イスラエルのネタニヤフ首相は、ロシアを頻繁に訪問し、シリア情勢やイランの進出と原爆開発に関して情報交換を行っている。5月に入ってもモスクワを往復しプーチン大統領と会談し、ロシアの防空システムS-300をシリアンに売却しないように要請。強くイスラエルの自衛権とその行使に就いて主張したようだ。相互調整の為、イスラエルのモサドとロシアの対外諜報機関FSBがイスラエル国内で会議を行った。イスラエルが予定しているシリア国内のイラン軍に対する攻撃の目標とロシア軍の軍事アセット防御とロシア人傭兵の被害を最小化するのが目的。それと、シリア国内におけるトルコに就いても情報交換が行われた。ロシアのスプートニク・ニュースによればトルコ諜報機関が、シリア・イドリブ県のシャーム解放委員会の幹部の暗殺を行っている。シリアには、イラン勢とトルコ勢が蔓延っており、クルド問題も併せて今後問題が顕在化するだろうと考えている。
5月9日、イスラエル軍はシリア南部のイラン軍が基地に対し攻撃を行った。イスラエル空軍機による攻撃目標は50ヶ所に及んだ。しかしロシア軍の軍事アセットに被害はなかった。5月14日、イスラエル国防省が、シリア空爆後の画像を公開している。18日、プーチン大統領とシリアのアサド大統領が会談。シリア内戦がほぼシリア軍の勝利を得つつある状況で、今後の国内にいるイラン勢力に就いて意見を交換し、アサド大統領は、S-300の売却を求めた。因みに、シリア国内からは、イスラエルの空爆への対抗措置として55発のミサイルをイスラエル北部に、5月10日深夜に撃ち込んだ。この攻撃で、イスラエルの近接防空システムであるIron Dome が初めてミサイル要撃を行っている。Iron Domeは、被害がでないと判断するとそのミサイルを要撃しないシステムなので、要撃したということは、被害が出るエリア(Golan Heights) への攻撃だったことになる。イラン・イスラム革命防衛隊のゴドス軍団によるイスラエル・ゴラン高原へのミサイル攻撃をイラン側は「ロケットの夜」と名づけ、その成果を誇示した。イスラエルは口をつぐんでいるが、被害があったことは事実のようだ。
さてシリア情勢も問題だが、お隣のレバノンもキナ臭い。9年ぶりに行われた総選挙でハリリ現首相の与党は敗退し、ヒズボラ勢が過半数を確保。イランの影響力拡大は、イスラエルとロシアを相互接近させる結果となっている。