阿部ブログ

日々思うこと

リチウムイオン電池と長寿命鉛電池

2010年05月20日 | 日記
次世代の電池は、ソニーが1991年に開発したリチウムイオン電池とする向きが多いが、果たしてそうだろうか?

7月8日の日経1面にあるようにリチウム国内輸入量の7割がチリ産で調達先の多様化が課題となっており、かつ充電されたリチウムイオン電池は化学的に不安定で、昨年発生したソニーの製造工程でのミスにより爆発事故などが起こる可能性は依然として高く、安全性に課題を残している。

また、リチウム原料である炭酸リチウムの価格は高値を維持したままであり、他の電池と比較しても高価な電池である。

米国キャタピラーの子会社であるFirefly Energy Inc(以降FE社)は、現在の鉛蓄電池を改良する事により、リチウムイオン電池よりも20%~25%安価な電池の開発を進めている。

FE社は、鉛蓄電池内部での化学反応で生成する電気を鉛グリッドで集めるが、この部分を表面積の大きい黒鉛泡(発砲カーボングラファイト)に置き換えることで充電と高出力の放電の高速化を達成しており、製品化の第1段として、トラック用電池(商品名Oasis)を08年第1/4期から提供している。

この鉛電池の優位点は幾つかある。従来品に較べて~50%長く給電できる点と、従来の鉛電池の大きな欠点であった結晶が一切発生しない点。さらに、大きさが30%程度小さくでき、重量も20%軽い。ただ、従来の鉛電池よりは2倍のコストがかかるが、リチウムイオン電池に較べれば、はるかに低価格で安価である。

FE社の鉛電池はリチウムイオン電池並みの性能とコンパクト・軽量、長寿命、かつ製造コストの安さが期待されておりPHEV用として注目されている。

特に価格については、プリウスに実装されているニッケルメタルハイライド2次電池(ニッケル水素電池)の5分の1の製造コストながら、同程度の出力性能を誇る。

ニッケルも資源が偏在しており、資源獲得競争が激化しているのはリチウムと同様である。バッテリーの研究は未開拓分野であり、今後の動向に注目していく必要がある。