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阿部ブログ

日々思うこと

『選択』と言う雑誌に京都大学の加速器駆動未臨界炉に関する記事が掲載されている

2011年04月18日 | 日記

『選択』と言う雑誌がある。
2011年4月号の92ページから93ページに掛けて
「日本の科学アラカルト その最前線」と言う連載記事があり、題名は「日本の「原子力村」では異端 加速器駆動未臨界炉」。

この記事では京都大学の原子炉実験所(KURRI)での加速器駆動未臨界炉(ADSR)での取組みが紹介されている。
未臨界炉とは、従来通りの固体燃料を使い、外部から加速器を使って陽子ビームを照射して中性子を発生させ、
この中性子が燃料に当たる事により核分裂が起こるという原理。
このADSRのポイントは陽子ビームを当てないと臨界には達しないという事。
既存の軽水炉は制御できなくなると暴走するが、この未臨界炉にはその懸念が原理上存在しない。

また別の利点もあると言う。所謂、核廃棄物処理装置として利用可能性があると言う。
これは核廃棄物に対して中性子を照射することで核変換させるというもの。
この核変換については、東海大学の高木教授も研究をされているが、
半減期の長いマイナー・アクチノイド(MA)を、ADSRの燃料として混ぜて半減期の短い物質へ核変換する。
勿論、ウランやプルトニウムなども核変換させる事ができ、今主流の軽水炉より安全であるように思えるが、
日本の原子力村における「ウラン=プルトニウム」サイクルの流れに沿わないが故に、異端とされていると指摘する。

しかし福島原発事故を受けて、現状の「ウラン=プルトニウム」サイクルの実現を掲げる原子力政策は非常に難しい局面に遭遇。
六ヶ所村の再処理工場は今だ稼動せず、またナトリウムを用いる高速増殖炉開発の継続は国民の理解を得る事はないだろう。
更に現在主流の「ウラン=プルトニウム」とは別の核燃料サイクルである「トリウム・サイクル」が存在すると続ける。
トリウムはウランの埋蔵量の3倍から4倍あり、レアアースとトもに産出し現在は廃棄されている。これを使わない手はな
い。

しかも日本の先端技術を駆使した製品の生産にはレアアースは欠かす事が出来ない重要な資源であるとは、
昨年の尖閣問題で、世間一般に広く知られるようになった。
しかも京都大学では、昨年3月にトリウムを燃料として中性子を照射する実験を行なっていると。
ADSRの最大の利点は、核廃棄物や、ウラン、プルトニウム、トリウムなど燃料を選ばないと言う点だとしているが、
但し、これは基礎研究の域を出ないとも書く。

最後にウランの可採期間が70年程度と推測さえれている為、
将来の原子力エネルギー政策のあり姿としてトリウムなど別のオプションを準備することは、エネルギー安全保障上重要であり、トリウム溶融塩炉にしても、京都大学の取組みにしても、これらを「異端」としない度量が原子力村には求められているとして締めている。

しかし『選択』でトリウムと言う言葉に遭遇するとは思ってもいなかった。