米国は、対露制裁の一環で、ロシアから Su-35戦闘機と最新鋭のS-400防空システムを購入した中国への制裁を行った。対象は、人民解放軍・装備発展部 (EDD : Equipment Development Department) と、部長の李尚福である。関税戦争中の中国には、殆ど影響はないが、ロシアは、現在も実戦運用中のS-300 防空システムをシリアに供与し、強力なロシア電子戦部隊も同国に展開する。
ロシアは、9月17日のイリューシンIL-20の撃墜事件を受け、シリアへのS-300防空システムと49発のミサイルを供与。S-300防空ミサイルは、射程250キロで、一度に複数の標的を迎撃する能力を有するシステムで、配備先は、ホムス東方のT4と呼ばれるティヤス空軍基地とタイフール航空基地。これらの基地には、イランの革命防衛隊が配置についていたが、S-300配備決定により、同基地から10月1日までに撤収している。因みにS-300は無償供与ではなく、10億ドルをシリアはロシアに支払っている。S-300の初期運用はロシア軍が行うが、今回、シリアに配備されたS-300は、タルトゥース海軍基地に事前搬入されていたものをT4に展開したとみられている。尚、シリアに展開するロシア軍のS-300とS-400は、実戦配備についているが、イスラエルとの協議によりイスラエル機をロックオンすることはしていない。
ジョン・ボルトン米国家安全保障問題担当大統領補佐官は、シリアへのS-300の供与は、深刻な事態悪化をもたらすとし、シリアへのミサイル供与を見直すことを希望していた。また同補佐官は、シリアとレバノンへの攻撃、そしてロシア軍航空機撃墜の責任はイランにある、とコメントしている。これはイスラエルの主張と同じである。
IL-20撃墜事件後、プーチン大統領は、シリア・アサド大統領と電話会談を行い、シリア情勢や、反体制派が支配するイドリブ県における非武装地帯設置とその実施方法について意見を交わしている。またプーチン大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相とも電話会談を行い、S-300 の供与は、シリアにおけるテロとの戦いを遂行するロシア軍兵士などロシア国民への危険を排除するためであると説明。ネタニヤフ首相は、ロシアの高性能な対空ミサイルシステムが、国内統治もままならないシリアの手に渡ることは、中東の危険性を増大させると指摘。イスラエルは自らの安全保障と国益を防衛するとの確固たる決意を述べたとされる。
ロシア国防省は、S-300防空システムだけでなく、ロシア軍が実戦利用している航空管制システムをシリア空軍中央司令部に供与する。また、最大の脅威となりそうなのが、ロシアの電子戦部隊がシリアに本格展開すること。ロシアの電子戦能力は、米軍を凌駕する事がウクライナ紛争で明らかになっており、イスラエルも相応の対抗策を講じる必要がある程、強力な戦力である。また、ディフェンス・ブログ(2018年9月24日付)によれば、シリアに展開するロシア空軍のSu-35S戦闘機が、米ステルス戦闘機F-22を捕捉していたと報じている。Su-35Sは、OLS-35赤外線センサーとレーザー測距器を搭載しており、4つの目標を90kmからステルス機などを探知可能と言う。但し、センサーの特性上大気の状態や対象の角度により距離は変動する。レーザーでの測距は20kmである。
米軍によれば、赤外線センサーでは、攻撃対象までの距離が不正確で攻撃用のデータには利用出来ないが、赤外線センサーが二つ以上あれば、空戦アルゴリズムで精確な距離を計算することが出来るとしている。また、ステルス機と言えども大気中を高速移動する為、機体が熱を発する。これはレーダー断面積が小さくても熱のを捉えることにより当然ステルス性が減衰する。米軍は、ロシアや中国のステルス機を研究しており、既存のIRSTInfrared Search and Track (IRST) Block II podを改良し、Xバンドを利用することで敵レーダーの探知距離外から敵ステルス機を探知し、撃墜することを可能する開発を行なっている。
イスラエルはF35ステルス戦闘機を既に実戦配備しているが、シリアに於けるロシアのS-300防空システムと地上展開する電子戦部隊&サイバー部隊、またSU35Sの赤外線センサー&レーザーによりイスラエル軍の軍事的優位性を覆す、若しくは抑止・限定することは十分に考えられる状況にある。シリアに於ける最新の軍事技術、電子戦&サイバー攻撃の実戦使用は、近未来の軍事戦闘の萌芽であり、その作戦効果などを注視する必要がある。
ロシア軍は、マッハ8を超える極超音速ミサイルの開発に目途がつき、実戦配備する。米軍も保有していない極超音速ミサイルの存在は、大きな脅威である。ロシアの「ツィルコン」と呼ばれる対艦ミサイルは、秒速2.5キロメートルで飛翔し、射程500km。2017年に試射され成功しており、今後は、マッハ10の極超音速を目指して継続開発中である。このような対艦ミサイルが実戦配備され、また、S-400と同じようにロシア軍の最新鋭対艦ミサイルが中国海軍に輸出されるような事態になると、日本の海上防衛の大きな障害になるのは必至である。また、ロシアは、R-37M極超音速空対空ミサイルを、既に最新型のSu-57に搭載した。R-37Mは、射程300km、全長4.2m、重量 600kgで、飛行形態を工夫すると射程400kmも可能だと報道されている。(RT Russian Television:2018/9/26)
