西山氏の情報入手方法の是非については、メディア論としては色々な議論があって然るべきだろう。また、西山氏が国会で政府を追及させるために、入手した機密情報の一部を当時の社会党の国会議員に渡したことも、仮に目的が公益的なものであったとしても、メディア倫理上、その是非は当然議論されて然るべきものだ。また、守秘義務を負っている公務員に機密を持ち出させてそれを報じた以上、公務員法違反(そそのかし罪)に問われることも覚悟はしなければならないだろう。しかし、それもこれも、その一方で、西山氏が暴いた政府の嘘がきちんと追求され、責任者がしかるべき責任を取らされるという大前提があればこその話だ

 西山氏の記事は密約のほんの一端を捉まえただけだった。西山氏はこれを「巨大な密約の尻尾を捕まえただけ」と表現する。しかし、例え尻尾でも、沖縄返還協定でアメリカ側が負担することになっていた原状回復費の400万ドル(当時のレートで約14億円あまり)を実は日本政府が負担し、国民には嘘の説明をして頬被りをしようとしていたことを白日の下に晒すものだったことに変わりはない。そして、実際には日本政府はアメリカとの間で沖縄の基地の自由使用の容認という、主権国家としては到底あり得ない密約まで結んでいたことが、後にこれもまたアメリカ側で公開された文書によって明らかになる

 なぜあの時日本は西山氏を見殺しにしたのか。西山氏の取材手法を非難したとしても、なぜ同時にそこで暴かれた密約をきちんと追求できなかったのかその結果として、その後の日米関係はどのような「隷属の道」を辿ることになったのか。これは決して過去の話ではなく、今もわれわれ一人ひとりの喉元に突きつけられた匕首なのではないか

 沖縄が返還50周年を迎える今週、マル激はジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が福岡県の小倉に西山太吉氏を訪ね、西山氏とともに当時の日米関係と、その後、日本が歩んだ道をどう考えるかなどについて議論した。
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コメント
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●「「もりかけ」疑惑が晴れてもいないのに安倍晋三は3選の勢い…公文書改ざんやメモの発見は何だった」?

2018年09月28日 00時00分18秒 | Weblog

[※ 《#ケチって火炎瓶》「選挙妨害を暴力団に発注した方は、素直に挙手願います!東京新聞2018年8月27日)↑]



日刊ゲンダイの森田健司氏のコラム【孤独のキネマ/「大統領の陰謀」 米国民はニクソンを追い詰めたが…】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/237370)。

 《B・ウッドワードがトランプ政権の暴露本を書いて騒ぎになっている。国防長官のマティスがトランプを「小学5年生程度の理解力」とケナしたそうだ。ウッドワードは「ワシントン・ポスト」でC・バーンスタインとともにウォーターゲート事件を暴いた記者。今年は事件のディープスロートだったFBI副長官を描く「ザ・シークレットマン」や事件につながる「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」が日本公開された。3本まとめて見ると面白い…この事件でニクソンは辞任に追い込まれたが、現代の日本では「もりかけ」疑惑が晴れてもいないのに安倍晋三は3選の勢いだあの公文書改ざんやメモの発見は何だったのか!

   『●『創(2011年1月号)』読了
    「森達也さん「極私的メディア論/第57回 尖閣映像流出とポピュリズム」…
     ベトナム戦争についての極秘報告書「ペンタゴン・ペーパーズ」を提供した
     「エルスバーグに対する政府の訴追も裁判所から棄却された。/ところが
     日本では同年、毎日新聞の西山太吉記者が政府の密約と国民への
     背信行為を暴く記事を紙面に掲載したが、国民はこの取材にまつわる
     不倫問題により強く関心を示し、結果として外務省密約はないものとされた
     /…民意とジャーナリズムのあり方はこれほどに違うのかと、
     暗澹たる気持ちになる」。「…ところが日本における民意形成は、
     政府の説明責任や不正を追及する方向ではなく、一時の感情に
     煽られながら暴走する傾向が明らかに強い」」

   『●森達也さん『国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要』
    「「「うそをつく人たち」にとって都合の「いい内容」」の特定秘密保護法案
     森達也さんは「国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要」、
     と仰っています…」
    《森達也リアル共同幻想論…映画『フェアゲーム』が暴くもの
     …1976年に作られた『大統領の陰謀』は、ワシントン・ポスト社会部の
     記者であるボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインが主人公だ。
       実際に2人がスクープした「ウオーターゲート事件」(ニクソン政権に
     よる非合法な盗聴工作)をテーマに描いたこの映画も、登場人物は
     すべて実名だ。ウッドワードとバーンスタインは、この前年に
     ベトナム戦争の極秘報告書である「ペンタゴン・ペーパーズ」の全文コピーを
     ニューヨーク・タイムズに渡したダニエル・エルズバーグや、これを
     受け取って記事にしたニール・シーハンと共に、今もアメリカでは国家的な
     英雄だ(ただしここに名前を挙げた全員が事件当時には、政府から
     「国旗に泥を塗った」とか「国家の敵」などと糾弾されている)。…
       沖縄密約事件の西山記者は英雄になるどころか日本中から批判された
     翻って日本はどうか。政府による情報の隠ぺいと国民への背信行為として
     真先に思いつくのは、1971年(ペンタゴン・ペーパーズがスクープされた年だ)
     に起きた沖縄密約事件だ。でもこのとき、メディアは当時の佐藤栄作政権への
     追及を途中でやめた。だから密約はないものとされてきた。ワシントン・
     ポストやニューヨーク・タイムズの記者たちは英雄となったけれど、
     密約を暴いた毎日新聞の西山太吉記者は日本中から批判されながら退職し、
     さらに国家公務員法違反(機密漏えい教唆)で有罪とされた。…
       密約の存在には触れないまま判決は出された
     ペンタゴン・ペーパーズやウオーターゲート事件のときにアメリカ政府は
     記事差し止めを求めて提訴したが、最終的に司法は「政府は説明責任を
     果たしていない」としてこれを却下した。今さらではあるけれど、まったく
     同じ時期に起きた2つの事件の扱われかたは、何かの間違いじゃないか
     と思いたくなるほどに違う

