阿部ブログ

日々思うこと

チベットの地熱発電 ~311以降の日本でも地熱発電を進めよう~

2011年04月24日 | 日記
チベットで最大の発電源は意外にも地熱発電である。
ラサ近郊にある羊八井地熱発電所が最大のもの。
この地熱発電所は、設備容量252万kW、年間発電電力は1億kWhに達し、ラサなど主要な都市への供給電力の45%を占める。チベットでも最大の、そして最重要な発電所である。

地熱発電所のある羊八井は標高4300メートルでラサ市から90キロのところに位置する。
1974年以降、羊八井の地熱開発が開始され、1975年に初めてコアドリルにてチベット初となる蒸気井を掘削開始し、1977年10月に1基目の1000キロワット級地熱発電実験用装置を設置した。
現在、羊八井発電所には3000キロワットのユニット8基が設置されている。

311以降の日本では原子力発電には大きな逆風が吹き、新設はおろか福島第一原発同様、津波に襲われた第二原発の再稼働もおぼつかないだろう。但し、現在の太陽光発電とか風力発電は出力が変動するする事は国民一般よく知ることで、これらが原子力の替わりになるとは誰も思っていない。

ただ、チベット同様豊富な地熱資源を使わない手はない。
今こそ周辺の環境に配慮した地熱発電の積極的な開発利用を進めるべきではないか。何しろ地熱はタダなのだから、周辺諸国に遠慮する事なく、また石油や天然ガスなどど違い価格変動もなく使えるエネルギーである事は間違い。

ちなみにグーグルは、クリーンエネルギー分野にも高い関心を持ち、ベンチャーキャピタルのクライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズなどと共同でアルトラロック・エナジー(AltaRock Energy)という地熱発電開発企業に出資することで、次世代型地熱発電開発に乗り出している。

一般的な地熱発電はボーリングによって地下のマグマだまりの熱エネルギーによって生じた水蒸気を取り出し、その水蒸気を使って発電機を動かすというものとなるが、アルトラロックの地熱発電方式は、入出2つの系統のボーリングを実施することにより、入力系のボーリング抗から地下のマグマだまりに対して水を注入し、強制的に高温高気圧の水蒸気を生成させるというもの。

ご存じの通りグーグルの収益基盤は広告事業が99%を占めているが、クリーンエネルギーとして有望視されている地熱発電に出資を行うことにより、景気低迷で以前のような高成長が見込めなくなった広告事業に代わる収益基盤の確立を目指す目論見ではないかと推測するが、多分この推測は間違っているだろう。

地熱発電も薔薇色ではない、2006年インドネシアで行われた地熱発電のためのボーリング掘削工事では、地下から水蒸気ではなく大量の有毒物質を含んだ熱泥が噴出するなど、大規模な自然破壊を引き起こしたことも知られており、アルトラロックの地熱発電方式をはじめとする地熱発電にも原子力とは言わないまでもリスクは当然ある。