ロシアは、9月17日のイリューシンIL-20の撃墜事件を受け、シリアへのS-300防空システムと49発のミサイルを供与。S-300防空ミサイルは、射程250キロで、一度に複数の標的を迎撃する能力を有するシステムで、配備先は、ホムス東方のT4と呼ばれるティヤス空軍基地とタイフール航空基地。これらの基地には、イランの革命防衛隊が配置についていたが、S-300配備決定により、同基地から10月1日までに撤収している。因みにS-300は無償供与ではなく、10億ドルをシリアはロシアに支払っている。S-300の初期運用はロシア軍が行うが、今回、シリアに配備されたS-300は、タルトゥース海軍基地に事前搬入されていたものをT4に展開したとみられている。尚、シリアに展開するロシア軍のS-300とS-400は、実戦配備についているが、イスラエルとの協議によりイスラエル機をロックオンすることはしていない。
ジョン・ボルトン米国家安全保障問題担当大統領補佐官は、シリアへのS-300の供与は、深刻な事態悪化をもたらすとし、シリアへのミサイル供与を見直すことを希望していた。また同補佐官は、シリアとレバノンへの攻撃、そしてロシア軍航空機撃墜の責任はイランにある、とコメントしている。これはイスラエルの主張と同じである。
IL-20撃墜事件後、プーチン大統領は、シリア・アサド大統領と電話会談を行い、シリア情勢や、反体制派が支配するイドリブ県における非武装地帯設置とその実施方法について意見を交わしている。またプーチン大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相とも電話会談を行い、S-300 の供与は、シリアにおけるテロとの戦いを遂行するロシア軍兵士などロシア国民への危険を排除するためであると説明。ネタニヤフ首相は、ロシアの高性能な対空ミサイルシステムが、国内統治もままならないシリアの手に渡ることは、中東の危険性を増大させると指摘。イスラエルは自らの安全保障と国益を防衛するとの確固たる決意を述べたとされる。
ロシア国防省は、S-300防空システムだけでなく、ロシア軍が実戦利用している航空管制システムをシリア空軍中央司令部に供与する。また、最大の脅威となりそうなのが、ロシアの電子戦部隊がシリアに本格展開すること。ロシアの電子戦能力は、米軍を凌駕する事がウクライナ紛争で明らかになっており、イスラエルも相応の対抗策を講じる必要がある程、強力な戦力である。また、ディフェンス・ブログ(2018年9月24日付)によれば、シリアに展開するロシア空軍のSu-35S戦闘機が、米ステルス戦闘機F-22を捕捉していたと報じている。Su-35Sは、OLS-35赤外線センサーとレーザー測距器を搭載しており、4つの目標を90kmからステルス機などを探知可能と言う。但し、センサーの特性上大気の状態や対象の角度により距離は変動する。レーザーでの測距は20kmである。
米軍によれば、赤外線センサーでは、攻撃対象までの距離が不正確で攻撃用のデータには利用出来ないが、赤外線センサーが二つ以上あれば、空戦アルゴリズムで精確な距離を計算することが出来るとしている。また、ステルス機と言えども大気中を高速移動する為、機体が熱を発する。これはレーダー断面積が小さくても熱のを捉えることにより当然ステルス性が減衰する。米軍は、ロシアや中国のステルス機を研究しており、既存のIRSTInfrared Search and Track (IRST) Block II podを改良し、Xバンドを利用することで敵レーダーの探知距離外から敵ステルス機を探知し、撃墜することを可能する開発を行なっている。
イスラエルはF35ステルス戦闘機を既に実戦配備しているが、シリアに於けるロシアのS-300防空システムと地上展開する電子戦部隊&サイバー部隊、またSU35Sの赤外線センサー&レーザーによりイスラエル軍の軍事的優位性を覆す、若しくは抑止・限定することは十分に考えられる状況にある。シリアに於ける最新の軍事技術、電子戦&サイバー攻撃の実戦使用は、近未来の軍事戦闘の萌芽であり、その作戦効果などを注視する必要がある。
ロシア軍は、マッハ8を超える極超音速ミサイルの開発に目途がつき、実戦配備する。米軍も保有していない極超音速ミサイルの存在は、大きな脅威である。ロシアの「ツィルコン」と呼ばれる対艦ミサイルは、秒速2.5キロメートルで飛翔し、射程500km。2017年に試射され成功しており、今後は、マッハ10の極超音速を目指して継続開発中である。このような対艦ミサイルが実戦配備され、また、S-400と同じようにロシア軍の最新鋭対艦ミサイルが中国海軍に輸出されるような事態になると、日本の海上防衛の大きな障害になるのは必至である。また、ロシアは、R-37M極超音速空対空ミサイルを、既に最新型のSu-57に搭載した。R-37Mは、射程300km、全長4.2m、重量 600kgで、飛行形態を工夫すると射程400kmも可能だと報道されている。(RT Russian Television:2018/9/26)