   『●『DAYS JAPAN』
     (2013,DEC,Vol.10,No.12)の最新号についてのつぶやき
    「綿井健陽さん【民主主義社会から、国家第一主義社会へ】、
    「「政府の情報は、国民のものだ」…「ペンタゴン・ペーパーズ」を
    報道したフロイド・エイブラムズ弁護士は…」。岐路
    (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eba7913f790119052ad2a3313ebc4478)」

   『●「これは相当に見つけにくかろう」…というか、
     真に《不存在》な無い物(国民の信用)は見つけようがない
    《▼米国であった政府文書報道をテーマにした映画が公開中だ。
     物は物でも超ド級の極秘文書で、ベトナム戦争の経緯を政府が
     国民に隠してきたペンタゴン・ペーパーズ」だ。文書をスクープしたのは
     ニューヨーク・タイムズだが、映画の主役は後追いする
     ワシントン・ポスト…だが最高裁は「制限を受けない自由な報道のみが
     政府の偽りを効果的に暴くことができると新聞社勝訴の判決を出す
     報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、今の日本にあるだろうか》

   『●広報…「livedoor NEWSも産経ニュースも、
      記事のタイトルがおかしくネ? ……腐ってんな」
   『●自衛隊PKO日報問題…「森友捜査ツブシ」選挙の
       ドサクサに紛れて人治主義国家ニッポンの人事考査が再び
   『●『ペンタゴン・ペーパーズ』: 「報道の自由を守るには報道しかない」、
                             でも、沖縄密約と西山太吉記者…
   『●「規制の少ない通信と放送」…がもたらすのは
       「総安倍チャンネル化」、「アベチャンネルに成り下がる」
   『●【NNNドキュメント/南京事件Ⅱ ―歴史修正を検証せよ―】
                  …「消し去られた事実の重み…現代に警鐘」
   『●もはやニッポンに「民主主義の看板を掲げる資格はない」…
               アベ様は「盲目的に服従しない者には弾圧で…」
   『●「戦争に関する資料が隠ぺいされたことにより、
         子孫たちに正しい歴史を伝えることができなくなった」

 マスコミには、瓶三さんの報じられない事実「#選挙妨害を暴力団に発注するアベ様」。《この事件でニクソンは辞任に追い込まれたが、現代の日本では「もりかけ」疑惑が晴れてもいないのに安倍晋三は3選の勢いだあの公文書改ざんやメモの発見は何だったのか!》 一体どういうこと? ……で、結局、お見事に三選だそうです。自民党議員や支持者の皆さんは、正気なんでしょうかね。暴力団につながる方に、しかも、選挙妨害を依頼するような人が国会議員、どころか、自民党総裁三選。静かに、世界に「恥」を拡散。

   『●ヨイショ本・礼讃本『安倍晋三の真実』が伝えない、
         「#選挙妨害を暴力団に発注するアベ様」という事実

 《報道の自由を守るには報道しかない》…でも、《報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、今の日本にあるだろうか》?
 報ずることの重要さ。目加田説子さん《執拗なまでに伝え続けること》。メディアの矜持を見せて「報道の自由」を行使すべきだし、《権力の監視》《権力のチェック機能》を発揮し、《番犬ウォッチ・ドッグジャーナリズム》に活路を。

   『●『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著)読了
                 …《あなたの政治的ポジションを見つけて…》
    《あのね、政治を考えるのに「中立」はないの。メディアの役目は
     「中立公正、不偏不党な報道」ではなく「権力の監視」なんです。
     それ、常識。》《党派性をもたずに政治参加は無理である。》

   『●『国民のしつけ方』(斎藤貴男著)読了…
      《それは調査報道…「番犬(ウォッチ・ドッグ)」としての役割》

    《ジャーナリズムの最大の存在意義は「権力のチェック機能」である。
     …専門的には「番犬ウォッチ・ドッグジャーナリズム」理論という》
    《「番犬ジャーナリズム」は、純粋培養の環境下にあるよりも、
     一人ひとりのジャーナリストがもがき、苦悩しながら遂行していってこそ
     成長し、民主主義社会に貢献できる
のではないか》

   『●『追及力 権力の暴走を食い止める』(望月衣塑子×森ゆうこ著)読了
                    …《今、ジャーナリズムと野党の…》

    《今、ジャーナリズムと野党の存在意義を問い直す

   『●「公平・公正な報道」を求める文書の「こと細かな注文に従うのか」? 
                            「報道の自由」を行使するのか」?
    「さて、こちらの「注文」主は、血判状を集めて回る「ヤクザまがい」
     瓶三親分「#選挙妨害を暴力団に発注するアベ様」。選挙妨害という
     「不公平・不公正」な選挙をし、公職選挙法違反なアベ瓶三親分が、
     「公平・公正な報道」を求める文書の「注文」主」
    「「店主」メディアは、「ヤクザまがい」アベ瓶三親分の「公平・公正な報道」を
     求める文書の「驚くほど具体的で細かい注文」に従うのか? それとも、
     メディアの矜持を見せて「報道の自由」を行使するのか? 《権力の監視
     《権力のチェック機能》《番犬ウォッチ・ドッグジャーナリズム》が
     失われ行くなかで、さて…」

