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●「「秘密」は秘密」: 「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいた時代に逆戻り

2013年11月20日 00時00分39秒 | Weblog


東京新聞の記事【「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110402000126.html)と【軍機密、戦後も闇の中 輸送船撃沈 北海道・厚岸海岸】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111890070431.html)。

 「秘密」は秘密って、そんな恐ろしい法案ってあるのだろうか。たとえ「秘密」の定義や範囲が明らかになったとしても、安倍首相が選んだ、安倍首相お気に入りのメンツでそれを議論するのであれば、いくらでも安倍首相や自公政権に都合良く恣意的に判断できる。こんな「猛毒」は廃案にする以外に道はないが、有権者が自公にフリーハンドを与えてしまい、かつ、与党もどきの野党ばかりで、真に頼れる野党が少数派の現在、事態は非常に悲観的である。

 戦前、「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいたそうだ。「終戦前年・・・・・・事件は軍機保護法により軍事機密として伏せられ、うわさした人も同法違反で刑務所に送られ」、さらに、「死んだという事実しか知らされなかった乗船者の遺族は戦後、最愛の肉親の最期の地を求め、三十八年間も道内をさまよった」そうだ。そんな戦前のような時代に、自公の議員やそれを支持する有権者、「維新」や「みんな」のような情けない与党もどきの野党は、引き戻したいらしい。

 森達也さんは特定秘密保護法案が可決されなくても、既に「国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要」とのご意見だ。

   『●森達也さん『国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要』
   
     「でもアメリカは復元する。ジャーナリズムと国民の知る権利への意識
      あるからだ。日本は復元しない。行ったら行きっぱなしなのだ。
       そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。
      機密を理由にやりたい放題。とてもとても楽しみだ」

 一方、「密約事件」の被害者西山太吉元毎日新聞記者は「うそをつく人達が作ろうとしている危険な法案」であることを指摘されている。

   『●西山太吉さん密約事件が示すもの:
          「一人歩きし、拡大解釈され、時の権力によって必ず乱用される」
   
     「「首相のウソを暴いた西山太吉さん。それが今後できなくなる」
      (佐高信さん、10月13日『サンデーモーニング』)。また、「西山事件が
      示している通り、必ず一人歩きする。拡大解釈される。その時の権力に
      よって必ず乱用される」(岸井成格さん、同番組)」
     「「公務員法でも政と官がその気になれば、
      ジャーナリストなんぞ簡単に逮捕できるということ」だったが、
      それ以上の強力な「猛毒」を安倍首相や自公議員は欲しいらしい。
      自公議員への投票者や支持者は、そんな「猛毒」をどう思っている
      のでしょう?」

   『●西山太吉さんが喝破、「うそをつく人たちが作ろうとしている危険な法案」
   
    「西山太吉さん曰く、「政府に都合が悪い情報が、永久に秘密にされる恐れが
      あることだ。・・特定秘密の指定から30年たっても内閣が承認すれば
      無期限に指定を延長できる。国には昔から情報を国民に隠す体質があるが、
      法案が成立すれば隠蔽される情報の範囲がさらに広がる。
      秘密国家の誕生につながりかねない、恐ろしい法律」。そして、
      安倍晋三首相や麻生太郎外相らのような「うそをつく人たちが作ろう
      としている危険な法案」と喝破」

   『●特定秘密保護法案:
       「うそをつく人たちが作」る猛毒を「いい内容に仕上がっている」認識とは!?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110402000126.html

「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん
2013年11月4日 朝刊

 機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法案に、強い懸念が広がっている。一九七二年の沖縄返還をめぐる日米密約を、著書で取り上げたノンフィクション作家沢地久枝さん(83)は「この法律が成立したら、密約の当時よりもっとひどいことになる。憲法がどんなことを定めていても全部吹っ飛ぶのではないか」と憂える。

 「とんでもない法案だとあきれました。こんなに内容が分からない法案は初めて見た。具体的な部分で『政令で定める』と書いてある箇所がいくつも出てくる。政令は、政府がいくらでも出せるものです」

 特定秘密とは、安全保障に著しい支障を与える恐れがあって特に秘匿する必要のある情報で、防衛相ら行政機関トップが指定する。「一般の人には、自分が特定秘密に触れているのか分からない。文章を書く人が取材した後、これは特定秘密だと言われたらアウト。特定秘密の秘密とは何ですかと聞いても『それは秘密です』なんて、こんなばかな話はない」

 政府は今国会中の成立を目指しているが「戦争中の法律よりひどいのではないか。当時、軍事機密に触れるようなことは一般の人も予測できた。今度の場合、想像ですが、何が特定秘密かはだいたい米政府との話し合いで決まるのではないか。今急いでいる理由は、日米関係を特に軍事面で円滑にするため、日本はこうしますという約束を米国に見せようとしているんだと思いますね」

 沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された外務省機密漏えい事件を、著書「密約」で取り上げ、密約の文書開示請求訴訟にも原告として加わった。「法案が成立すれば警察国家のようになる。特定秘密の保護措置として警察庁長官はいろんなことができる。戦争中の日本人は『警察ににらまれたらまずい』と思いながら話していた。そういう時代に戻る可能性が非常に大きい」

