フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

携帯メールあれこれ

2010-11-29 23:48:47 | today's seminar
今学期は1,2年生用の教養授業で「コミュニケーションと社会」という科目を開いている。

2年ぶりの授業なのだけど、これがめずらしく当たりの授業で、こちらは何もしないのに学生たちが次から次へと発言する。
これまでやったのは言語景観、マニュアル言葉、モバイル・コミュニケーションの話題で、こちらがまず話題提供でいろんなところから持ってきた素材を紹介して、翌週は学生たちに素材をもってこさせて紹介してもらう。あとはどちらのときもディスカッション、という形式。

大学の授業というと教えることが中心なのだが、教えないで考える授業という逆の方向でやっている。

今日は学生の発表で、携帯メールについて三人の発表があって、なぜ絵文字や顔文字を使うのか、道具的コミュニケーションを重視する人間は簡潔なコミュニケーションになってしまうのか、そしてネットスラングとは何か、といった興味深い発表が続いて、思わずぼくも身を乗り出してしまう。

絵文字や顔文字は密接に話し言葉のコミュニケーションと関連している。ぼくらが対面コミュニケーションにいかに非言語や表情や相手の反応を頼りに自分の足場を示していくかは日々の生活で実証済みだ。そして携帯メールはその話し言葉のコミュニケーション要素を文字に取り込むことが必須になっているのだと思う。だから相手や話題が変わると、書き言葉モードになって、顔文字や絵文字は姿を隠してしまう...そんなことを考えながら、でもそんなまとめはせずに議論は続いていく、というのがこの授業での鉄則なわけだ。
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