   『●浅野健一さん、「口先で…批判…トランプ大統領よりも、
            メディアを手なずけている安倍首相のほうが悪質」
    「日刊ゲンダイの記事【巨悪に甘い日本の大メディア 米紙トランプ一斉批判で
     露呈】…《とうとう米国内のメディアから集中砲火を浴びたのだが、
     日本の大メディアはこの“ケンカの作法”を学ぶ気はないらしい
     ■マスコミを懐柔する安倍首相は野放しに》」

   『●目加田説子さん「「今」に潜む危機を執拗なまでに伝え続けること
                     …戦争と平和に関わる報道の重要な使命」
    「記事の最後に、目加田説子さんは《見ないふり知らないふりをする
     私たちに、「今」に潜む危機を執拗なまでに伝え続けること。それが、
     戦争と平和に関わる報道の重要な使命である》と言います。
     《執拗なまでに伝え続けること》…是非、実践しましょう」

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/237370

孤独のキネマ

「大統領の陰謀」 米国民はニクソンを追い詰めたが…
2018年9月13日

     (「大統領の陰謀」ブルーレイ2381円+税/DVD1429円+税
      ワーナー・ブラザーズホームエンターテイメント(C)1976/
      renewed Entertainment Inc.and Wildwood Enterprises Inc.All rights reserved.

■1976年 アラン・J・パクラ監督

 B・ウッドワードがトランプ政権の暴露本を書いて騒ぎになっている。国防長官のマティスがトランプを「小学5年生程度の理解力」とケナしたそうだ。

 ウッドワードは「ワシントン・ポスト」でC・バーンスタインとともにウォーターゲート事件を暴いた記者。今年は事件のディープスロートだったFBI副長官を描く「ザ・シークレットマン」や事件につながる「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」が日本公開された。3本まとめて見ると面白い。

 ストーリーはご存じのとおり。72年6月、ワシントンのウォーターゲートビルにある民主党本部に男5人が盗聴を目的に侵入して逮捕された。ウッドワード(ロバート・レッドフォード)は彼らの裁判を取材。背後に大きな力があることに気づき、バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)とともに調査に乗り出すのだった。

 まるで探偵映画だ。序盤は電話取材が中心。あちこちにかけるうちにホワイトハウスにつながるルートがあぶり出される。相手の嘘から疑惑を強める展開が面白い。中盤はニクソン大統領再選委員会の不審な資金に着目して関係者を個別訪問。ところが誰もが「知らない」の一点張りだ。そこを粘り強く交渉して固い口をこじ開ける。

 印象的なのがディープスロートとの接触場面。駐車場の陰影に沈んだ男が「マスコミは嫌いだ」と言いながら、情報をリークする。緊迫感に満ちた演出だ。

 この事件でニクソンは辞任に追い込まれたが、現代の日本では「もりかけ」疑惑が晴れてもいないのに安倍晋三は3選の勢いだあの公文書改ざんやメモの発見は何だったのか!

 ニクソンについては「ニクソン」(95年)、「フロスト×ニクソン」(08年)の秀作があり、いずれも彼の陰湿な性格を根底にしている。ニクソンは徳川家康タイプ。根暗なのだ。アホなパフォーマンスがうまいトランプは豊臣秀吉だろう。

 ニクソン映画はシリアスドラマになったが、トランプが映画化されたら、知性が低いのでどんなに頑張ってもコメディーになってしまうはずだ。そんな男を米国民はワーワー言って持ち上げている。悲劇か喜劇か……。

(森田健司)
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●『ペンタゴン・ペーパーズ』: 「報道の自由を守るには報道しかない」、でも、沖縄密約と西山太吉記者…

2018年04月21日 00時00分12秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



リテラの記事【森友文書改ざん問題を彷彿と話題の映画『ペンタゴン・ペーパーズ』!三浦瑠麗はまたトンチンカンコメント】(http://lite-ra.com/2018/04/post-3934.html)。

 《トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンの4政権が隠ぺいし、ベトナム戦争に関して国民を欺き続けていた証拠となる資料「ペンタゴン・ペーパーズ」の公開をめぐる、ニクソン政権とワシントン・ポスト紙との戦いを描いた作品》。

 トランプ大統領を意識したが故に、短期間で製作されたと云われる『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』。琉球新報によると《文書をスクープしたのはニューヨーク・タイムズだが、映画の主役は後追いするワシントン・ポスト…だが最高裁は「制限を受けない自由な報道のみが政府の偽りを効果的に暴くことができると新聞社勝訴の判決を出す。報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、今の日本にあるだろうか》? 「良いことばかりではないでしょうが、アメリカの司法はニッポンよりは遥かにマシなのかな? ニッポンの裁判所は、司法判断することなく、政治判断を乱発。《最高裁は制限を受けない自由な報道のみが政府の偽りを効果的に暴くことができると新聞社勝訴の判決を出す》なんて、ニッポンの最「低」裁では夢のまた夢」。
 政治判断の一例として思い出されるのは、西山太吉さんの「沖縄密約事件」。森友、加計、決裁文書改竄、イラク・南ザイール自衛隊PKO日報隠蔽問題…問題山積なアベ様。司法は機能するだろうか? 《報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、今の日本にあるだろうか》? 《報道の自由を守るには報道しかない》。

