フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

柔らかな殻?

2008-07-26 10:27:23 | Busan finally
ロッテ百貨店から学会に出かける。何人もの日本人の先生方にお会いして、ご挨拶。

金剛大学のKさんと合流。彼は千葉大で博士を取って新設の金剛大学で苦労している。今回、一緒にきた学生もそこで2年教師として働いていたので、彼女の上司でもある。じつはKさんは千葉大日本文化学科卒でもあり、彼女にとっては大学の先輩であり、韓国の高校の職を世話してくれた恩人であり、そして大学での上司でもある、という頭が上がらない関係というわけ。いつもは笑いの絶えない彼女が、Kさんの前に来るととたんに静かになるのが面白かった。

Kさんの車に5人乗せてもらって、夕食に出かける。途中、海の見えるレストランで韓式定食を食べさせたいと思っていたKさんと、もう韓式定食は食べたから今日は焼き肉が食べたいというこちら側とで、ホストとゲストの交渉が繰り広げられる。韓国のとくに男性には、慶州行きのガイドさんもそうだったが、自分が考えているベストなもてなしをやり遂げたいという気持ちがとても強いので、Kさんも何とか韓式定食まで連れて行きたいわけだ。これはすごい善意で、ぼく1人ならすぐゲストとしてオーケーを出すのだが、こちらは多勢に無勢というわけで交渉を熾烈を極めた(なんて)。最後に乗り出したのは同僚のMさん。韓国人同士、一歩も後に退かない。とうとうKさんも根負けして、焼き肉に軍配が上がった。

幸い、ガイドの金さんに電話をして教えてもらったところは肉も美味しく、Kさんも納得の味。野菜の葉の上に肉をのせ、お肉に甘辛いユッケジャンを塗り、他の総菜を上にのせて、それを葉で巻いて食べるのが、韓国の焼き肉。だからたくさん野菜が食べられる。

話は違うけれど、2年前に熱烈歓迎を受けた湖南でもたくさんの料理を食べさせてもらったり、案内をしてもらった。たぶん、その熱烈さは他に類を見ない。ベストなもてなしをやりとげるというより、ゲストの気持ちを忖度しながら、熱烈盛大にもてなしてくれて、恐縮するぐらいだった。そしてそこにはいつも「中国」人として、という熱意が表に出て、発揮されていたように思う。それぞれの社会の時代の推移ということもそこにはあるわけだけど。

釜山にきてガイドの金さんやKさん、そのほか街を歩く人々を見ていて思うのは、強烈なホスト意識があってもそこに「韓国」人としてという熱意が薄いように感じるのだ。かわりにその人の個性や気持ちがじかに感じられてくる。それはたとえば、オランダでもオーストラリアでも経験するような人の感覚で、香港でもそれなりに感じられる。文化の固い殻と柔らかな殻という言い方があるけれど、少なくとも釜山には柔らかな殻の人々が自分の意思で歩いている...

それは釜山が国際的な港湾都市として歩んできた結果としての身のこなしなのかもしれないし、あるいは大きく見れば日本との親和性の多さからぼくが勝手にそう反応していたに過ぎないかも知れない。

それとも、グローバリゼーションを生きる釜山人の個性ということなんだろうか。
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