阿部ブログ

日々思うこと

社会インフラの劣化と再生戦略の必要性

2010年05月23日 | 日記
2009年8月17日、ロシア最大の水力発電所で発電施設に水を送る管が破裂して大量の水が発電所内に流れ込み、作業員12人死亡したと報道された。約6000メガワットの電力供給がシベリア地域でストップしており、経済活動含め多方面に影響を与えている。事故の原因は現在時点で明らかにされていないが、ソビエト連邦時代に作られて老朽化したダムが適切にメンテナンスされておらず放置されていた状態が問題視されている。このようなダムなど社会インフラの老朽化は、各国で問題になっている。アメリカにおいては、ダムを含め、戦後建設された建物、道路、橋、水道などの社会インフラが一斉に更新時期を迎えており、アメリカではミネアポリスの高速道路橋が崩壊するなどの事故が発生している。例えば、アメリカの水道本管の長さは約160万km、橋梁の数60万ヵ所、公共車道640万kmにおよぶが、連邦道路管理局によると、2007年の時点で、橋梁のうち25パーセントが構造的に不完全であり、道路の劣化が原因で自動車の故障修理のために、毎年540億㌦を費やしているという。昨年来、注目を集めているスマートグリッド構想にしても、その背景には送配電網の老朽化があると言われる。我が国においても橋梁、トンネル、上下水道の老朽化が深刻化しており、遅ればせながら国土交通省は14万本の橋梁のDB構築を始めているが、最近の財政状況の逼迫により地方自治体には管轄するインフラの保守整備を計画的に進めるのが難しい状況なのが実情である。特に我が国においては、原子力発電所が大きな問題となりそうだ。建設から30年以上経過している原発の解体・廃棄問題が、今後浮上してくる。中国など経済発展途上の国々では高速鉄道の建設などインフラの新規建設が活況を呈しているが、我が国などは、国民と社会インフラが同時に高齢化する状況に適切に対処するソリューションが真に求められる状況となっている。米国のスマートグリッド構想の背景にある電力インフラ老朽化を、更に広げた社会インフラ全体を包含する日本版社会インフラ再生戦略が必要とされている。