   『●『創(2011年1月号)』読了
    「森達也さん「極私的メディア論/第57回 尖閣映像流出とポピュリズム」…
     ベトナム戦争についての極秘報告書「ペンタゴン・ペーパーズ」を提供した
     「エルスバーグに対する政府の訴追も裁判所から棄却された。/ところが
     日本では同年、毎日新聞の西山太吉記者が政府の密約と国民への
     背信行為を暴く記事を紙面に掲載したが、国民はこの取材にまつわる
     不倫問題により強く関心を示し、結果として外務省密約はないものとされた
     /…民意とジャーナリズムのあり方はこれほどに違うのかと、
     暗澹たる気持ちになる」。「…ところが日本における民意形成は、
     政府の説明責任や不正を追及する方向ではなく、一時の感情に
     煽られながら暴走する傾向が明らかに強い」」

   『●森達也さん『国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要』
    「「「うそをつく人たち」にとって都合の「いい内容」」の特定秘密保護法案
     森達也さんは「国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要」、
     と仰っています…」
    《森達也リアル共同幻想論…映画『フェアゲーム』が暴くもの
     …1976年に作られた『大統領の陰謀』は、ワシントン・ポスト社会部の
     記者であるボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインが主人公だ。
       実際に2人がスクープした「ウオーターゲート事件」(ニクソン政権に
     よる非合法な盗聴工作)をテーマに描いたこの映画も、登場人物は
     すべて実名だ。ウッドワードとバーンスタインは、この前年に
     ベトナム戦争の極秘報告書である「ペンタゴン・ペーパーズ」の全文コピーを
     ニューヨーク・タイムズに渡したダニエル・エルズバーグや、これを
     受け取って記事にしたニール・シーハンと共に、今もアメリカでは国家的な
     英雄だ(ただしここに名前を挙げた全員が事件当時には、政府から
     「国旗に泥を塗った」とか「国家の敵」などと糾弾されている)。…
       沖縄密約事件の西山記者は英雄になるどころか日本中から批判された
     翻って日本はどうか。政府による情報の隠ぺいと国民への背信行為として
     真先に思いつくのは、1971年(ペンタゴン・ペーパーズがスクープされた年だ)
     に起きた沖縄密約事件だ。でもこのとき、メディアは当時の佐藤栄作政権への
     追及を途中でやめた。だから密約はないものとされてきた。
     ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズの記者たちは英雄となったけれど、
     密約を暴いた毎日新聞の西山太吉記者は日本中から批判されながら退職し、
     さらに国家公務員法違反(機密漏えい教唆)で有罪とされた。…
       密約の存在には触れないまま判決は出された
     ペンタゴン・ペーパーズやウオーターゲート事件のときにアメリカ政府は
     記事差し止めを求めて提訴したが、最終的に司法は「政府は説明責任を
     果たしていないとしてこれを却下した。今さらではあるけれど、まったく
     同じ時期に起きた2つの事件の扱われかたは、何かの間違いじゃないか
     と思いたくなるほどに違う

   『●『DAYS JAPAN』
     (2013,DEC,Vol.10,No.12)の最新号についてのつぶやき
    「綿井健陽さん【民主主義社会から、国家第一主義社会へ】、
    「「政府の情報は、国民のものだ」…「ペンタゴン・ペーパーズ」を
    報道したフロイド・エイブラムズ弁護士は…」。岐路
    (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eba7913f790119052ad2a3313ebc4478)」

   『●「これは相当に見つけにくかろう」…というか、
     真に《不存在》な無い物(国民の信用)は見つけようがない
    《▼米国であった政府文書報道をテーマにした映画が公開中だ。
     物は物でも超ド級の極秘文書で、ベトナム戦争の経緯を政府が
     国民に隠してきたペンタゴン・ペーパーズ」だ。文書をスクープしたのは
     ニューヨーク・タイムズだが、映画の主役は後追いする
     ワシントン・ポスト…だが最高裁は「制限を受けない自由な報道のみが
     政府の偽りを効果的に暴くことができると新聞社勝訴の判決を出す
     報道の自由を巡って政府相手のせめぎ合い、今の日本にあるだろうか》

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http://lite-ra.com/2018/04/post-3934.html

森友文書改ざん問題を彷彿と話題の映画『ペンタゴン・ペーパーズ』!三浦瑠麗はまたトンチンカンコメント
2018.04.07

     (映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』公式サイトより)

 スティーヴン・スピルバーグが監督を務め、メリル・ストリープやトム・ハンクスといったオールスターキャストが出演している『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』が先月30日に日本公開され話題となっている。

 ご存知の方も多いかもしれないが、念のため説明しておくとこの作品は、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンの4政権が隠ぺいし、ベトナム戦争に関して国民を欺き続けていた証拠となる資料「ペンタゴン・ペーパーズ」の公開をめぐる、ニクソン政権とワシントン・ポスト紙との戦いを描いた作品。

 亡き夫の後を継いでワシントン・ポストの社主となったキャサリン・グラハムをメリル・ストリープが、「ペンタゴン・ペーパーズ」公開に圧力をかけるニクソン政権や会社の役員に対し「報道の自由を守るには報道しかない」を口癖に反発し続けるワシントン・ポスト編集主幹のベン・ブラッドリーをトム・ハンクスが演じている。