 罰則で、公務員らが特定秘密を漏らすと最高十年の懲役に、漏らすよう働き掛けた場合も五年以下の懲役となる。「公務員は恐ろしくて何も言わなくなるし、情報提供を受ける側も取材しにくくなる。おかしいと思うことを調べ、社会のためだと思って発表しても、特定秘密を公にしたと認定されれば罪に問われるかもしれない。記者やライターがさらし者になり、公務員も被告になるのです。われわれがこれも特定秘密かと用心深くなっていけば、この国の言論は窒息します。それが法案の狙いかと思います」

 法案は、平和主義や国民主権、基本的人権の尊重という憲法の基本原理に対する反動とも指摘する。「明らかな憲法違反です。米国の戦略の中で戦争に向かう約束をしても、秘密といえば分からない。この法律が通った瞬間に日本は別の国になるそれほど悪い法律で、憲法を変えなくても何でもできる。憲法九条や九六条を変えると言えば反論できるが、特定秘密の内容には反論できない」

 安全保障に関する情報を守るのが目的としているが「安全保障自体がはっきりしたものでないから、どれがその情報か分からない。みんな特定秘密にしてしまえば国は答えなくていいし、憲法も無視できる。こんな法律のある国を、次の世代に渡せますか」。

   ×   ×

 さわち・ひさえ 三〇年東京生まれ。中央公論社を経て「妻たちの二・二六事件」でデビュー。「火はわが胸中にあり」で日本ノンフィクション賞。ミッドウェー海戦の克明な調査で菊池寛賞。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111890070431.html

軍機密、戦後も闇の中 輸送船撃沈 北海道・厚岸海岸
2013年11月18日 07時06分

 国家の秘密はときに悲劇を生む。終戦前年の一九四四年、北海道近海で二千数百人の陸軍兵を乗せた輸送船「日連丸」が米軍に沈められた。事件は軍機保護法により軍事機密として伏せられ、うわさした人も同法違反で刑務所に送られた。死んだという事実しか知らされなかった乗船者の遺族は戦後、最愛の肉親の最期の地を求め、三十八年間も道内をさまよった。 (飯田孝幸)

 北海道・釧路港から東に約五十キロ。厚岸(あっけし)町の海岸近くにある正行寺(しょうぎょうじ)に一九八二年七月初旬、釧路市役所から電話が入った。「日連丸の遺族が遺体の漂着した場所を探している。何か知りませんか」。当時住職だった朝日正芳さん(95)の脳裏に、家族にも長年秘してきた出来事が浮かんだ。

 四四年三月十八日夜、寺の周囲にはまだ雪が残っていた。突然現れた憲兵が、負傷者を寺に収容することを告げる。すぐに四十人近い負傷者と数体の遺体が納骨堂に運び込まれた。

 彼らは日連丸の数少ない生き残りだった。二日前、千島に向けて釧路港を出発したが二時間後に潜水艦に撃沈された。大本営は日本軍の「快進撃」を発表している。日本近海まで米軍が迫っていることを国民に伏せるため、日連丸の沈没は軍事機密となった。

 負傷兵は人目に触れないよう正行寺に運ばれた。正芳さんは「憲兵が常駐し、負傷兵とは一切口を利くことができなかった。私たちは外出も許されなかった」と振り返る。

 やがて、近くの海岸にも遺体が何体も漂着。磯漁のシーズンだったが、地元の人たちは海岸から閉め出され、口を閉ざした。「せき払い一つできない、がんじがらめの時代だった」と正芳さん。釧路では船舶会社の役員ら二人が、日連丸沈没のうわさ話をしたとして逮捕され、実刑判決を受けた。

 日連丸の兵士らの遺族が戦死を知るのは三カ月後。届けられた白木の箱に遺骨はなく、戦死公報に「北方海域にて戦死」とだけ書かれていた。

 戦後、遺族たちは夫や父親の最期を知ろうと、わずかな手掛かりを頼りに北海道内を尋ね歩いた。夫を亡くした仙台市の志田すえのさんはある日、探し疲れて「夢でいいから、どこにいるか教えて」とつぶやいた。同じく夫を亡くした佐久間つねさんと長男の博信さんも、仙台市から何度も釧路を訪れた。

 八二年七月、博信さんは会社を一週間休んで釧路に。最終日、市役所を訪ねると、担当者は「遺体を収容したことがあるかも」と、市内の全ての寺に電話してくれた。念のため近くの厚岸町にも広げたところ、正行寺にたどり着いた。地元紙などに報道され、一気に情報が集まった。

 「厚岸の海と多くの人が、私たちが来るのを四十年間待っている」。母の言葉に押され博信さんは八四年、正行寺で慰霊法要を行う。四年後、遺族らは太平洋を見下ろす愛冠(あいかっぷ)岬に慰霊碑を建立した。

 再び、国家が秘密を定める特定秘密保護法案の審議が国会で進められている。志田さんと佐久間さん、博信さんはすでに亡くなったが、日連丸遺族会の事務局を務める志田さんの長男辰継(たつつぐ)さん(69)は「何でも秘密にする時代じゃない。あんな時代にもどるべきじゃない」と静かな口調で話した。

<軍機保護法> 1899(明治32)年に制定された。条文は8条だけ。軍事秘密の探知・収集、職務上あるいは偶然知り得た軍事秘密の漏えい、防衛施設の撮影・模写などを禁止した。1937年に改正され、秘密の種類・範囲を明確化する一方、軍事上秘密にする必要のある地域への立ち入り制限を可能にし、スパイ団の編成を処罰できるようになった。

(東京新聞)
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