阿部ブログ

日々思うこと

山積するドイツ軍の問題〜EU軍の中核として期待されていはいるが…

2018年05月06日 | 雑感
EUは、PESCO(Permanent Structured Cooperation)に基づき、2025年までにEU軍を創設するとしている。既に2016年11月30日にEU防衛基金を創設済みである。当然、イギリスのEU離脱後、軍主力ととして期待されるのは核武装しているフランスとドイツである。しかし、ドイツ軍には問題が山積している。

昨日、ドイツ空軍の戦闘機ユーロファイター・タイフーンが戦闘適格性にかけているとの話を聞いた。実戦配備に就いている128機のうち、半数が軍事作戦に投入できないレベルにあるという。問題は、航空機の接近を知らせ敵味方識別するセンサーが、正常に動かないようだ。ユーロファイター・タイフーンを導入しているイギリス、スペイン、イタリアなどの同じ様な状況ではないかと推測される。以前から、ユーロファイターが搭載するユーロレーダーCAPTERは、機械式で首振りする旧式でカバーする領域も狭く探知能力に疑問が呈されてから久しい。
戦闘機だけでなく、エアバスA400M輸送機の稼働率も低いままだが、より深刻なのがヘリコプターである。2017年、空軍のヘリコプター・パイロット129 名のうち19名が、飛行時間不足で飛行ライセンスを剥奪されている。同様に2016年も12名が飛行ライセンスが剥奪されている。これはヘリの稼働率低下が原因である。

有名な話だが、既にドイツ海軍のUボートU31,U32、U33、U34、U35、U36の6隻が実戦配備から外されている。多分、U31は動けるようにはなっており公試に入れるかどうか…因みに韓国は、ドイツからU214型の設計図を購入しライセンス生産を行っているが、問題噴出で中国の潜水艦以上に騒音を海中に撒き散らす代物のようだ。韓国の中小企業が育たず、ものづくりが行えないのだ。日本や海外から部品を買ってきて組み立てる事はできても、自国内の産業基盤ではそれが出来ない。中小企業の育成と財閥経済からの脱却が必須だが、民族性からして無理そうだ。できたとしても直ぐにナッツ・リターンだろう〜可哀想に。

Uボートの問題は稼働率だけではない。乗員問題もある。現在、ドルフィンマークを持つ要員だけで運用できるのは、最大でも3隻のUボートだけ。潜水艦要員は、増えることは考えづらく、恐らく今後も同じレベルを維持するか、多分高い確率で減るのではと考えられている。私見だが、潜水艦乗りは尊敬に値すると思う。海上自衛隊の潜水艦隊は22隻体制となるが、隊員の給料や待遇は、陸上勤務や水上艦艇勤務要員とは、明らかに高く設定するべきだろう。
さて、ドイツ海軍の問題は、能力に関し多くの疑問が呈されている125型バーデン・ビュルテンベルク級の存在がある。設計ミスがあり、また進水した当初は艦体が右に傾いており、ドイツ海軍は受領を拒否した。明らかにトップヘビーで、魚雷発射管やソナーも搭載していないフリゲート艦は、外征用らしいが、軍事的合理性を逸しているとされる。ドイツ軍は、今回の125型フリゲート艦意外にも、新型ヘリコプターの計画が中断の危機に陥り、新型ライフルや独自ドローン開発もうまくいかない・・・しかし、最大の問題は、ドイツ陸軍かもしれない。メルケル軍縮により、装甲師団5個から2個師団に、山岳師団と空中機動師団も解隊され、今は10万人に満たない戦力に成り果てている。よくレオパルド2は世界最強と評されるが、稼働率が低いとの指摘が為されている。244台のレオパルト2は、故障や部品不足などにより稼働可能なのは100両以下とも言われている。ドイツは赤字国債発行なしの財政状況になったのかもしれないが、ドイツ陸軍は、弱体化して往年の面影もない。大好きなPzH2000自走砲も気になるが、軍事力を再生しつつあるロシアにEU軍が対抗出来るかは、大いに疑問と言わざる負えない。