 ニクソン政権は、一番始めに「ペンタゴン・ペーパーズ」をすっぱ抜いたニューヨーク・タイムズ紙に対し、国家の安全保障を脅かすという理由で記事の掲載差し止めを要求する裁判を起こす。この流れのなかで、後塵を拝したベン・ブラッドリー率いるワシントン・ポストもようやく「ペンタゴン・ペーパーズ」のコピーを入手するのだが、ニクソン政権がニューヨーク・タイムズに対して行った報道圧力は、他のメディアを怯えさせるのに十分な効果を発揮した。作品のなかでは、メディア人の矜持を貫き通して文書公開を断行しようとするベンに対し、役員たちは会社の経営のために政権の意向を飲むよう説得。社主のキャサリンは両者の板挟みになり「ペンタゴン・ペーパーズ」公開の可否をめぐって重大な決断を迫られる──。

 キャサリンの決断については是非とも劇場で観ていただきたいが(とはいえ史実なので調べれば結果はすぐにわかるが)、スティーヴン・スピルバーグ監督はこの作品を手がけるにあたり、いま公開することにこだわった。スピルバーグ監督は昨年の2月にこの作品の脚本を読むやいなやすぐさま製作に取りかかったと語っており、先月6日付朝日新聞デジタルのインタビューでは「撮影中だった一つの作品に関する仕事以外はスケジュールを空けて、この映画を撮ることにしました。17年中に完成させるという目標に向かってみながまとまり、自分の作品で最も短期間で完成しました」と述べている(実際、アメリカでは昨年12月に公開されている)。


トランプ大統領への危機感から、スピルバーグ監督は異例のスピードで製作

 もともとスピルバーグは早撮りが得意な監督として知られているが、そんな彼でさえ50年近くにわたる映画監督としてのキャリアのなかで異例となるほど短い製作期間で公開までもっていったのは、これがトランプ大統領登場以降のアメリカで観られるべき物語だったからだ。スピルバーグ監督は『キネマ旬報』(キネマ旬報社)18年4月上旬号のインタビューでこのように語っている。

   「この物語には現代との共通点がとても多い。映画で描いた1971年当時と
    今のマスコミの状況は同じだ。マスコミは同様に圧力を受けている。
    2017年の“17”を逆にすると“71”だ。両者は数字的にいとこのような存在だよ。
    歴史の振り子が、現代に戻ってきた感じがする。歴史は繰り返すものだが、
    状況としては今のほうが悪いと思うね。だからすぐに作って公開したかったのさ」

 言うまでもなく、この『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、アメリカだけでなく、いまの日本で観られるべき物語でもある。自分たちに不都合な情報を報道するメディアに圧力をかけるニクソン政権は安倍政権にも重なって見える

 トム・ハンクスは映画の公式パンフレットに掲載されたインタビューで「真実を追い求めるのがアメリカのメディアだと思うし、もちろん怖いことだってたくさんある。しかし、それが民主主義の基盤だと思う」と語っているが、まさしくその通り。映画のなかでベンが繰り返し口にする「報道の自由を守るには報道しかないという言葉は安倍政権の恫喝に怯えて忖度だらけとなったここ数年の日本のメディアのことを思うと重く響く。

 ちなみに、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の公式ホームページを閲覧すると、著名人からの絶賛コメントの欄に、津田大介氏、ピーター・バラカン氏、黒沢清監督、小島慶子氏、中原昌也氏などと並んで、国際政治学者の三浦瑠麗氏も登場している。


三浦瑠麗がまたトンチンカンなコメント!隠ぺい問題を矮小化し“どっちもどっち論”

 三浦氏はこの映画に次のようなコメントを寄せている。

   〈痛恨の判断ミスを隠すエリート。追及する正義のメディア。
    その構図は私たちの時代にまだ生きているだろうか〉

 三浦氏の映画へのコメントといえば、黒人に対する差別的な考えをもったデトロイト市警察の白人警官がモーテルに滞在していた黒人青年らに対し不当な尋問を加え、最終的には黒人青年3人が殺害された「アルジェ・モーテル事件」を映画にした映画『デトロイト』に対し、「共感の欠如が、暴動や白人警官の弾圧につながっているというのもあります。差別をなくす道は分かっていても、変化を起こすより単に正義と邪悪なものを対比させて、自分は正義の側だと唱える人権擁護派が多いのも悲しい現実です」(18年1月19日付朝日新聞より)などとコメント。差別を受けている側の暴動と白人警官による弾圧をまるで等価であるかのように並べ、「オルト・ライトに突撃していったオルト・レフトはどうなんだ」と言ったトランプ大統領と同様の悪質な「どっちもどっち」論を掲げて大炎上したのは記憶に新しい。(http://lite-ra.com/2018/02/post-3829.html

 今回は一言だけのコメントなので、『デトロイト』ほどトンデモ感は際だっていないが、「ペンタゴン・ペーパーズ」はベトナム戦争に勝利する見通しがないのにも関わらずそれを隠ぺいして国民を戦争の泥沼に引きずりこんでいったことを表す資料であり、〈痛恨の判断ミスを隠すエリート〉が政府側のことを指しているのだとしたら、そんな軽い言葉で片付けられるようなものではない悪質なものであり、ちょっと首を傾げざるを得ない。しかも隠蔽を矮小化したうえで、多くの人が今作と重ね合わせる森友文書改ざん問題は、隠蔽するエリートと正義のメディアの二元論の構図では語れないと言わんばかりで、結局お得意の“どっちもどっち論”。『デトロイト』のときも感じたが、三浦先生、インタビューを受けたりコメントを出す前にちゃんと映画を観ているのだろうか。映画関係者もまともな映画で三浦先生にコメントを求めるのはそろそろ止めたほうがいいのではないか。

