阿部ブログ

日々思うこと

石油の起源は化石燃料説にあらず ~チープオイル“革命”がそれを証明している?~

2011年06月08日 | 日記

旧ソビエトの石油科学は、西側で喧伝されている石油は、古代生物や植物の残滓に由来するという化石燃料説とは異なり、無機起源説である。

『A CENTURY OF WAR Anglo-American Political and New World Order by William Engdahl』(邦訳名は「ロックフェラーの 完全支配」で、書かれている中味にほぼ関係の無い書名になっている)によれば、1951年ソビエト科学アカデミーのニコ ライ・クドリャフツェフ教授が、石油は低温噴出にプロセスにより地殻に高圧で押し出される地球深部の原始物質であり、化石燃料説は間違いであるとの理論を提示している。

また1956年には、ウラジミール・ポルフィエフ教授も、原油と石油系天然ガスは、地球の大深部から噴出された原始物質 であるとの発表をしており、ソビエトは彼らの石油無機説理論に基づき、ドイツのバルバロッサ作戦による独ソ戦、またその後の独ソ両軍による焦土戦で荒廃していたドニエプル・ドネツ盆地の地質構造とその形成過程、及び深部構造の詳細分析を開始した。

この調査過程で当該地域の60箇所程度が掘削され、その内37箇所は商用生産が可能である事が確認されたと言う。これは 脅威的な探査成功率であり、通常石油探査の成功率は10%程度であるのに対し、この調査では61%を超える高率で、石油の無機起源説の確からしさが確認された形となっている。

この石油起源無機説を間接的に証明しているように、個人的には思えるのが、最近の非在来型石油&ガス資源の埋蔵量である 。
米国エネルギー省エネルギー情報局(DOE/EIA)の「Annual Energy Outlook 2011」によるとシェールガスの資源埋蔵量を前 回2010年予測より2倍に上方修正している。

シェールガスは、頁岩に含まれるメタンを主成分とする天然ガスで、この他に非在来型天然ガスには、コールベッドメタン。 これは石炭層に含まれる天然ガス。タイトサンドガスは、硬い砂岩に含まれる天然ガスである。
これら非在来型天然ガスの総埋蔵量は、米国地質調査所によると32,560兆立方フィートに達するとしている。これはよく言われる在来型天然ガスの5倍に達する莫大な埋蔵量である。

この非在来型天然ガスが採掘可能となったのは、米国の中堅石油会社の企業努力によるもの。彼らは三次元&四次元探査、マ イクロセンシング技術、水平掘削と水圧破砕などの技術を磨き、生産コストを100万Btu当たり2.5ドルまで低減させることに成功した。シェールガスなど非在来型天然ガスの影響で天然ガス価格は下落傾向と言うよりも暴落しているが、原発事故の影響からLNGなどに頼らざる終えない日本にとっては、小さな神風が吹いている感じか。ただガスパイプラインなどインフラ が整備されていない日本は高値での取引をせざる終えないとの指摘もあり、そう単純ではなさそうではある。

さて、シェール・ガス革命の余波は、石油にも及んでいる。従来の石油は背斜構造のような地層構造に原油が存在するとされ ていたが、シェール・オイルは、砂岩などの貯留岩と言われる地層そのものに原油が存在する。このような原油が貯留する層には、原油の揮発を防ぐ帽岩が上部に存在する事で安定して存在する事が出来るもので、従来のように背斜構造を探査する必 要がなく、硬い砂岩などの岩盤そのものから産出する。

これは何を示すのか?

従来の石油の起源が生物の死骸など有機物から生成するとの説では、その説明が出来ないだろう。つまりその論拠を大きく損なっていると考える。旧ソビエトの科学者が言うように、地球深部からの原始物質が、頁岩や砂岩、石炭層などに染込んでいると考えるほう が腹に落ちるし、納得感がある。

米国でシェール・オイルの開発が進められているバッケンシェール油田だけで、3000億バレルと推定されているが、この数字は、サウジアラビアの原油埋蔵量2646億バレルを越えている。

各国で非在来型石油資源、及び天然ガスの調査が進めば、その埋蔵量は莫大な量になり、しかも在来の石油のように偏在する 事無く、世界広くに埋蔵されている可能性が極めて高い。これは、低温噴出にプロセスにより地殻に高圧で押し出される地球 深部の原始物質であるとすると、偏在せずに地球上に広く存在する事の証明であるように思える。地球内部から時間をかけて 徐々に岩石層に染込んでいくと考える方が合理的と思うが、如何でしょう?