阿部ブログ

日々思うこと

理研と富士通の快挙 ~ スパコン世界No.1 ~

2011年06月21日 | 日記
久々にスパコンランキングが第1位 ~理研と富士通の快挙~

事業仕分けで注目を集めたスーパーコンピュータ(以下、スパコン)分野で、地球シュミレータ以降、2回目となる、日本のスパコンが世界ランキング1位となった。
6月20日、ドイツ・ハンブルクで開催された「第26回国際スーパーコンピューティング会議ISC'11」で発表された「第37回TOP500リスト」において、見事第1位を獲得したもの。。

文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」の一環で、理研と富士通が開発した。このプロジェクトは当初、NECや日立製作所も参画する予定だったが、折からの金融不況などにより収益が落ちていた事もあり、撤退するなど波乱含みだったが、今回の快挙を達成。

理研と富士通が開発した、京速コンピュータ「京」は、2012年11月の開始を目指しており、672台の高速コンピュータが超並列ネットワークで接続され、68,544個のCPUを搭載し、ピーク性能8.774ペタフロップスに達する。

スパコンの性能評価は、LINPACと呼ばれる行列計算による連立一次方程式の解法プログラムを用いる。このLINKPACは、スパコンの性能を測る重要なベンチマークで、今回もLINKPACを用いて処理性能を測定した所、世界最高性能の8.162ペタフロップスに達した。これは1秒間に8,162兆回の浮動小数点計算を行なうのだが、素人には想像すらつかない。

今回の記録は、スパコンランキング第2位の中国人民解放軍のスパコン性能が、2.566ペタフロップスなので、約3倍以上の性能アップとなった計算になる。更に「京」はスパコンとしては非常に高い実行効率である93.0%を併せて達成している。

因みに、スパコンランキング5位には、東工大のTSUBAME2.0がランキングしている。

スパコンの「京」は「けい」と呼称し、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるが、理研のHPによれば「計算科学の新たな門」という期待も込められているとの事。最終的に「京」は、2012年完成時において、LINPACK性能で10ペタフロップスを目指するとしている。

所謂「ペタコン」がいよいよ姿を本格的に現すことになるが、我々は、日本発、世界最高のペタコンが登場した事を、素直に喜ぶべき。内紛が絶えない富士通ではあるが、唯一海外で闘えそうな国内ITベンダーでもある事から、更なる奮起を期待したい。

最近、磁気に関する発見が相次いでいる

2011年06月21日 | 日記
最近、磁力に関する発見が相次いでいる。

6月1日の京都新聞には「磁力抵抗ゼロ発電機」の発明に関する記事が掲載され、6月13日には、理化学研究所、東京大学物性研究所、日本原子力研究開発機構、東北大学金属材料研究所の連名で、酸化マグネシウム層を磁石である強磁性体と非磁性体である「銀」で挟んだ接合を持つ磁気蓄積素子を作製し、効率よく磁気を銀の中に注入・蓄積することに成功した事が発表されている。

この磁気蓄積素子は、従来の100倍以上の磁気蓄積量で世界最高と言う。

またこの磁気蓄積素子の強磁性材料や素子サイズや構造を最適化すると、更に磁気蓄積量を増加させる事が可能であるという。

≫ http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2011/110613/detail.html

このような強い磁気を持つ強磁性体、即ち磁石は、ハードディスクドライブの再生ヘッドや磁気ランダムアクセスメモリーのメモリー機能部などの用いられているが、現在の出力信号はせいぜい1μV、磁気蓄積量として0.01T程度と小さく、この磁気蓄積量を増やす事が課題とされてきたが、今回、強磁性体であるパーマロイ(鉄とニッケルの合金)と非磁性体である「銀」の間に、酸化マグネシウム層を挟んだナノサイズの磁気蓄積素子を生成し、強磁性体電極側に電圧を加えると、スピンを非磁性体中に注入することが可能となる。

今回の発表によれば、作製した磁気蓄積子を水素3%、窒素97%の混合ガス中で400℃、40分間の熱処理を施し、酸化マグネシウム膜厚を変えると、界面抵抗値が0.2Ωμm2程度の酸化マグネシウム層を用いると、出力信号が最大値で一定になることが判明。

この界面抵抗値は一般的なトンネル接合よりも2桁ほど低く、従来にない大きな電流を流す事が可能となり、3mAの電流で200μV以上の出力信号を達成した。この出力電圧は、磁気蓄積量としては有効磁場換算で2Tとなり、世界最高を達成したもの。

この磁気蓄積素子は、次世代ハードディスクドライブの再生ヘッド、高感度&高空間分解能な磁気センサー、大容量不揮発性メモリー素子、新たなスピントランジスタやスピン演算素子などへの応用開発が期待されると言われ、今回の研究成果は『Nature Materials』オンライン版(6月12日付け:日本時間6月13日)に掲載されている。
 
 ≫ http://www.nature.com/nmat/journal/vaop/ncurrent/full/nmat3046.html