 それはそうと、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は「政府VSメディア」の戦いの映画であると同時に、まだ女性経営者などほとんどいなかった1970年代にあって「ペンタゴン・ペーパーズ」騒動を機にキャサリンがトップに立つ人間として成長していくフェミニズム映画として観ることもできる。

 豊かな映画体験ができる作品であることは間違いない。自称「映画好き」の安倍首相にも、是非とも観ていただきたい1本である。

(編集部)
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●森達也さん『国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要』

2013年11月15日 00時00分44秒 | Weblog


『森達也リアル共同幻想論』の記事【【第70回】国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要】(http://diamond.jp/articles/-/43483)。

 「「うそをつく人たち」にとって都合の「いい内容」」の特定秘密保護法案森達也さんは「国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要」、と仰っています。なぜなら、

    「川口順子外務大臣は「事実関係として密約はない」と発言し、
     福田康夫官房長官が「密約は一切ない」と記者の質問に答え、
     次の官房長官である安倍晋三はまったくそうした密約はなかった」と
     記者会見で主張した。つまり国民に嘘をつき続けた。そしてそれが明らかに
     なった。政治家としては致命的な失態だ。でもこの国では、なぜかこれが
     問題視されない。西山と女性事務官が国家から起訴された裁判においても、
     起訴理由は「国家機密の漏洩行為」であるのに、自民党は機密などない
     と主張し続けた。機密がないのなら、2人はなぜ起訴されて有罪と
     されたのだろう。子どもにだってこの矛盾はわかる。でもメディアは
     それ以上の追及をしなかった。なぜなら国民が関心を示さないからだ。
     国民の多くはこのとき、知る権利や政府の背信行為の究明よりも
     週刊新潮や女性誌などが報道する2人の不倫行為を叩くことに
     夢中になっていた

そういう国やマスコミの性質、国民性だからでしょうか。森さんは、最後に「そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。機密を理由にやりたい放題。とてもとても楽しみだ」・・・・・・。

   『●特定秘密保護法案: 「うそをつく人たちが作」る猛毒を
                     「いい内容に仕上がっている」認識とは!?

    「「一般の市民はどの情報を聞き出したり漏らしたりしたことが違反に当たるかを
     知らされないまま逮捕、起訴され、裁判でも何が秘密かが明らかにならないまま、
     有罪判決を受ける恐れが現実のものとな」り、「それ招く萎縮効果は絶大」で、
     「このままでは濫用の暴走が避けられない」ような猛毒が、「いい内容」だ
     そうです。それは、「うそをつく人たち」にとって都合の「いい内容」でしょう」。

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http://diamond.jp/articles/-/43483

森達也リアル共同幻想論
【第70回】 2013年10月28日

国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要



映画『フェアゲーム』が暴くもの

 2010年に公開されたアメリカ映画『フェア・ゲーム』は、CIAで諜報活動に従事していた女性工作員ヴァレリー・プレイムの回顧録をベースにしている。つまり実話。ペンシルベニア州立大学を卒業後にCIAにスカウトされたプレイムは、CIAが作った架空の会社の社員として、主に大量破壊兵器の調査などの任務を行っていた。夫であるジョゼフ・ウィルソンは元外交官で、イラク大使代理、国家安全保障会議(NSC)のアフリカ担当部長などを歴任している。
 2001年、イラクがアフリカのニジェールからウランを秘密裏に輸入したとする「ニジェール疑惑」が浮上した。しかし証拠はほとんどない。アメリカ政府から調査を命じられたウィルソンはニジェールに飛び、綿密な調査を重ねたうえで、疑惑を完全に否定する報告書を作成した。しかしブッシュ政権はこの報告書を握り潰した。同時期に妻であるプレイムはイラクの科学者たちに秘密裏に接触し、やはり大量破壊兵器など存在しないと確信するが、CIAのこのレポートも結局は政権から黙殺される。
 最終的に2003年1月28日の一般教書演説でブッシュは、ニジェールからウランを輸入したことなどを根拠として語りながら、イラクが核開発を行っていると主張した。こうしてイラク侵攻は開始され、苦悩したウィルソンは同年7月6日付けのニューヨーク・タイムズに、イラクの核開発についての情報が歪曲されていると寄稿して国民に訴えた。しかしこの1週間後、ブッシュ政権は「政府を告発したウィルソンの妻はCIAエージェントである」とメディアにリークし、ウィルソンが現在の任務に就いていることは不適切だと報じさせた。明らかな報復だ。
 ……まだ観ていない人のために、これ以上は書かないほうがいいだろう。この映画が企画された段階で、米軍はまだイラクに駐留していた。でもハリウッドの映画製作者たちはそんなことに頓着しない。当たり前のように映画を作る。しかも肩肘は張っていない。だって徹底してエンターテインメントなのだ。ところが登場人物はすべて実名だ。主人公の2人だけではなく、ブッシュもラムズフェルドチェイニーもすべて実名で登場する。
 イラク戦争の映画は他にも『グリーンゾーン』や『リダクテッド』、『華氏911』、『ハートロッカー』などたくさんある。そのほとんどはブッシュ政権への批判を前提にしている。批判性をしっかりと前面に打ち出しながら、娯楽映画として完成させている。
 試写会場で『フェア・ゲーム』を観ながら、僕はもう一つのアメリカ映画を思い出していた。



