阿部ブログ

日々思うこと

溶融塩によるレアアース抽出分離技術の開発

2012年04月17日 | 日記

環境省の循環型社会形成推進科学研究費補助金の支援が決まった案件に、溶融塩によるレアアース抽出分離技術が2件ある。

①「磁石合金スクラップから希土類元素を抽出・分離する新技術の開発」

この研究では、塩化マグネシウム(MgCl2)などの溶融塩を抽出媒体として用いて、希土類合金磁石のスクラップから、ネオジム(Nd)およびジスプロシウム(Dy)を塩化物として選択的に溶融塩中に抽出し、さらに真空蒸留によって希土類塩化物を濃縮した後、溶媒抽出法などによりNdとDyの分離回収を行う新しいタイプのリサイクル技術の開発を行うもの。

この研究開発が実用化されれば、磁石のスクラップからNdとDyを高い効率で分離回収する事が可能となる可能性がある。

②「溶融塩および合金隔膜を用いた廃棄物からの希土類金属分離・回収プロセスの開発」

この研究では、廃棄物から希土類金属を分離・回収する手法として、溶融塩および合金隔膜を用いたプロセスの開発を目的としおり、溶融塩中で特定の希土類-遷移金属合金が極めて高速に電解形成され、さらにそれを陽分極すると希土類金属のみが高速かつ選択的に溶出する現象を応用してレアアースを抽出するもの。

この研究では溶融塩組成、合金隔膜組成、温度、電流密度をはじめ最適化すべき事柄が多く残されているが、複数の希土類・遷移金属イオンなどが共存する塩化物系溶融塩で実験を行いつつ、各イオンの挙動や形成される合金組成を把握する。またフッ化物系溶融塩についても、実際の希土類金属分離・回収に適した条件を明らかにする。更に希土類合金隔膜を用いて実証試験を行い、希土類金属の相互分離・精製が可能であることを実証すると言う。

これら溶融塩によるレアアース抽出分離技術の実証と実適用に期待したい。

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