http://diamond.jp/articles/-/43483?page=2


アメリカほど自己中心的で傲慢な国はないけれど……

 1976年に作られた『大統領の陰謀』は、ワシントン・ポスト社会部の記者であるボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインが主人公だ。
 実際に2人がスクープした「ウオーターゲート事件」(ニクソン政権による非合法な盗聴工作)をテーマに描いたこの映画も、登場人物はすべて実名だ。ウッドワードとバーンスタインは、この前年にベトナム戦争の極秘報告書である「ペンタゴン・ペーパーズ」の全文コピーをニューヨーク・タイムズに渡したダニエル・エルズバーグや、これを受け取って記事にしたニール・シーハンと共に、今もアメリカでは国家的な英雄だ(ただしここに名前を挙げた全員が事件当時には、政府から「国旗に泥を塗った」とか「国家の敵」などと糾弾されている)。
 アメリカ人が大好きなフレーズ「God Bless America」が示すように、アメリカほど自己中心的で傲慢な国はない。しかも腕力は世界一だ。だから力に任せて物事を解決しようとする。独善的な正義に酔いやすい。とにかく欠点だらけの国だ。
 でも情報公開とジャーナリズムの精神においては、アメリカは世界でもトップクラスの国だ。ここだけは信頼できる。
 だからこそアメリカのメディアは、徹底して政府の不正や背信行為を追及する。結果として自浄作用が強い。行きすぎることは確かに多いが、イラク戦争が示すように、行きっぱなしになることはほとんどない。メディアも自分たちの過ちを認め、何をどう間違えたかを徹底して検証し、さらに提示する。さらには(ここが一番すごいのだけど)、これを娯楽にしてしまう。国民レベルで共有する。アメリカの先住民虐殺の歴史とイラク侵攻を併せながらメタファーにして海兵隊を徹底的に批判する『アバター』を観たときは、その娯楽性とメッセージの融合の見事さに圧倒された。


沖縄密約事件の西山記者は英雄になるどころか日本中から批判された

 翻って日本はどうか。政府による情報の隠ぺいと国民への背信行為として真先に思いつくのは、1971年(ペンタゴン・ペーパーズがスクープされた年だ)に起きた沖縄密約事件だ。でもこのとき、メディアは当時の佐藤栄作政権への追及を途中でやめた。だから密約はないものとされてきた。ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズの記者たちは英雄となったけれど、密約を暴いた毎日新聞の西山太吉記者は日本中から批判されながら退職し、さらに国家公務員法違反(機密漏えい教唆)で有罪とされた
 これを題材にした映画作品はない。ただし小説はある。山崎豊子が2009年に発表した『運命の人』。実名は登場しない西山太吉は弓成亮太とされている。毎日新聞社は毎朝新聞社。内閣総理大臣である佐藤栄作は佐橋栄作。福田赳夫大蔵大臣は福出武夫。後に総理大臣になる田中角栄は田淵角造。大平正芳は小平正良



http://diamond.jp/articles/-/43483?page=3

 名前を引用しながら力が抜ける。まるでダジャレのレベルだ。ただし小説版『運命の人』については、発表時はまだ密約の存在を政府が認めていなかったから、実名を回避することはある程度は仕方がない。でもその後に民主党政権が密約の存在を認めてから、『運命の人』をベースにしたドラマをTBSが放送した。もしも僕がこの作品の演出を任されたのならば、まずは山崎豊子に実名に変えてよいかと交渉する。山崎が首を縦に振らないのなら、ノンフィクションとして書かれた密約─外務省機密漏洩事件澤地久枝)をベースにすればよい。それこそ脚本家の腕のみせどころだ。百歩譲って個人の名前が無理だとしても、弓成が所属していた毎朝新聞社は毎日新聞社に戻す。他にも週刊ジャーナル(実際は朝日ジャーナル)や週刊潮流(週刊新潮)や読日新聞(書くのもうんざりだけれど読売新聞)など、実名を隠すことでほとんど漫画になってしまっているでも結局TBSは、この名前のままドラマを制作した
 日本では1982年に公開されたアメリカ映画『アトミック・カフェ(The Atomic Cafe)』は、冷戦期にアメリカ国内で放送されたニュース映像や政府提供の広報番組、軍が兵士の教育や啓蒙用に制作したフィルム、当時のドラマやラジオ音声などにより構成されている。作品のために撮り下ろした素材は一切ない。つまりアーカイブ・ドキュメンタリーだ。
 放射能で被曝するかもしれないからサングラスは必需品。念のため傷には絆創膏を貼っておきましょう。ピカッと光ったらさっと机の下に隠れる。アメリカ良いとこ一度はおいで。共産圏に水爆を落としてすっきりさわやか!


なぜ日本ではこんな映画が制作できないのか

 ……この時代に制作された映像を眺めながら、いかに当時のアメリカが核兵器や放射能に対して無知であったかを実感する。国民だけではない。政治家も軍の上層部も、核兵器を規格外の爆弾くらいにしか捉えていなかった。つまり概念だ。だからこそアメリカでは、戦争を終わらせるためには広島・長崎への原爆投下は正当だったと主張する人が、今も一定数いる。おそらくそのほとんどは、この時代に教育を受けた世代だろう。
 とても重要な映画だ。でもこの映画は日本では制作できない。断言することは嫌いだけど、これは断言できる。なぜなら政府や防衛省が映画への映像提供を許可しない。
 アメリカは違う。使用目的が何であれ、国民の税金で制作されたものであれば最終的には国民に帰属するとの意識が明確にある(当たり前だ)。だから隠さない。沖縄密約問題の際にも、2000年にアメリカ公文書館は密約を裏付ける文書を公開したが、その後も日本政府は「密約は存在しない」と言い続けた。その2年後に今度はアメリカ国家安全保障会議(NSCが、「日本政府がアメリカに対して、密約問題については公にならないように同一歩調をとることを要求してきている」と記述された文書を公開したが、その後も日本政府の姿勢は変わらなかった。具体的に書けば、川口順子外務大臣は「事実関係として密約はない」と発言し、福田康夫官房長官が「密約は一切ない」と記者の質問に答え、次の官房長官である安倍晋三は「まったくそうした密約はなかった」と記者会見で主張した



http://diamond.jp/articles/-/43483?page=4

 つまり国民に嘘をつき続けた。そしてそれが明らかになった。政治家としては致命的な失態だ。でもこの国では、なぜかこれが問題視されない。西山と女性事務官が国家から起訴された裁判においても、起訴理由は「国家機密の漏洩行為」であるのに、自民党は機密などないと主張し続けた機密がないのなら、2人はなぜ起訴されて有罪とされたのだろう。子どもにだってこの矛盾はわかる。でもメディアはそれ以上の追及をしなかったなぜなら国民が関心を示さないからだ。国民の多くはこのとき、知る権利や政府の背信行為の究明よりも、週刊新潮や女性誌などが報道する2人の不倫行為を叩くことに夢中になっていた
 その後に密約の存在を認めた民主党は大きく失墜し、ずっと国民を欺き続けた自民党は今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
 だから思う。この国では秘密保護法など制定してはならないというか必要ないそんな法制度などなくても、いくらでも秘密は作れる。暴かれることもめったにない
 最初に秘密(機密)保護法という言葉を発した政治家は、西山事件で一時は追い詰められた佐藤栄作。国会で社会党議員が西山からリークされた情報に沿って質問し、毎日新聞が密約の存在をスクープして他紙もこれを追いかけかけたとき、参議院予算委員会で佐藤栄作首相は、「国家の秘密はあるのであり、機密保護法制定はぜひ必要だ。この事件の関連でいうのではないが、かねての持論である」と主張した。
 これを受ける形で秘密保護法の議論は自民党内において続けられ、何度かの試行錯誤を経て1985年には衆議院に議員立法として法案が提出されている。しかしこのときは、日本社会党・公明党・民社党・日本共産党・社会民主連合など当時の野党が強硬に反対し、法案は通常国会の閉会に伴って廃案となっている。
 でもそんな野党はもうほとんどいないメディアが大好きな言葉である「ねじれ」も解消された(これで法案はさくさく通る。でもならば、何のための二院制なのだろう)。有事の際には沖縄に核兵器を持ち込むことを認める密約文書をアメリカと交わしていた佐藤栄作は、表向きの非核三原則を理由にノーベル平和賞を授与された。その佐藤の宿願である秘密保護法が、やっとこの秋に成立する。


http://diamond.jp/articles/-/43483?page=5


密約の存在には触れないまま判決は出された

 密約のもう片方の当事者であるアメリカでは、前述したように密約の存在を示す文書は既に機密解除され、アメリカ国立公文書記録管理局にて公文書として閲覧可能であるが、自民党政権は2010年まで文書の存在を否定し続けて来た。2005年4月に西山は「密約の存在を知りながら違法に起訴された」として国家賠償請求訴訟を提起したが、2007年3月に東京地方裁判所は密約の存在にはまったく触れないまま、「損害賠償請求の20年の除斥期間を過ぎ、請求の権利がない」として訴えを棄却した。原告側は「2000年の米公文書公開で初めて密約が立証されて提訴可能になったのだから、それ以前の除斥期間で請求権消滅は不当」として控訴したが、高裁も密約の有無については触れないまま一審判決を支持して控訴を棄却した。さらに2008年9月、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は原告の上告を棄却し、一審・二審の判決が確定した。つまり司法が行政の都合と思惑を忖度している。司法権の独立などどこにもない。
 ペンタゴン・ペーパーズやウオーターゲート事件のときにアメリカ政府は記事差し止めを求めて提訴したが、最終的に司法は「政府は説明責任を果たしていない」としてこれを却下した。今さらではあるけれど、まったく同じ時期に起きた2つの事件の扱われかたは、何かの間違いじゃないかと思いたくなるほどに違う。


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 今回は秘密保護法を考えるうえで、安倍政権が参考にしているというアメリカ国家安全保障会議(NSC)を保持するアメリカと日本を比較してみた。もう一度書くが、アメリカは問題だらけの国だ。粗野で臆病なのに自信過剰で腕力ばかりが強い。でもジャーナリズムと言論の自由と情報公開については筋を通す。最後の一線は絶対に譲らない。
 ポスト911が典型だが、アメリカも日本と同様に集団化しやすい国だ(ただしその理由とメカニズムは日本とまったく違う)。でもアメリカは復元する。ジャーナリズムと国民の知る権利への意識があるからだ。日本は復元しない。行ったら行きっぱなしなのだ。
 そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。機密を理由にやりたい放題。とてもとても楽しみだ。
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